追放された最弱ハンター、最強を目指して本気出す〜実は【伝説の魔獣王】と魔法で【融合】してるので、余裕で無双できました。だからお前らが落ちぶれようが、どうでもいいわ〜
第30話 決着がついたら国王軍にスカウトされました
第30話 決着がついたら国王軍にスカウトされました
「決闘はここまで! ただいまの瞬間をもってカイトの勝利とする!!」
ここで国王が高らかに決闘の終了を告げた。
そこへ騎士団がやってきて、魔力封じの腕輪をミリオンパーティーの全員につけていく。腕輪をつけられた時に、ミリオンが意識を取り戻した。
「なっ! なんだよ、これは!?」
ミリオンが抵抗しようとするも、すでに腕輪は機能していて騎士たちには敵わない。
そこへやってきたのは、リナの誘拐事件を捜査していた第二騎士団の団長だった。
「国王陛下、ご指示の通りカイトパーティーのメンバー誘拐の主犯を取り押さえました」
「そ、そんなこと……してない」
ミリオンはまだ認める気はないようだ。いい加減諦めろよ。
ここで国王が闘技場に降りたった。3メートルの高さのある貴賓席からフワリと舞い降りる姿は、どう見ても騎士や素人の動きじゃない。
もしかして、国王もハンターやってた事あるのか……?
国王は騎士に押さえつけられている、ミリオンの前に立った。
「ミリオン・ナバス」
その声は低く、あふれそうな怒りを押し込めているようだった。誰もが口を閉ざしている。
「今の決闘でもカイトが魔力を正しく操っているのは証明された。彼の大切なパーティーメンバー誘拐の主犯だという事もわかっている。証拠はすでにおさえてあるのだ」
ミリオンは何も言えずに、震えていた。
「私の命の恩人であるカイトを侮辱しただけでなく、このような卑劣な真似を私は許さない!」
その言葉に王者の覇気があふれ出た。オレよりも年季の入ったヤツだ。普通のヤツがもろに受けたら、立ち上がれなくなるだろうな。
「君にはもはやハンターとしての資格はない。ミリオンパーティーは全員、魔法封じの腕輪をつけた上、ハンター資格を剥奪。そののち流刑地へ送る。そこで残りの生涯を過ごせ————以上だ」
ミリオンはもう自力では立てず、騎士たちに引きずられるように連れて行かれた。他の3人は意識がないので、そのまま運ばれていく。
「皆のものよく聞くがよい! ここにいるカイト・シーモアは、あのレッドドラゴン討伐に大貢献したハンターである!! その身に魔獣の力を宿しているが、今見た通り何の問題もない!! この時より、私の名において彼を侮辱、迫害することは許さない!! カイトこそが、英雄なのだ!!!!」
国王のこの言葉に、闘技場からは「ウオオォォォォーーッッ!!!!」と大歓声があがった。
割れんばかりの歓声に、オレがビビった。下手したら弱いものいじめなんじゃないかって、途中から思ってたんだよな。
「これで少しは恩返しができたであろうか?」
いきなり国王が話しかけてきた。ビックリしすぎて、一瞬返事につまる。
「は、はい。ありがとうございます。お陰でスッキリしました」
「ははは、それは良かった。ところでカイト、君は国王軍に興味はないか?」
「……国王軍、ですか?」
「うむ、特務隊のフリーハンターとしてやってみないか? もちろんリナ・クライトンも一緒に来てほしい」
「フリーハンターになったら、魔獣を
オレにはまだやり遂げたい目標がある。それが目標達成の邪魔になるなら、そもそも国王軍に入る意味はない。
「カイトは魔獣を
「そうですか……返事は少し待ってもらえますか? リナとも相談したいので」
「ああ、構わない。返事はいつでもよい。決まったら騎士団かエルナトに伝えてくれ」
「わかりました」
「では、よい返事を待っている」
そう言って国王は闘技場から去っていった。
国王軍か……ぜんぜん考えたことなかったなぁ。住むところも変わるなら、いろいろリナと相談しないと決められないな。
そして未だに歓声を送ってくれる人たちにどうしていいのかわからず、深く頭を下げてから闘技場を後にした。
***
「おい、何を勝手にウチの大切なハンターをスカウトしてるんだ」
「ああ、エルナトさん。聞こえてましたか」
私が退場する通路にいたのは、プロキオンのギルド長エルナト・ヘイズリーだった。
第一王子だった私は16歳から父が亡くなるまで、海外留学という名目で表舞台から姿を消し、ハンターをやっていた。その時に世話になっていたのが、このエルナトさんだ。
いまここにいるのは彼と私のふたりだけで、こういう時は昔のように気安く接してくれる。それがとても嬉しかった。
「聞こえてましたかじゃねぇ。カイトはウチの大切なハンターだ。横取りするな」
「そうは言いますけど、あの実力をプロキオンだけで使うのはもったいないですよ。これでも国王なんで、国益を優先します」
エルナトさんは、私と一緒に歩きながら不満をこぼす。この人は部下のハンターの前だと紳士的だが、私の前では素に戻るのだ。お互いに気を張らなくていい、貴重な存在だ。
「それを言われると、反論できないとわかってんだからタチが悪い」
「何を言ってるんですか、エルナトさんだって国王をアゴで使うくせに。今回だってかなり協力しましたよね?」
そう、今回はエルナトさんから頼まれて、いろいろ手を回したのだ。
カイトとリナをハンター派遣に招集するところから始まり、ミリオンパーティーというハンターたちの処分をした。実際に犯罪者だったから、容赦しなかったけれど。
「ああ、たまには新鮮でいいだろ? ランディ」
ニヤリと笑う顔が憎たらしい。昔の呼び名で呼ぶのもいやらしいと思う。この人のどこが聖者なんだ、素はこっちだぞ。
「はー、もう勘弁してくださいよ」
そう言いながらも、私はエルナトさんとのこんな掛け合いが楽しくて仕方ないんだ。
だからきっと次もまた、協力してしまうだろう。
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