追放された最弱ハンター、最強を目指して本気出す〜実は【伝説の魔獣王】と魔法で【融合】してるので、余裕で無双できました。だからお前らが落ちぶれようが、どうでもいいわ〜
第34話 自己紹介という名の洗礼を受けました②
第34話 自己紹介という名の洗礼を受けました②
「ラルフ、よろしく頼む」
「…………」
ラルフは無言でうなずいた。
う、うん、まぁ、いいか。極度の人見知りって言ってたしな。えーと、さっきラルフは魔法を使うって言ってたよな。まずは、様子見するか。
「
「
ラルフは聖魔法で完全に防いだ。しかも魔法の威力に合わせた防御を展開して、無駄がない。魔法に特化したタイプだろうか。
それなら、接近戦に持ち込もう。
「
「
眉ひとつ動かさず、ラルフは右手から氷魔法、左手からは雷魔法を出して、なおかつそれをひとつにして放ってきた。オレは横飛びでギリギリ回避する。壁にあたった魔法は、激しく弾けて消えていく。
うおっ! 魔法がミックスされてる!? しかもめちゃくちゃ威力ある!!
『ほう、なかなかセンスのある奴だな。融合魔法で違う属性のものをひとつにしているぞ。3種類の同時発動は滅多にみかけないな』
それは、オレも初めてだ。どうやって接近戦に持ち込むか?
『ふむ、カイト。アレしかないだろう』
リュカオンの言葉に賛成だけど、その前にラルフから魔法の雨が降り注ぐ。
「
炎と雷の塊が、オレを追いかけるように放たれる。量と威力が半端ない。練習場を走り抜けながら、ラルフにむかっていく。予想通りなのか、顔色ひとつ変えずに防御魔法を展開しようとしていた。
「防御なんてさせるかよ」
まばたきの間に黒狼の姿になり、一瞬でラルフの首元にその牙を突きつける。ラルフの魔法展開は間に合わなかった。突き出した右手には、魔力を込めているが魔法は発動していない。
「はぁ……降参」
カイトは人型に戻って握手を求めた。ラルフも無言で応えてくれる。
「ラルフはめちゃくちゃ魔法のセンスあるな」
「……カイトも強いよ」
ラルフはほんの少し目元を桜色に染めて、ポツリと呟いた。
ああ、可愛いくなるってこういう……なるほど、これはわかる。クソッ、こんだけ美形ってズルいな。まぁ、でも少しは打ち解けられたのか?
「クレイグを呼んでくる」
ラルフはまたさっきまでの無表情になって、練習場をから去っていった。
***
「カイト、なかなかやるね。あのふたりを瞬殺なんて」
最後のひとりクレイグだ。ティノとラルフはすでに終わっているので、見学すると一緒に戻ってきた。ティノはすっかり最初の元気を取り戻している。ちょっと心配してたので安心した。
「最強ハンターを目指してるからな。まだ足りない」
「言うねぇ。じゃぁ、今度はこの国の最強ハンターである、隊長も倒さないとだね」
「そうだな、そのうちな」
「じゃぁ、始めよう」
クレイグは両手剣をまるで重さを感じないかのように、肩へヒョイっと乗せた。
「
青い龍がクレイグに襲いかかる。クレイグは両手剣に魔力を込めて、青い龍をまともに受け止めた。
「
そのまま青い龍は、クレイグの両手剣に飲み込まれていく。
えっ……消えた?
『いや、違うな。あの両手剣に取り込まれたんだ。あの剣は魔法を吸収するようだな』
「それなら、こっちでいこうか……
「へぇ……いい武器持ってるね。ちょっと見せてよ」
そう言ってクレイグは、両手剣をオレの頭めがけて振り下ろしてくる。雷神で受け止めたが、一撃が重い。あんなに軽々と武器を扱っているのに、攻撃を受け止めるだけで次の手を出すのが遅れてしまう。
「
「
青い龍と同じように、全て両手剣に吸収されてしまう。そのまま雷神で攻撃を続けるも、全て魔力を吸われて攻撃が無効化されてしまう。
接近戦でも魔法は吸収されるのか。魔法が効かないとなると、どうしたもんか。なぁ、リュカオン?
