第323話 323.ラドス塩販売部隊の不運
◇◇◇◇
エデンの塩を大々的に販売しだして60日以上が過ぎた。
つまり
馬車が一日60キロ走るとすれば60日で3600キロ
エデンからラドスまでが4000キロ
エデンの塩はラドス城塞都市の手前400キロのアンレッタ城塞都市まで運ばれてきていた
運んできたのはエデンから東に200キロ離れたカゼルタ城塞都市の馬車200台を連ねた商人マーレ商会の商隊だった。
エデンから馬車200台で移動しながら塩を売り、空いた馬車に城塞都市で購入した食材を積んで次の城塞都市で売り捌きぼろもうけだ。
今まではラドス城塞都市聖ドニアス協会の息のかかった商人により10キロ金貨1枚、気分次第で金貨2枚なんてとんでもない商売をしていたが・・・
誰も逆らえないでいた。
生活必需品である塩が無ければ生命活動に重大な影響が出て来る。
塩の取り過ぎも良くないが塩分を全く取らないと体液の浸透圧のつりあいがくずれ、病気や最悪の場合死ぬ。
それに塩味が無いと人間は美味しく無いと感じる
そんな状況が今年はガラリと変わった。
エデンからマーレ商会の商隊の馬車が塩を満載してアンレッタ城塞都市に着いたのだ。
マーレ商会の商隊を任されているベンは場所を借りて即時に塩や前の城塞都市で仕入れた商品を売り捌いて行く
ベンが商売上手だ
来る途中の城塞都市で仕入れた商品をある程度買ってくれたお客には
10キロの塩袋大銀貨5枚を大銀貨4枚で販売
1キロ入り塩袋ならば小銀貨5枚の所小銀貨4枚で販売
元は
エデンで10キロの塩の袋が大銀貨1枚、1キロ入りの塩の袋が小銀貨1枚
値引きして売り捌いてもこの位痛くも痒くもない
それが大当たりして塩と積んで来た商品が飛ぶように売れてゆく。
不幸な事に丁度そのラドス城塞都市から400キロ離れたアンレッタ城塞都市にやっとの事でマーレ商会の商隊の馬車から遅れる事2日、馬車50台に塩を満載したストリアーレ商会のデニスが率いた馬車が入って来た。
「やっと来た~前のレベッタ城塞都市でも金貨2枚で塩10キロを売りつけてやったぜ!!ちょろいもんだぜ」
と言いながらアンレッタ城塞都市の正門で検問を待つ馬車を抜いて検問をする兵士に
「今年もラドスのありがた~~い塩を売りに来てやったぜ!!先に入らせろや~」
と検問をしている兵士に詰め寄るデニスだったが・・・
「あ~今年はストリアーレ商会の塩は要らないって領主様が言っていたぜ。積んでいる塩を持って帰るんだな」
「何だと~ラドスの塩が無かったらお前ら生きてはいけないんだぞ!!
ここで『すみませんでした』って謝って金貨1枚出すんならこの街で販売しても良いぜ」
「何を寝言を言っているんだ?塩はエデンから安い塩が入っているから間に合っている。今すぐ積荷の塩を持って帰るんだな」
兵士はそう言って城塞都市に入る他の並んでいる商隊の馬車の入門手続きに戻って行ったのだった。
仕方なくデニスは並んでいる商隊の馬車の最後尾に馬車を付けて順番を待ったのだが・・・
順番が来ると
「ストリアーレ商会の馬車は全部で50台だな、入城料は全部で金貨50枚になる」
それを聞いたデニスは激怒した
「昨年までは、入城料なんて払わなかったぞ!!それに馬車1台入城料が金貨1枚とはどういう事だ!!」
「ストリアーレ商会はこのアンレッタ城塞都市に来た時
『ラドスの有難い塩を売ってやるんだ!!入城料金なんて塩代で差っ引いてやるよ』
そういって1回も入城料金を払わなかったじゃないか?
だから今までの分も入城料を貰うのさ。嫌なら払わないでも良い。その代わりアンレッタ城塞都市には入らさない。払うのか?それとも払わないのか?どっちだ?」
デニスはそう言われてはいそうですかとは言えない!!
「後悔するなよ!!」
そう捨て台詞をのこして、次の城塞都市に馬車を進めたのだが・・・
何処の城塞都市も受け入れてくれる城塞都市は無かった。
つづく・・・
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