第182話 182.レイアード城塞都市パニックパニック
◇◇◇◇
少女達が狩を始めてから数時間後・・
人口10万人の城塞都市レイアードでは、城壁の見張り台の兵士が遠くに見える草原一杯に広がった膨大な砂埃を発見!!
「魔獣のスタンピードだ~~~皆~早く城壁の中に入れ!!逃げ遅れたら死ぬぞ~~!!」
その見張りの兵士の声に
「「「「「「キャーーーー」」」」」」
「助けて~」
「入れて~~~」
・・・
レイアードの正門はパニック
パニックになった門番達はレイアードの両開きの正門の重い扉を
「ギギギギギギーーー」
っと閉め始めたのだった。
「まだ俺達は入っていないんだ~待ってくれ~」
「いや~~~~~~」
「待って~~」
「助けて~~」
・・・
必死で泣き叫ぶ入場待ちの商隊の人々
見張りの兵士のが門の上空にスタンピードを示す赤い旗を立てた事で、領主館から早馬が早速走って来てそんな混乱した事態に的確に指示を出す。
「門番!!門を閉めるのはぎりぎりまで待て~~!!商隊の人間は焦るな!!ギリギリまで待ってやるから素早く城壁の中に退避しろ!!
その声に商隊の人々も平静を取り戻し隊列を組んで門の中に入って行く。
そうして暫くすると一番乗りの早馬に遅れ兵士達が次々に到着して来て城壁の上の見張り台から草原の方向を見ると、確かに地平線の奥の方に広範囲に広がる土煙を発見
男はそれを見て
『後・・到達まで一時間から二時間という所か』
「まだ魔獣が到達するには一時間以上は掛かる。大丈夫だから急がずに入れ!!兵士は入って来た商隊の馬車を混雑させないように誘導させろ」
と次々に指示を出す。
実際、レイアードの正門から慌ただしく入って来る商隊の馬車とレイアードの街中から派兵されてくる兵士達が次々に到着してレイアードの正門の中は身動きがとりにくくなっていたのだった。
「この5年程は魔獣のスタンピードが無かったから安心していたんだが、そろそろ来る頃だったんだな」
「昔は毎年魔獣のスタンピードを抑える為に領主様が兵を出して魔獣を間引いていたがここ数年は魔獣を間引いていなかったから凄いのがくるんじゃないのか?」
「それだとレイアードから逃げた方が良いんじゃないか?」
「逃げるって何処に逃げるんだ?外の世界は魔獣で一杯だぞ!!」
「お母さん怖いよ~」
「街の中に居れば・・・多分・・だいじょうぶ・・よ」
・・
街の中では不安な声が囁かれはじめていた。
・・・
・・・
1時間後・・・
レイアードの正門の前には木の杭と杭を縄で縛ってバリケードが何重にも設置され、そのバリケードの中に長い槍を持った兵士配置されていた。
「俺達最前線だよな・・・兵士なんてなるんじゃ無かった」
「これはヤバいな・・こんなんで勝てるのかよ?俺達捨て駒じゃねえかよ」
・・・
・・・
そんな愚痴や泣き言をいう兵士達の声で正門前のバリケードの中は騒がしくなってゆく
そんな状態に馬に騎乗した兵士長らしき人物が木杭で作ったバリケードの前に出て
「そこ無駄口を叩くんじゃない!!気を引き締めないと一瞬で死ぬぞ!!」
愚痴を叩く兵士達に釘を刺す
次第に草原全体に広がる魔獣の群れが見え始めるとレイアード城塞都市の兵士達に絶望が一気に広がった。
「こんなの防げるわけがねぇ~~何なんだよこの魔獣の数はよ~!!」
魔獣だって暴走したい訳じゃ無い!!
後ろから迫って来る魔獣の暴走に、空いている手前に逃げるしか無いのだ
そのまま居れば、確実に魔獣の一団に踏みつぶされる
だから!!
魔獣達は空いているレイアードの城塞都市に向かって進むしか無いのだ!!
「全員戦闘準備~~!!」
隊長のひと際大きな声が草原に響くのだった。
つづく・・・
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