第167話 167.アンジェリーナの思い

◇◇ レイ ◇◇


爆散した肉塊と血の海が領主館の中まで延々と続いている。

多分だが・・


『アンジェリーナは短剣の魔道具を使っていると思われる』


まさかとは思うが・・

アンジェリーナ敵と短剣で戦って刺した直後に『シィイニングソード』を射出?

それともシャイニングソードの魔法がアンジェリーナの心に反応して・・・


「ぎゃーーー」

「ぎゃーーー」

「ぎゃーーー」

「ぎゃーーー」

「助けてくれ~」

相変わらず領主館の中から悲鳴が聞こえて来るが・・

俺はこのまま肉塊と血の海となった通路を進む気に馴れず、俺は木に縛り付けられた全裸の女性で生きている人が居ないか確認してゆくと・・


半分くらいの女性はまだ生きているよう!!

俺は早速俺の異空間倉庫に縛られた木ごと収納し女性だけ排出


頬を叩いてみるが・・


『衰弱してしまつているようで反応が無い・・』


俺はあの肉食花から抽出した抽出液を100万枚に薄めたポーションを口に含み、口移しで女性に飲ます。


「ごほっ」


うん効果有ったみたいだ。

女性は薄っすらと目を開けると


「きゃーーーーーーー」


っと盛大に悲鳴を上げるが・・・

俺は女神様にドレスと下着を渡して女性を女神様に任せ、次の木に縛られた女性の元に駆け寄る。


『難しい事は女神様に丸投げしよう!!』


俺助ける人


女神様説明する人・・的な?


51人の全裸の女性が領主館の庭に撃ち込まれた杭に両手両足を大の字に縛られ死ぬまで犯され続けていた?

体には鞭の後や、縛られ逆さ吊りされた全裸の女性も・・

俺はそんな杭に大の字に縛られた女性達を次々に解放しポーションで回復させて、女神様に下着と服を着せてもらい、クロワッサンのパンを食べさえてもらう。


助けられたのは33人

18人は助ける事が出来なかった。

逆さ吊りにされ鞭で撃たれ続ければ・・・血が頭に下がって死ぬよな・・

酷い事をするよな・・


アンジェリーナが切れて暴走するハズだぜ・・

助けられなかった女性の死体は俺の異空間庫の中だ・・・


『死んだ人までは救えない』


この街の死んだ人達と一緒に御墓を作ってやろう


俺達は救った33人の女性を連れて浮遊したまま領主館の中に入って行く

領主館の通路は爆散したトレノアの兵士だっただろう肉塊と大量の血の海でみたされている


「おえっ」

「ゲーゲー」

・・・

うんうんみんな吐いちゃうよね・・

俺でも吐きたい!!

良くまぁ~アンジェリーナはこれを見て精神が持ったと思うよ?

ってもう最初から精神崩壊しちゃってる?


「ぎゃーーー」

「ぎゃーーー」

「助けてくれ~」


段々と大きくなってくる悲鳴

「貴方達はそう言って泣き叫ぶ人達を殺して来たのでしょ?同じ報いを受ければ良いだけでしょ?ふふふっ」



あの声はアンジェリーナだな!!


「さ~殺しなさいよ?殺さないと、殺されちゃうわよ~ふふふっ」

「くそ!!化け物め~死ね~」


『ガキンッ』


「何で切れない!!」

「貴方の腕が悪いからよふふっ。斬るって言うのはこうやるのよ?」


「ぎゃーーー」


「あらら脆いわね~もっと鍛えなきゃダメじゃない。次は誰にしましょうか?」

「助けてくれ~」

「ぎゃーーー」


俺達はアンジェリーナの声を頼りに、声のする方向に進んで来ると、血まみれになったアンジェリーナが短剣を持った放心状態で立っていた。


「アンジェリーナ大丈夫か?」


「あらご主人様来て頂けたのですね。全部終わらせましたわ。私は死ぬつもりで短剣で戦っていたのにご主人様のシールドに守られ結局死ねませんでしたわ」


そう言うアンジェリーナの瞳からは涙が次々に溢れだしていた。

俺は部屋全体にクリーンを掛け、死体を俺の異空間庫に収納し、此処まで浮遊して来た全員を降ロス。

そうして表情の無いアンジェリーナに歩み寄りアンジェリーナを抱き締め


「アンジェリーナもう良いんだ。良くやったこれからは思うように生きろ」

そう言うとアンジェリーナは

「ウワ~~~~~~~~~ン」


と大声を出し俺の腕の中で泣き出してしまっていた。

「アンジェリーナ様」

「アンジェリーナ様~」

「アンジェリーナ様~」

「アンジェリーナ様~」

「アンジェリーナ様~」

「アンジェリーナ様~」

「アンジェリーナ様~」

・・・

「アンジェリーナ様ご無事でしたか?助けに来て頂いてありがとうございます」

助けた33人の女性達が一斉に俺達に駆け寄って抱き締めて来る。


『おい!!俺が居るんだぞ~~一緒に抱き締めるな~~!!』



つづく・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る