追放された最弱ハンター、最強を目指して本気出す〜実は【伝説の魔獣王】と魔法で【融合】してるので、余裕で無双できました。だからお前らが落ちぶれようが、どうでもいいわ〜
第33話 お姉さまたちとハダカのお付き合いをしました
第33話 お姉さまたちとハダカのお付き合いをしました
「えっ! ここ!? 待って! ねぇ、まだ心の準備が!」
クレアとファニーに引きずられるように連れて来られた先には、ひとつの扉があった。リナはなんとか踏ん張ってみるが、ふたり相手では敵わない。
「あはは! 何言ってんの! ただ3人でお風呂に入るだけだよ」
「そー、長旅の疲れを癒してほしくて、用意してたんだよ☆」
「え……お風呂、なの?」
そ、そっか、お風呂ね! なぁんだ、何されるのかわからなくて焦っちゃった。特務隊の人たちって思ったより優しくてよかった。
***
そう思ったのは湯船に浸かるまでだった。
「でー? カイトとはどんな関係なの?」
ファニーが凶器とも言えるフワフワの胸を押しつけて、左腕をホールドしてくる。右隣にはクレアがいて、ニヤニヤしながら腕をからめてきて、とても逃げられない。
「どんなって……パーティーメンバーだけど」
「いやいや、だって健康な男女が3ヶ月近くも一緒に暮らしてんのに、何もないわけないでしょ!?」
クレアがグイグイくる。脱衣所に入ってから根掘り葉掘りきかれて、素直に答えていたらこの状況だ。たしかに、何もなかったわけではないけど……あんな恥ずかしいこと言いたくない。
「そーだよ、よーく見たらまぁまぁイケメンだし、リナもまんざらでもないんでしょ? さっき、私の胸を見てるカイトにヤキモチ妬いてたもんね?」
「ヤッ、ヤキモチなんて妬いてないから!」
私がカイトにむけた視線まで観察されてたなんて……! は、恥ずかしい!!
「ふふ、素直じゃないなぁ。それで、ふたりはどこまでしたの?」
クレアが囁くように耳元で尋ねる。
どこまでした? 何が? 何をしたっていうの?
そこであの夜……お酒を飲んだ夜の記憶がよみがえってきて、一気に全身が真っ赤にそまる。
「えっ……なに、も……してない」
「リナって隠し事できないタイプだね! アハハ!」
「仕方ない。ファニー、ソレの出番だよ」
「任せて。リナ、こっち見て」
「う……ん……」
ファニーと目が合った瞬間、瞳の中の六芒星が飛び込んできた。
「魔眼発動、
そうだ……ファニーは、魔眼の持ち主だった。魔眼と目があったら、その魔法に逆らえない……!!
いやぁぁ、あんな恥ずかしい出来事なんて話したくないのにっ!!
私の意思はまったく反映されず、あの夜の出来事を語り始めた。
***
あれは、プロキオンを出立する2日前の夜だった。カイトの家でのんびりできる最後の夜だからと、普段は飲まない酒を買ってきて祝杯をあげていた。
「ふわぁー! このお酒、甘くて美味しい!」
「なんかベリー系のヤツらしくて、女の子に人気だって店員さんが言ってたんだ。リナが好きかなと思って……それにしてよかったよ」
また、耳を赤くして照れてる。カイトってたまに年上なの? って思うくらい可愛い時あるんだよね。
「カイトありがとう! すっごく美味しい! いくらでもイケる!!」
「はは、飲みすぎるなよ」
カイトが買ってきてくれたお酒は、程よい甘さにほんのり酸味がきいていて、とても飲みやすかった。私のために選んでくれたのも嬉しくて、どんどん飲んでいた。
私は浮かれまくって忘れていたんだ。自分がお酒に弱いことを。
気づいた時には、手遅れだった。
「カイトーー、モフモフ触らせて、モフモフ!!」
「リナ、お前……お酒弱かったんだな……」
「モフモフは? モフモフ出してよぉー!」
せめて記憶がなくなればいいのに、弱いくせに飲んでも記憶がなくならないんだ。だから何を言って、何をしたのか全部覚えてる。
「そろそろ寝ようか」
カイトは苦笑いしながら、テーブルの上を片付けていった。「まだ寝ない!」とゴネる私を2階の寝室へなんとか連れて行ってくれた。
子供扱いされて面白くなくて、とりあえず寝たふりしてカイトが部屋から出ていくのを待った。ずっと聞き耳を立てて、カイトも寝静まったのを確認する。
(よし、カイトも寝たかな。もう! 私を子供扱いして! モフモフ出してもらうんだから!)
