追放された最弱ハンター、最強を目指して本気出す〜実は【伝説の魔獣王】と魔法で【融合】してるので、余裕で無双できました。だからお前らが落ちぶれようが、どうでもいいわ〜
第11話 ミリオンパーティーの行く末は③
第11話 ミリオンパーティーの行く末は③
「それじゃぁ、ティーン。薬草と素材の仕分けは頼むぞ」
「うん、わかったわ。任せて」
「じゃぁ、次は3日後にギルドだな」
「チッ、じゃぁな」
街に戻ってきたミリオンたちはギルドに報告したあと、まずは一晩ゆっくり休んだ。限界だったのだ。
その翌日の午後にギルドにある倉庫に集まって、それぞれ回収したものを持ち寄っていた。
討伐証明は受付へ、採取した薬草や回収した素材は倉庫へというのが討伐から戻ったハンターたちの流れだ。
トレットは野営の準備をしたし、サウザンは最初に火の番をしてほとんど眠っていなかったので、薬草と素材の仕分けはティーンが任命される。
「ふふん。こんなのすぐ終わらせて、次の討伐までのんびりしちゃおうっと」
ティーンは最初、余裕だと思ってた。
薬草の知識も少しはあるし、回収した素材だって魔法が得意だからすぐに加工できると思ってた。
「ちょっと、これどっちなのよ!? さっきから似たようなのばっかり……アイツらごちゃ混ぜにしすぎなのよ!!」
ひとつひとつ選別して仕分けるのに、ものすごく時間がかかっていた。だがこれをやらないと売った時の査定額が、半分以下になってしまう。
つまりは、それほど骨が折れる作業だった。
「はーっ! もういいや、薬草はこのまま売っちゃえ。じゃぁ、次は素材ね。こっち……な……ら」
素材は回収の仕方が雑だから、まずは洗浄が必要だった。魔獣の血や泥がついていて、そのままでは使えない。
これまた洗浄するのに時間かかるし、このまま売ったとしても価値がほとんどない状態だ。
「こっ、これは……私、水魔法適性ないのに……」
他のパーティーメンバーは、そもそもここまで素材の汚れが酷くないし、水魔法が使えるハンターたちがサクサクと処理していってる。
(でも……私はSランクパーティーのハンターなんだし、あんな底辺のハンターにお願いなんてできないわ!)
仕方なくティーンはひとつひとつ洗浄して、処理を進めていった。
全ての処理が終わるのに、その日の夜までかかった。
ティーンがグッタリして部屋に戻ると、同棲中の恋人ミリオンがいてくつろいでいる。
「随分遅かったな。なぁ、ティーン……」
といいながらミリオンは帰ってきたばかりのティーンを抱き寄せだ。軽いキスを落としながら、ミリオンの手は怪しい動きでティーンの身体を撫でまわしている。
このままベッドに連れ込む気だ。
「ちょっと! 先にお風呂に入りたいし、すごく疲れてるから今日は気分じゃないの」
「風呂なんて気にすんなよ。ティーンはいつもいい匂いだよ」
「半日も立ちっぱなしで疲れてるの、ゆっくりしたいのよ」
そういうことじゃないと、ティーンはイライラし始める。たった今までくつろいでいたミリオンには、わからないのだろうか?
「いいじゃないかよ、ちょっとくらい。俺がその気にさせてやるよ」
そう言ってティーンの服の中に手を入れてきて、ハリのある豊満な胸を弄びはじめた。
「嫌だって言ってんじゃない!!」
思いっきり遠慮なしに、ミリオンに平手打ちをくらわせた。
「ってーな! なんだよ、ティーン! お前ふざけんなよ!!」
思い通りにならないのと、平手打ちされたことにミリオンもブチ切れて、ティーンを怒鳴りつける。
「ふざけてんのはミリオンでしょ!? アンタだけ何にもしてないじゃないのよ!!」
「はぁ!? 俺はリーダーとしての役目を果たしてんだ! お前らこそちゃんとやってんのかよ!?」
「何がリーダーよ!! 自分がやりたくないから、私たちに仕事振っただけじゃない!!」
「魔獣の襲撃に、一番最初に気づいたのは俺だろ!」
「あんなの、たまたまでしょ!」
その日の深夜まで口論は止まらず、ふたりは最悪な気分のまま眠りについた。
次の日の朝にはなんとか仲直りをして、そこからはふたりの世界にどっぷり浸かっていた。
***
結局、集合日の前夜もふたりでハッスルしてしまい寝不足でギルドに出勤してくる。
トレットとサウザンは、いつものようにイヤそうな顔を隠しもせずにミリオンたちと合流した。
しかしそこで他のパーティーから聞いたことに、ミリオンたちは愕然とする。
「は…………? カイトが、再チェックしたらSSSランクだって……?」
カイト————ついこの前俺たちのパーティーから追い出したばかりだ。
だって、アイツはFランクじゃないか。それがなんで、どうやったらSSSランクになるんだ?
ミリオンは何か引っかかるものを感じるが、他のパーティーメンバーの話に耳を傾ける。
「そうなんだよ、受付で黒いハンターカード出しててさ。マリーさんもたしかに、SSSランクって言ってたんだよ」
「えー、マジかよ! どうやったらそんなにランク上がるんだ!?」
「なんかズルでもしたんじゃねぇの? だってあのカイトだぜ? 多分うちのリナより使えないぞ?」
「そうかな……たしかにハンセンの所のリナはAランクだもんな。暴発さえなけりゃ、使えるもんな」
「それが一番ネックなんだけどな。この前もさ……」
そしてカイトの話題から、3ヶ月前にこのプロキオンにやってきた放浪のハンターへと話題は変わっていった。
ミリオンは何も言えずにいた。
ウソだ、ウソだ、ウソだ!
アイツがSSSランクなわけない!! だってずっと俺たちの後ろで、雑用しかやってきてないんだぞ!?
幼なじみの俺がハンターになってからずっと見てるけど、アイツは間違いなくFランクだった!
もしもランクが変わったっていうなら、俺たちのパーティーを抜けたあとなのか!? この数日で一体何が起きたんだ!!
クソッ! なんなんだよ!!
ミリオンたちは騒つく心にフタをして、前回の失敗を取り戻すために新しい討伐依頼を受けるのだった。
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