第203話 203.悪巧み

◇◇レイ◇◇


俺達が保育園の開園作業を急ピッチっで行っていた時、ジュリアっていう髪をサイドツインテールにしたメイドさんが来てスカートの裾を


『チョン』


っと両手で摘まみ膝を折って優雅にカテーシー

「トレノアの城塞都市からトレノアギルドマスターのデリック・アラン様がお供の方10人を連れてご主人様にお会いしたいとシンデレラ城に来られていますので直ぐにお戻りください」


と俺の腕を


『ガバッ』


っと抱き締めてそのまま引っ張って行く。

余りの手際の良さに女神様、レイラ、クリスティーナとクリスティーンの双子ちゃんも気が付いたら俺はジュリアさんに連れていかれていた!!


恐るべしジュリアの余りにも自然な誘拐技術?

女神様、レイラ、クリスティーナとクリスティーンの双子ちゃんも慌てて後に続いて移動して来たのだった。

最近もうシンデレラ城がエデンの象徴として定着

昨日作った全長300メートル、高さ100メートルの白亜のお城は何だ?と噂になり始めているが・・

一番の話題はホテルの一階のプールで戯れる妖精・・モトイ、布面積滅茶少ないビキニを纏ったメイドさん達がきゃっきゃうふふ戯れている姿


プールに作った砂浜で白熱戦を繰り広げている


『ビートバレー』


も話題沸騰中らしい。


俺達がシンデレラ城に帰って応接室に行くとトレノアのギルドマスターらしき白髪のガタイの良い男性と10人の男女が席について待って居た。

ジュリアに腕を抱き締められた俺を見ると一斉に立ち上がり


「お初にお目にかかりますトレノアギルド、ギルドマスターをさせてもらっっています。デリック・アランと申します。今日はお願いかあってまいりました」


と挨拶をするギルドマスターのデリック・アラン

俺も

「エデンの領主みたいな事をさせて貰っていますレイ・ヤギリです。皆様まずはお座りください」


と言ってギルドマスター達を座らせたのだけれど・・・

ジュリアさん?

なんでまだ俺の腕を抱き締めたままなのですか?

俺はジュリアさんの肩をポンポンと軽く叩くと


『にこっ』



っと微笑んで俺から離れ

スカートの端を両手で


『チョン』



っと摘まんで優雅に膝を折りカテーシー

そうして一礼して退出してゆく

俺はダンジョン産メロンフルーツのジュースを入れたカットグラスを人数分取り出すとレイラとスティーナとクリスティーンの3人がトレノアギルドの皆の席の前に配ってくれる


そうして俺の無駄に錬成した地球のお菓子をテーブルの何箇所かに山盛りにして置いて行く。

「どうぞお召し上がり下さい。食べながらお話ししましょう」


俺の言葉に皆がカットグラスに入ったメロンフルーツのコップを手に取りマジマジと上から下から、そうして全方向から眺め始めている。


この世界じゃガラス何て物は無いからな

珍しくて当然だろうな


特にカツとされたグラスの模様に光が反射しキラキラと輝いているしな!!

レイラ、女神様、クリスティーナ、クリスティーンはもう慣れた物で


『ゴクゴク』


っとメロンフルーツジュースを飲み干して


「おかわり」


あ~女神様は平常産んでんですね~

「はいおかわり」

と女神様に代わりのメロンフルーツジュースの入ったギンギンに冷えたカットグラスを渡す。

皆も女神様の行動に安心したようでやっとジュースに口を付けたようで・・


「「「「「「「「「「美味しい」」」」」」」」」」


うんうんそうなりますよね~

中毒性が有るからね~

有るだけ欲しくなる


「早速ですがデリックさんどのようなご用件でしょうか?」

と俺が聞くと

「先ずは報告なのですがダナンの城塞都市がトレノアの領主によって滅ぼされました」


やはりトレノアの城塞都市が動いたか・・・

予想はしていた!!

