第41話 サーシャの祈り

 俺達がヴァリトラの黒冥宮を離れ、エリクシアとの思い出の泉にたどり着いたのは、翌日の昼近くになってからの事だった。


 その間、サーシャはずっと子狼を抱っこしていた。


 俺達はヴァリトラとの激しい戦闘を行った後だと言うのに、不思議と皆に疲れは無かった。


 泉の畔に到着すると、泉の小島には一面黄色の花が咲き誇っていた。

 エリクシアもあの晩の事を思い出したのであろう、頬を赤く染めながら、俺の左腕を胸にギュッと抱きしめてじっと小島を眺めていた。


 「トーマ様、そろそろご飯にしましょう。」子狼を足元に放してサーシャが声を掛けてきた。


 この子狼には来る途中で「真っ白なこの子の名前は、私の故郷の言葉で『白』を意味するビィエールィです。よろしくねビィエールィ!」とサーシャが命名した。

 俺の提案した「シロ」と「ハチ」は何故か黙殺されたよ。子狼がグレてしまうそうだ・・・。ゲセン。


 俺達は新たに解放された『食堂』アイコンからそれぞれ好きなメニューを頼んで、昼食を取った。

 この『食堂』は、俺が任官した隊員全てが『倉庫』と同様に利用可能となるそうで、なんとどれだけ食べても無料だそうだ。

 ベルちゃんに確認したから間違いない!


 俺達は食後エアマットを敷いて、そこに寝転がってゆっくり食休みを取った。


 俺がエアマットに横になっていると、サーシャとエリクシアが俺の胸に顔を埋めて抱き着いて来た。


 サーシャは今回の進化で、だいぶ体が大きくなった。胸の御神体が俺の胸に押し付けられて、ケシカラン!

 もう夜に一人じゃ眠れず、俺の脇腹に背中をくっつけて、丸くなって寝ていた小さな女の子じゃないんだな・・・。


 俺が二人を抱きしめて、幸せを味わっていると、ベルちゃんが俺の顔にダイブしてきた。「グエッ」つぶされたカエルの様な声を上げてしまった。


 ベルちゃんはビィエールィに追いかけ回されて逃げてき様だ・・・。案の定、戦闘靴を脱いだ無防備な俺の足に噛り付いて来たヨ・・・このイヌっころは!イ、イタイデス。


 「ふふふ、困った子ですね、ビィエールィは。おいでなさい。」エリクシアが身を起こしてイヌっころを俺の足から引き離してくれた。


  「わたくしは野営の用意をしてますから、お二人はゆっくりしていてくださいな。」とエリクシアが言って、イヌっころを抱き上げながら離れていった。


 すると、俺の胸から顔を起こしたサーシャが、「水浴びしましょう!トーマ様。」と言ってスパスパ装備を倉庫に収納して生まれたままの姿になった、それはもうスパッと。


 ちょっとサーシャさん、昨日までの幼女体形だったらまだしも、今の君は眩しすぎます!


 俺の手を取って立ち上がらせて、弾帯を外しているけれど、君の耳が俺の鼻をくすぐって鼻がムズムズするよ。

 こんなに背が高くなったんだね。


 俺のTシャツを脱がせようとして、当たっていますよ・・・・立派なおっぱいが!エリクシアに比べたらまだ慎ましいけれど、それでも十分見事なおっぱいです!


 俺のパンツも脱がせて収納すると、「ふふふ」と微笑んで、元気に起立しているマイサンをさっと撫で上げてから「トーマ様、さあ泉に入りましょ。」と俺の手を引っ張る。


 泉の畔に立つと、サーシャは頭から泉の中に飛び込んで行った。


 サーシャは水面に浮かび上がると、その均整の取れた美しい肉体を見せつけるようにクルっと横に回転し、その立派な双丘を水面の上に突き上げた。「トーマ様!早く-!」サーシャはプルンと御神体を揺らして手を上げながら俺を誘った。


  「ハハハ」俺はどう反応して良いか分からなかったので、笑ってごまかしながら、泉に飛び込んだ。


 泉の中に立ち上がって、顔の水滴を両手で拭っていると、サーシャが俺に抱き付いて来た。密着した美しい体を俺に擦り付けるようにして、俺の顔を覗き込んで来た。


 「私、ずーっと祈っていたんです。一日も早くトーマ様の子供が孕める体になる事を。」ブルーダイヤの瞳が真摯に訴えかけて来る。


 「進化の光に包まれた時、私願いました。トーマ様に相応しい女になりたいと・・・。

 トーマ様。どうですか、この体。お気に召して頂けましたか?」


 サーシャは俺から離れて、全身を俺に見せつけるように、両手を広げてゆっくり回った。


 「サ、サーシャ・・・」俺は言葉を続ける事が出来ない。


 「私は十歳の心と体で、トーマ様の群れに嫁ぐことを誓いました。

 そして今、心はまだ未熟ですが、体はもう十分一人前の女になりました。だから、どうか私にトーマ様の子供を産ませてください。私をトーマ様の群れの母にならせてください!」


