第16話 力の覚醒
「……!?な、何だ!?」
突然の眩い光に、男はその目を腕で庇った。
その直後だった。
ソールに絡みついていた土の腕が、甲高い音と共に弾け飛んだ。
「な!?」
(何だ!?今のはまるで……魔導!?)
突然の出来事に、襲撃者ギルの足がすくむ。
「……」
少年は意識があるのか否か、茫とした雰囲気を出していた。
「おまえ、一体何をしたあぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
ギルが激昂した。しかし、ソールはそれに動じもせずにただ虚空を見つめているようだった。
(コイツ、意識がないのか?
「不気味な奴め……これでも喰らいな!」
そう言って、ギルは手を前に
「……」
それに構いもせず、少年はただ立ち尽くしていた。しかし、それだけで
少年から光が放たれ、彼に襲い掛かったはずの土砂は跡形もなく消えてしまった。
「なっ……」
思わず、男は声を漏らした。
「……!」
続けて少年がずっと虚ろだった眼を大きく見開いた。その眼光は鋭く、男を捉えていた。次の瞬間、
「……!がっ!?」
グオォォォォン!という低い音と共に風が吹き荒れ、男は壁に強く打ち付けられていた。余りの衝撃に、男は膝から崩れ落ちた。
「くそっ、何なんだコイツは!?」
地面に両膝を付けながら、男は疑問を発した。
「う……ううん」
轟音がして、少女は眼を覚ました。ぼんやりとした視界が、徐々に鮮明になっていく。
「……!?なに、これ」
少女は不思議な光景を目の当たりにしていた。自分達を襲った男が、ソールに圧倒されていたのだ。それは、自分が気を失う前には到底考えられない状況だった。
「ソール……?」
ルナの声に、ソールは反応を示さない。ただ真っ直ぐに、対峙する相手を鋭い眼光で見ていたのだった。
「……くそっ、これで終われるかよっ!」
男はやけくそ気味に叫び、ソールに飛び掛かろうと彼に走り寄っていく。それに対し、ソールは右手を前に翳した。
すると、ソールの掌から男が出したものと似たような、幾何学模様が描かれた円が生み出された。
「なっ!?魔導陣だと!?」
男が叫ぶが、時は既に遅かった。その円から眩い光と共に豪風が巻き起こる。
「うおおおおおおあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
男は、それに耐えることが出来ず、空の彼方に飛ばされていったのだった。
「……」
それを見届けると、ソールの身体を包む光は段々とその強さを弱めていき、光が完全になくなった時には少年は意識を失い地面へと倒れこんでしまった。
「ソール!」
すかさずルナがソールの元へ駆け寄った。少年は、少女の呼び掛けに答えることなく深い眠りについてしまったのだった。
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