俺は救える者は救うが、自分の意志で残った者は自己責任・・・

って割り切っていたんだが、真実を突き付けられると心が痛むな


「そうですか残念です」


と俺が言うと


「あまり驚かないのですね」


とデリックさんが不思議そうな表情で俺を見る


「ええ~予想はしていましたからね」

「あの夜襲を予想されていたのですか?」

「ダナンの城塞都市は夜襲されたのですか?」


って事でダナンでの出来事をデリックさんの口から聞く事になったのだった。

そして


「トレノアの住民は、今回の事でトレノアの城塞都市に見切りをつけ始めています。

横暴な領主ジョージ様の行動、戦争で死んだ人達の保証もしないし、強制的な徴兵に、働いた者にもトレノアの城塞都市にいる当然の義務だと言ってお金も全く払わない有様で、『気に入らなければトレノアの城塞都市から出て行けば良い』と言って全く受け付けてくれません。

なのでトレノアギルドはこのエデンに移転させてもらえないかと考えているのですが如何でしょうか?」


うそん~

ダナンのギルド受け入れてしまって、エデンのギルドにしちゃったからな~

一つの領地に二つのギルドは要らないし・・・


「実は・・・」

って事でダナンギルドを含めたダナンの人達2万人を受け入れた事を話すと・・

「そんな事があったのですか・・・

流石アンジェリーナ様ですな。私共がもう少し早く行動していればこのエデンに移転させてもらえたかもしれないと思うと残念です」


と俯いて黙ってしまったデリックさん。

試しに俺は

「トレノアの城塞都市の方々は全員、トレノアの領主様を嫌がっているのですか?」

と聞いて見たのだが

「あの糞領主など領主館に居る人以外は誰も好きな人は居ないでしょう」

と吐き捨てるようにデリックさんは行ったのだった。


「あの~私、これから独り言を言いますから、聞かなかった、見なかったという事にして下さいね~」


って言うと

ギルドのメンバー全員が


「「「「「「「「「「何を?」」」」」」」」」」

って驚いている


「私が作った水にですね~と~~っても燃えやすい水が有るんですよ~」

といって霧状に指から射出した少量に俺の錬成したガソリンに火魔法で引火させると


「ボンッ」


っと大きな音を立てて俺の目の前が燃え上がる。



全員がそれを見て


「「「「「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお~」」」」」」」」」」



っと悲鳴を上げる。


「こんな風に凄く微量な量でも燃え上がっちゃうわけですね。

いや~本当に危なんですよこれ~超~扱い方が難しいんです~

もしも、こんな物がトレノアの領主館で燃え上がったら大変ですよね~

一瞬で燃え上がって逃げる暇なんて無いでしょうね~怖いから絶対にそんな事しないでくださいね?」


「何を!!何を言っているのですかレイ様!!あ・・」



っと言ってデリックさん急にだまって考えこんじゃいましたね~~



・・・


・・・


そうして暫く考えた後・・・


「その水はどの位有るのでしょう?」

って言うから


『どんっ』


っと机の真ん中に18リットル入りポリタンク一つを排出し


「幾らでも準備出来ますが、これが10個もあれば領主館なんて完全に燃えちゃうでしょうね~絶対に領主館にまき散らさないでくださいね?」



「レイ殿これは独り言なのですが・・もしもトレノア領主館が火事で燃えて全員無くなったとしたら、誰が領主になればいいのでしょう?」

「方法は色々あるのですが、例えばトレノアの実力者が集まって皆でトレノアの城塞都市を運営する会議を開きそこで色んな事を決めてしまえば良いのですよ。もし解らなければお手伝いはしますよ?」


「ほうほう・・・」


またまたデリックさんは黙ってしまい・・・

少し考えて・・・


「これは独り言なのですがな・・・もしもトレノアの城塞都市がエデンの傘下に加わってエデンに治めてもらいたいなんて事になったら受けて下さるのでしょうかな?」


「独り言ですが・・・トレノアの城塞都市の有志が集まってトレノアを管理された方が良いと思いますよ?

でもどうしても出来ないと言うなら、私が管理しても良いですが?」


と言うと

「これで安心しました。その机の上にある容器に入った不思議な水は幾らで譲って頂けるのでしょう?」

と聞いて来たので

「私の趣味で作った余り物ですから、無料で良いですよ。くれぐれも危ない事に使わないで下さいね?例えば領主館に全部ブチマケテ火矢なんて撃ち込まないでくださいね?」


「よ~く解っておりますが、運ぶ途中に思わず零してしまって、火の不始末で燃え移ってしまうのはどうしようも無いですな~ははは」


こうして狸の化かし合いとも思える会談は終わり、俺は18リットルガソリン入りポリタンク10個をトレノアギルドマスターのデリック・アランさんに渡したのだった。


あ~もしも、俺にトレノアの城塞都市も見てくれって言われたら嫌だな~

これ以上俺の仕事増えないでくれ~~


嫌だとは言えない主人公の性格が、主人公をドンドンと泥沼に引き込んでゆくのかもしれない



つづく・・・

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