第12話 相棒爆誕
どうもこんにちは、莉愛です。スキルの検証をしてから迎えた今日、勇気を出してダンジョンの外に出ようと思います。いつまでもこもっていられないですし。さあ、レッツゴー!
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・・・勢いよく飛び出したものの魔物が一匹もおらん。ほら、スイッターとか見たからうじゃうじゃいると思ったのよ。なんかいっぱいいるみたいな呟き方だったし。でも現実にはもうそれはそれは静かなのよ。『シーン』て聞こえそうなくらい。まあ、ダンジョンに逃げ込んだ時も遭遇しなかったし。でもちょっと拍子抜けしそう。
「魔物はいないけど、それっぽい痕跡なら結構あるな」
そう、魔物の姿はどこにもないけど家の周りの道路や他の家に普通ならありえないような跡があった。家の壁や道路が溶けていたり爪の跡があったり、そこら中に血の痕が。幸いと言っていいのかわからないが死体もなく匂いもなかったから吐くことはしなかった。・・・夢に出てきそうではあるが。ミステリーのドラマなどでよく見るがやはり実際に見てみるとゾッとする。
「よし、死なないようにしよう」
改めて決意していると近くから物音がした。それを聞いた私は身構える。しかし何かがこちらに来ることはなく、ただ視線の先の方から音がするだけだっだ。
(一応確認しといたほうがいいよね?)
私は音のする方に恐る恐る近づく。塀の影からそっと覗くとぷよぷよとしたお饅頭ぽい形の色付き半透明の何かが複数ぷよぷよ、ぽよぽよしていた。
(・・・スライム?)
見た目がまんまスライムだったので鑑定する。結果にはやっぱりスライムと出ていた。
(なんか可愛い)
ぷよぷよしているスライムに思わずそう思った。けどなんか様子が変だった。よく見てみると複数のぷよぷよしているスライムの中で1番小さなスライムを他のスライムが虐めていたのだ。
(スライムの中でもカースト的なものがあるのかな?)
私はそう思った。でもよく考えたら魔物ってラノベだと実力主義のような感じだったのだ。この世界に出てくる魔物もそうなのかもしれない。
(なんか可哀想。・・・助けてあげようかな)
可哀想に思ったのもあるが、それ以外にも見て見ぬふりをするのはどうかと思ったのだ。後味悪くなるだろうし。
(そうと決まったら早速・・・さっきの鑑定では魔法が弱点だったよね)
私は魔法を発動させる。属性は風にした。初めての攻撃だから不可視の攻撃で相手が避けにくいようにして当たる確率を上げるためだ。
(エアカッター)
私はそう念じた。スキル検証の時念じても発動するか確かめたら発動したのだ。だからより気づかれにくいように念じて発動させた。私が放った攻撃は小さいスライムの周りにいた5匹のうち2匹を切り刻み倒すことができた。だがそれによって残りのスライムに気づかれた。私に残りの3匹が襲いかかってくるが進化した影響なのか動きがゆっくりに見えたため難なく避けることができた。攻撃し損なって隙ができたスライム達にすかさず"エアカッター"で攻撃した。スライム達は避けきれずにエアカッターの餌食になりそのまま倒すことができた。
「ふー、倒せた。あれ?なんか落ちてる」
倒したスライム達は消え、代わりに何か落ちていた。とりあえずドロップ品だと思ってスキルで収納しておき、確認は後ですることにした。まずはあの小さなスライムだ。
「大丈夫?」
私が問いかけるとそれまで呆然としていたスライムは私に助けられたとわかったのかぷよぷよの体で近づいて私の足にすり寄った。
(すっっっごく可愛い!)
愛らしい動きに私はメロメロになる。すると声が聞こえた。
『スライムをテイムしますか?』
何が条件かわからないけどテイムできるようだ。
「私と仲間になる?」
私が聞くとスライムはぽよよんと頷いたような動きをした。これはテイムしてもいいということだろう。
「よし、じゃあ今日からよろしくね!」
私がはいと念じると優しい光に包まれた。やがて光が消え、鑑定をするとスライムに名付けが可能になっていた。テイム成功ということだろう。
「えっと、あなたのの名前は・・・マリン!」
マリンは宝石のパライバトルマリンからとった。マリンの体はパライバトルマリンみたいに南国の海を思わせるような鮮やかなネオンブルーだったから。それにパライバトルマリンの石言葉は「希望、原点、友情」。今の私とマリンにぴったりだと思った。マリンは名付けられるととても喜んでぽよんぽよん跳ねた。そうして私たちは仲間になった。
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