 サーシャは涙に潤んだ瞳を伏せると、俺の肩を甘噛みし始めた。


 甘美な痛みが俺の脳天を突き抜けた。


 「もう怯えて震えているだけの子供はイヤ!トーマ様の本当の家族になりたいの!だからどうか私にお胤を下さい。私にトーマ様の子供を産ませてください!」


 サーシャは甘噛みを止めて、ブルーダイヤの瞳を涙に濡らしながら、俺を見つめる。


 「サーシャ、こんなに俺を求めてくれてありがとう。こんなに俺を好いてくれてありがとう。

 結婚しよう、サーシャ。そして俺の子供を産んでくれ。」


 俺はやさしくサーシャに語り掛け、その柔らかな唇にそっとキスをした。


 俺の唇がサーシャのそれに触れると、サーシャは貪るようにキスを求めてきた。


 俺達は泉の真ん中で、燃えるような激しい口づけを交わした。


 そして俺はサーシャを体から引き離して、ベルちゃんに呼び掛けた。


 「ベルちゃん!サーシャに指輪を!」すると俺とサーシャの胸の隙間が白銀に光だし、やがて白銀の閃光は小さなブルーダイヤ色の宝珠を付けた白銀色の指輪の形になった。


 俺はその指輪を手に取って、そっとサーシャの左手の薬指にはめてあげた。


 「トーマ様!大好き!愛してます!」サーシャはそう叫ぶと俺の首に飛びついて来て、俺の顔のキスの嵐を降らした。


 俺はサーシャを抱き上げ、泉の小島に優しくサーシャを運び、苔の絨毯と黄色い可憐な花のシーツの上にそっと真っ白なサーシャを横たえて、ゆっくりと体を重ねた。


 そして俺はサーシャの中に何度も精を解き放ち、サーシャはその悦びに何度も激しく打ち震えた。


―――――


 サーシャは気絶するような愉悦の波から意識を取り戻し、俺の肩を愛おしそうに甘噛みしながら、俺に懇願してきた。


 「トーマ様。わたし一人だけトーマ様のお情けを頂いては、エリクシアさんに寂しい思いをさせてしまいます。だから、どうか私と一緒にエリクシアさんも可愛がってあげてください。」そう言ってサーシャは俺の唇にやさしくキスをした。


 「それでいいのかい?」と俺が尋ねると、「それが良いのです」とニッコリ笑ってサーシャが答えた。


 俺はサーシャをお姫様抱っこして泉を渡り、エリクシアが設営したテンちゃんの中に入って行った。


 エリクシアはエアマットに横たわり、タオルケットに顔を埋めて、声を殺して泣いていた。


 「寂しい思いをさせてごめん。エリクシア。」俺は後ろからエリクシアの体を包み込んで、彼女の耳元でそっと囁いた。


 「旦那様?」エリクシアは驚きの声を上げて振り向いた。


 俺は振り向いたエリクシアに優しくキスしながら、彼女の体を快楽の波に誘っていった・・・・。


 その傍らでサーシャが優しい微笑みを浮かべながら、俺達二人を眺めていた。



 その晩俺はエリクシアとサーシャを交互に愛しつづけた。快楽の海に意識が沈むまで・・・。


−・–・–・–

 

 俺はクタクタになって微睡んでいると、さっきサーシャと激しく交わった泉の小島が夢に出てきた。

 俺は小島に上がって周りを見渡すと、泉の畔にテンちゃんが張られ、中にサーシャとエリクシアが寝ているのがここからでも見えた。

 すると強い風が吹き、目を逸らして風を避けたら、目の前に息を呑む程美しいエルフの美少女が立っていた。

 エルフの美少女は殆んど透けて見える白い布を羽織ってるだけで、正直全部見えた。


 エルフの美少女は俺に礼を言ってるようだったが、何を言ってるか分からんかったし、どうせ夢なんだからとエルフの体を心ゆくまでガン見した。


 恥じらうエルフの美少女をガン見するのは中々興奮する!

 随分サービスの良い夢だなと思いつつ、俺は美少女を引き寄せ少し強引ににキスをした。ベロちゅーな。

 そして、そのまま最後まで美味しく頂きました。

 夢中でもエルフの美少女は、強烈な快楽に翻弄され、狂おしく悶えた。

 事後その美少女は涙を流して怒って、俺をポカポカ叩いたが、俺が抱き寄せてベロちゅーすると、喜んで舌を絡ませてきた。


 二回戦の試合開始か!と思ったら、エルフの美少女は俺にチュッとキスをして消えて行った。


 「ユーフレミア」と言う言葉を残して。


 こ、これは夢なんだから浮気じゃないよ〜。


 しっかし、エルフっておっぱいっ本当にないのな・・・。十歳体型のサーシャより小さかったよ・・・ある意味尊い!


 そしてまた俺は眠りに落ちた。息子に残る破瓜の印にも気づかずに・・・


 マスター、ギルティー、ギルティー・・・・リフレインが叫んでいた・・・。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る