『それなら、むしろ腹一杯喰わせてやればよいだろう。我の魔力量を舐めるな』
「うん、そうしよう」
「うん? そろそろ打つ手なくなってきたかな?」
「そうだな、次が最後の一手だ」
雷神で強烈な一撃を叩き込む。クレイグは両手剣で難なく受け止めた。そのまま、オレは魔力を解放していく。
「
「それは効かないよ?」
クレイグは余裕気な顔で、オレの魔力を吸い続けた。それでも魔力の出力を上げていく。
「ちょ……あんまり魔力を出しすぎると、倒れるよ!?」
「いや、まだまだ余裕だけど?」
クレイグが引きつった笑顔を浮かべる。最初の攻撃から結構な魔力を吸い込んでいるはずだ。コイツはどこで満腹になるんだろうな?
「……そろそろギブすれば? フラフラしてきてない?」
冷や汗を浮かべながら、上から目線でクレイグが忠告してくる。残念だったな。オレの魔力量はまだ半分は残ってるんだ。
「やっと半分だ。思ったより胃袋デカいな」
そんなやりとりの間も、どんどん魔力を送り込んでクレイグをジワジワと追い詰めていった。
「クッ……ヤバっ、暴発する!
目の前で両手剣がグニャリと歪んで形を変えた。今度は丸いボール状になっている。クレイグはそれを勢いよく練習場の端に投げつけた。
壁にぶつかった途端、眩い光とともに爆発して建物を揺らした。
「うはー、マジかぁ! 暴発するまで魔力を注ぎ込むとか! クレイジーすぎる!!」
「途中で降参すればよかったのに」
「副隊長のプライドが許さなかったの!」
「で? この勝負はオレの勝ちか?」
「……カイトの勝ちだ。クッソー!!」
そこでティノとラルフが近づいてきた。ティノはニヤニヤしながらクレイグに声をかける。
「クレイグが負けたの、初めて見た! 暴発とかどんだけ魔力吸ったんだよ!」
「ほんと、隊長以来だ。あーあ、武器の修理もしないと」
クレイグは深いため息をついて、爆発跡の残る練習場の壁に目をむける。その先には木っ端みじんに砕け散った、両手剣の残骸があるだけだった。
「あ、クレイグの武器、最後に形変わったよな? あれって魔法か?」
「ああ、僕の特殊スキル、錬金術師の心得だよ。自分の手にある金属なら好きにいじれるんだ」
「武器の改造とかクレイグの趣味だから、何か希望があるなら頼んじゃえよ」
へぇ、錬金術師の心得か。初めて聞いたな。ほんとこの特務隊ってレアな能力者ばっかりだ。だけど雷神には、エルナトさんの気持ちがつまってるから、それだけで充分なんだよな。
「ありがとう、でもオレの剣はこのままでいいよ。むしろリナの武器を頼みたい」
「リナの武器? 持ってきてくれたら改造するよ」
「ありがとう、それなら後で頼みたい。それじゃぁ、ちょっと部屋で休んでていいかな? さすがに疲れた」
「ハハッ、お疲れ! ゆっくり休んで。食事の時間になったら呼びにいくよ」
「ラルフ! 俺と勝負しようぜ! あれじゃぁ消化不良だ」
「……いいよ。やろう」
「さて、僕はアイツを修理しないと……あー、ほんと散らばってる……」
ティムとラルフはまだ訓練を続けるみたいだ。元気だな、あいつら。クレイグは武器の修理に特殊スキルを使っていた。
オレが寮に戻り部屋に入ろうとすると、隣の部屋に割り振られたリナもグッタリした様子で部屋に戻ってきたところだった。
「リナ、そっちはどうだった?」
「う……大丈夫、ちゃんと仲良くなれたと思うよ。カイトは?」
「オレは3戦全勝だった。……疲れたな」
「うん……本当に疲れた」
「「……じゃぁ、あとで」」
こうして、オレたちの特務隊での生活が始まった。
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