第352話 352.各城塞都市の思惑

◇◇アルバーノ・フォンティ ◇◇


草原に集まった14万の軍勢

軍を動かすのはそう簡単な事では無い

14万人の食料

そして弓矢や武器

衣料品

怪我薬

包帯・酒

兵が集まれば集まっただけその兵を統率するのには大変な労力が居る。

エデンまでは約250キロ

この14万もの人員を統率しこの250キロの魔獣の溢れる危険地帯を無事に通過させなければならない

歩兵は歩きで昼夜問わずに歩かせればエデンまで早く着くが、それでは兵が疲弊してエデンに着いた頃には戦う事すら出来なくなってしまう。

無理をさせない範囲で歩かせるとしたら40キロが限界か・・

しかしそうなると6日以上かかってしまう。


これだけの兵力が有れば一度レイアード城塞都市を落として前線基地とする事も出来るが、そうなるとエデンに気づかれ逆に対策をとられるかもしれん・・・

今回は、エデンにこのままの勢いで押し寄せ、一気にエデンを落とす方が賢明だろうな


レイアード城塞都市周辺は魔獣駆除が行われ安全だと聞く

問題はフォンティ城塞都市からレイアード城塞都市までの役200キロの間の強力な魔獣が蠢く区間だ


14万と言う軍を動かす事で魔獣を刺激してどんな行動に出るのか予想が付かない。




今回出兵する城塞都市領主に集まってもらい一度問題をすり合わせを行う事にしたのだった。

俺はまず開口一番に全員に今回集まってもらった事にお礼を述べる。


「今回エデンを攻め落とすという大義の元、これだけの兵を集め集まってもらった事に礼を述べたい。ほんとうにありがとう。

エデンはラドス次ぐ2番目の塩の産地だが、質・量共にラドスの塩を完全に抜いている。脅威なのはエデンの領地が出来て4カ月に満たないという事だ。

そうして先日エデンは『浮遊島』などというとんでもない物を天空に浮かせた。

噂では何処の船かも解らない帆船が空を飛んできてエデンを急襲したそうだが、瞬殺されてしまったらしい。恐らくだがその空を飛ぶ帆船の魔道具をエデンが手に入れあの『浮遊島』を建設したのではないかと言われている。

しかし謎も多い!!

あの短期間にあれだけの巨大な『浮遊島』を作れたかという疑問だ

そしてその『浮遊島』の上には真っ白の豪華絢爛な城が建っている

それよりも不思議なのは『浮遊島』の上部を包む透明でキラキラと光を反射する巨大な膜にたいな物

全てが解らないことだらけだ。


一つ言えるとしたら、このままエデンを放って置けば我々はエデン城塞都市に奴隷にされる未来しかないのだ。


今回集まって貰ったのは他でもないエデンの攻略方法についてだ

このままエデン城塞都市に突っ込みエデン城塞都市を14万の兵で一気に奇襲するか


それとも


レイアード城塞都市を14万の兵で落とし、レイアード城塞都市を前線基地としてエデンを落とすかどちらがいいかという問題だが、各城塞都市の領主殿自由に意見を述べて欲しい」


「アルバーノ殿、一つ確認なのじゃが、エデンを攻略した後の分け前はどうするお積りかな?」

「マストロ城塞都市のご領主アドルフ殿、それに各城塞都市のご領主殿エデンの領地の分け前は此処に集結された城塞都市で等分という事ではいかがかな?此処に集まった10城塞都市の代表が集まりエデンの領地にて運営し、塩の売り上げやエデンの領地の利益を均等に分けるという事でどうでしょうか?」


「アルバーノ殿それは良いな。だが『浮遊島』の権利はどうするのじゃ?」

「ケストナ城塞都市のご領主ユベール殿、それも10都市で共有という事ではいかがかな?全て平等に権利を有せば不満も出ないのでは?

いまエデンの権利の事をとやかく言っても、先ずはエデンを落とさなければ話は始まりません

先ずは調節エデンを奇襲して落とすか、それともレイアード城塞都市を落とし前線基地としてレイアード城塞都市を根城にエデンを落とすか決めようでは有りませんか」


「アルバーノ殿エデンをそのまま奇襲して落としたので良いのではないか?」

「モナストリア城塞都市のご領主フェルナンド殿は奇襲が良いとゆう事ですな?そうなると歩兵の疲弊がどう影響するかなのです。1日歩兵が歩くのが40キロとすろとエデンまで6日以上かかります。これを短縮しようと思えば昼夜問わず歩兵を歩かせてエデンに到達するという手も有りますが急げば急ぐ程歩兵の疲弊は限界に達し戦闘出来る状況ではなくなるでしょう


私もこのまま一日40キロの日程で6日以上かけてエデンに奇襲をかけるのがいいのか、兵を一旦休める為にレイアード城塞都市を前線基地とする為にレイアード城塞都市を落とした方がよいのか、思案しているのです」

「なる程な~我々は乗馬しておるから疲れはそれほどでも無いが、歩兵か・・

私もこんなに遠くまで兵を進軍させたことが無かったから失念しておった

私はエデンにこのまま進軍して奇襲をかける方を提案する。エデンに時間を与えればそれだけ状況は悪くなると私は思うのだが他のご領主殿はどう思われるかな?」


「ピルコス城塞都市のオーバン殿が言われた通り、エデンの城塞都市に考える時間を与えれば我々が殲滅されるかもしれんな。

アルバーノ殿も言われておったが、何処の船とも解らない船が空を飛んでエデンを襲って瞬殺され大破し、エデンがその船を浮かせていた魔道具であの『浮遊島』を浮かせたとしたら、相当の技術力を持っていると考えられる。エデンに時間を与えるのは脅威でしかない!!

このままエデンを奇襲しようでは無いか」


・・・


各城塞都市共に、エデンに考える時間を与える事は脅威でしかない!!

このまま14万人の軍は進み直接エデンを奇襲する事が決まった。

だが一つだけ変わった事は、一日50キロを踏破し5日後エデンを奇襲する事が決まった。


つづく・・・

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