私はフラフラしながら、カイトの部屋へそっと忍び込んだ。
カイトもお酒が入っているせいか、全然起きない。ニンマリと笑った私は、なんとかカイトが黒狼のモフモフを出さないかと身体中チェックしまくった。
ふと、手にサラサラと触り心地のよいものが当たる。
カイトの艶々の髪の毛だ。
一向に出てこないモフモフの代わりに、カイトのサラサラの艶髪を弄ぶ。触り心地がよくて止まらない。少しだけ空いている窓から入ってくる風が冷たくて、暖かいところに入りたい。
なんだ、ここにお布団あるし。このサラサラも触れるし、これに入ろう。
モゾモゾと布団の中に入り込み、触り心地のいい髪を抱え込んだ。程よい温もりに急に眠気が襲ってくる。そのまま、リナの意識は深い深い闇へと落ちていった。
「ん……」
窓から差し込む朝日に、眩しさを感じてリナは少しずつ覚醒していく。手のひらには、サラサラとした触り心地のいいものがある。
昨夜、寝る前にそれを堪能した覚えがあった。
あー、サラサラ気持ちいい……はー、癒され————
「リナ……起きたか?」
リナはバチッと目を開いた。
なんで私のベッドでカイトの声が聞こえるの? ていうか、このサラサラって何? カイトの声が、やたら近くから聞こえた気がする。
恐る恐る、そのサラサラに目を向けた。
そこには、リナの胸に顔を埋めるカイトの頭があった。しかも、自身で抱きしめるように腕を回している。
そして、なぜかリナはネグリジェを着ていない。いま身につけているのは下着だけだ。しかもここは、カイトの部屋だ。これは明らかに私がやらかした感じだ。
えええ! 何この状況!? なんでパジャマ着てな…………いや、昨日の夜、途中で暑くなって自分で脱いだんだ。パンツ! パンツは!? セーフ! セーフ!! パンツは履いてた!!
ど、どうしよう!? 身動き取れない! 動いたら胸を見られちゃう!! どうしよう!?
「リナ……?」
「お、おはよう! カイト!」
テンパりすぎて声が裏返ってる。もうこの際そんなことはどうでもいい。どうやって、この状況を打破すればいい!?
「よかった、やっと起きた。オレ、このまま目を瞑ってるから、とりあえずパジャマ着てくれる?」
「わ、わかった!」
また、声が裏返った。いやいや、それよりも『やっと起きた』って言った!? もうヤダ。恥ずかしすぎて、もうカイトと顔合わせらんない!!
「着替えたら、そのままお風呂入ってくるね!」
「うん、じゃぁ、朝ごはん用意しておく」
「うん、じゃ、あとでね!」
そのまま速攻でネグリジェを着て、バスルームに駆け込んだ。
ルームメイトになって、記録的に気まずい朝ごはんだ。カイトの一言にうなずくしか出来なかった。
「……リナはもうお酒は禁止な」
「……はい……」
***
「えー!! その状況でカイトは何もしなかったの!?」
「ありえない! なんて腑抜けだ!!」
なぜか分からないけど、ファニーもクレアも怒り狂ってる。カイトが何をするっていうの? だって、私のことなんてきっと……なんとも思ってないよ。あ、ちょっと本当に涙出そう。
「はぁぁ、魔眼とかズルイよ……本当に恥ずかしいのに……」
「えっ……ちょっとクレア、このウルウルしながら真っ赤になって恥ずかしがってるの、可愛くない?」
「うはっ! ダメだな、これは破壊力がありすぎる! あれかな、カイトはむしろ神レベルの忍耐力があるのかな?」
「うーん、そうだとしてもねー。乙女心としては、逆に魅力がないのかもって自信なくすよね?」
「そうなんだよな! 適度に手は出して欲しいとこなんだよなぁ」
あ、やばい。恥ずかしいだけじゃなくて、すごくフラフラする。お風呂から上がらないとヤバ————
「「リナ!!」」
————どうやら私はのぼせてしまったようで、クレアとファニーが慌てて介抱してくれた。精神的なダメージはさておき、無事に打ち解けられたみたいでホッとしていた。
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