第9話 旅立ち
俺達はその後サーシャはP90の試し撃ちと、俺の新装備4.6mm短機関銃(B)MP7の試し撃ちを行った。どちらもPDWを代表するような短機関銃だ。お互いに銃を交換して試し撃ちをやったりしたが、サーシャはやっぱり
それにしても、もしかしたらサーシャ、俺より射撃上手いかも・・。
昼食後、俺のプライドは、可愛いサーシャにゴリゴリ傷つけられたが、サーシャと取り留めのないお話をして過ごした。サーシャからは、専ら狼の習性について教えられた。サーシャは、俺に一人前の雄狼の教育を施す使命に目覚めた様だった・・・。サーシャ先生の狼講座だそうだ。
俺達は今晩サーシャの母親のお墓の側で夜を過ごし、翌朝ここを出発することにした。
アーちゃん様が言った通り、サーシャの母親のお墓の周りには、魔獣たちは近寄れず、夜の哨戒も今晩は必要ないので、俺達は安心して眠ることができる。
俺は夜の準備としてサーシャの為に酒保PXから商品を購入した。PXの品揃えが謎なのだが・・・。
コールマン コンフォートエアマットレスS 34P×1個
歯磨きセット 3P×1個
毛布 20P×2個
合計: 81ポイント(レジャーシートも含む)
[功績ポイント:385 →304 ポイント]
そして夕食は、さっき食べたばかりの様な気がするので、軽めにした。
手伸ばし・薪窯焼き製法のマルゲリータピッツァ 5P×2個
国産ケールとローストチキンのサラダ 5P×2個
のむヨーグルト 白桃 1P×2個
バタービスケットサンド キャラメルナッツ 2P×3個
合計: 28ポイント
[功績ポイント:304 →276 ポイント]
サーシャはピザを初めて食べたそうだったが、口いっぱいにピザを詰め込んでニコニコ笑いながら美味しそうに食べていた。サラダも俺が「バランス良く食べないと、大きくなれないよ」って言ったら、ローストチキンと一緒に野菜もモシャモシャ食べたな。ドレッシングが気に入ったようだ。
そしてお待ちかね、デザートタイムである。
「地母神様、お待ちかねのデザートの時間です。どうかお納めください。」
サーシャと二人で唱え終わる前に、バタービスケットサンドがシュッと消えた。どうやらお待ちかねだったようだ。
俺達は二人で苦笑いして、自分たちのデザートを食べた。サーシャも「ンフ――!」って叫んでご満悦だった。ファミマのスイーツ、本当に美味しいよね!
食後は二人で歯を磨いて寝る準備をした。
サーシャによると、こちらの世界でも歯ブラシはあるそうだ。しかーし!前世で入院してた時、ちびっ子たちの歯磨きタイムでは「仕上げのお兄さん」と呼ばれ人気者だった俺である!
サーシャの顔を上に向けて、口を大きく開かせて俺は「仕上人」の仕上げ磨きを披露した。
サーシャに口をゆすがせて、ペッさせた時には、サーシャも歯がピカピカになって気持ちいいと俺の仕上げテクニックに魅了されていた。
そして、二人でサーシャの母親のお墓の脇にレジャーシートを敷き、その上でエアマットに空気をポンピングして寝床を整えた。
「トーマ様、トーマ様!これ凄いです!ふかふかなのです!」と大層気に入ってもらえたようだ。エアマットの上でサーシャがコロコロ転がっている。楽しそうだな。俺も一緒にやりたくなったぞ。
大人の俺は、サーシャと一緒になって遊びたいのをグッと我慢して、寝支度に取り掛かった。
サーシャは着ている装備を外して予備の肌着に着替えて、マットにゴロンした。俺は丸くなっているサーシャに毛布を掛けてやり、俺も装備を着替えてサーシャの隣に横たわって、毛布を掛けた。
サーシャはごそごそと俺の毛布に潜り込んで来ると、背中をぴったりと俺の脇腹に当てて丸くなって眠った。
ゆっくりとお休み、サーシャ。
――――――
翌朝、俺達は夜明けとともに起きだした。
全粒粉サンド サラダミックス 3P×2個
ポテトサラダサンド 2P×2個
果実と野菜のスムージー 2P×2個
合計: 14ポイント
[功績ポイント:276 →262 ポイント]
サンドイッチで朝食を取り、歯を磨いて出発の用意を整えた。
「それじゃサーシャ、いよいよ出発するよ。最後にお母さんに挨拶しよう。」
「はい、トーマ様。」
俺とサーシャは母親のお墓の前に膝をつき、手を合わせて出発の挨拶をした。
「俺とサーシャは出発します。サーシャの事は安心してください。あなたがそうであったように、俺もこの命にかけてサーシャを守ります。だから、ここで安らかに眠ってください。」
俺はそう祈ると立ち上がってサーシャを見た。サーシャはすでに祈りを終えて、温かな笑みを浮かべて俺を待っていた。
俺たちは微笑みながら、どちらからともなく手をつないでサーシャの母親のお墓を後にしたのだった。
◇◇◇◇◇
森の中は相変わらず鬱蒼としており視界が悪かった。
だが、サーシャは驚く程身体能力が高く、俊敏さは俺以上かもしれない。
しかも狼の臭覚と聴覚を備えているので、ある意味チートである。
しかし、俺は今後の事を考えてベルちゃんにお願いをした。
「ベルちゃん、お願いがあるんだ。サーシャにも戦術マップを見れるようにできないかな。それで、俺とサーシャがそれぞれ索敵した敵の位置情報を二人で共有して見れるようにしたいんだけど、できる?
それから、サーシャにもベルちゃんの声を聞こえるようにできないかな?ベルちゃんの事、サーシャに紹介したいんだ。」
[問題ありません。バディーリンク経由で固体名サーシャに戦術データリンクシステムを構築しました。これで索敵情報をお互いにシェアできるようになり、固体名サーシャにも私の声が聞こえるようになりました。]
「えっ、何?綺麗な女の人の声が聞こえる・・・。」
「サーシャ、その声は俺をずっと助けてくれているベルちゃんだよ。う~ん、なんて説明しよう。ベルちゃんは神様達のシステムを改編できるような力を持った凄い人なんだけど、いったい何なんだろう?」
「神様のシステム?・・・えっと、すみません。良く分かりません。ベル様は神様ですか?」
「うん、そうだね。そうかも知れないね。それで、ベルちゃんの力で、俺達が索敵した敵の情報をみんなで見れるようにしてもらったから、一緒に見てみようか。
そんじゃあ、ベルちゃん。最大索敵半径で索敵した情報を戦術マップに表示して頂戴。」
[了解しました。最大索敵半径500メートルで索敵します。
脅威となる魔獣を索敵しました。バトルラビット×235匹、赤でマークします。ゴブリン×11体、オレンジでマークします。ビッグボア×6頭、紫でマークします。以上です。]
「キャー!」俺達はバトルラビットの集団に囲まれていた・・・。
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