第120話 120.城塞都市トレノア領主のジョージに合うのが嫌だ・・

<アネルド商会の会頭のレオン・アネルド>


出来る事ならば、今回のトレノア城塞都市領主ジョージ・アディソンからの依頼は断りたかった。

先代のトレノア城塞都市の領主であったケイシー・アディソン様は優しい方で先代領主様が生きておられた頃は街も繁栄し街の人々の表情も笑顔に満ちていた。


あ~今思い出してもあの頃は楽しかった。

アネルド商会は代々トレノア城塞都市の領主様の元で領主様ご用達商人として可愛がってもらっていた。

その分トレノア城塞都市の為、色々な便宜も図り色々な物を仕入れ街の繁栄の為に頑張って来たつもりだった。

ところがだ!!

10年前に領主であっあケイシー様がご病気で無くなり、ご長男で会ったクリフォード様が跡目を継いで順風満帆トレノア城塞都市も発展していた矢先の6年前に2つあるダンジョンの一つであるトランのダンジョンのスタンピードが起き、先頭に立って出陣したクリフォード様はダンジョンから溢れて来たオーク・キングとの戦闘で相打ちとなりお亡くなりになってしまった。

残った次男のジョージ様が領主となり後を継がれたが・・・

最初は皆の意見を聞き無難に領地を運営していたジョージ様であったが、私腹を肥やそうとして近づいてきた新興商人による賄賂攻勢ややジョージ様の性癖を知った悪どい商人により美少年を宛がわれ次第に堕落していってしまった。

そうして終いには、利益しか求めない業突張りな性格となってしまわれた

極めつけは5年前にナムルのダンジョンから超~レアアイテムがドロップした事でそのレアアイテムを献上しろ!!献上しないと反逆罪で牢屋に入れるぞと脅し、献上しない冒険者を捕らえて処刑した事だ!!

本当にジョージ様はバカな事をしたものだ!!

それによりトレノアの冒険者全体と対立し魔獣退治もままならない状態になってしまい怒った領主ジョージは

当てつけで、ダンジョンの入場料を大銀貨1枚に吊り上げたのだ!!

その為普通の冒険者が大銀貨1枚を叩いてまでトレノアの超高額な入場料の要るダンジョンに潜らなくなりこの前滅ぼされたダナンの城塞都市にあるトイアーのダンジョンに潜るようになってしまったのだ。

結果5年間放置されたダンジョンでは共食いが起こり段々と強い個体ばかりが残ってそれが溢れて半年前スタンピードを起こしてしまった・・・


バカな事をしたものだ!!

ダンジョンの中で共食いし強い個体しか残らなかった魔獣がスタンピードで溢れだしたのだ。

スタンピードは何とか凌いだが、その結果トレノア城塞都市の周辺にはダンジョンから溢れた強力な魔獣が徘徊し危険な地帯へと変貌したのだ。


商人は危険なこのトレノアの城塞都市を嫌い他の城塞都市に向かうようになったのだ。

自業自得だ!!

もうこのトレノアの城塞都市は寂れてゆく一方だろう


そして愚行は続き、溺愛していた美少年の長男マイク様が突然不治の病に倒れた事により、その難病を治す為にダンジョンにドロップするという全ての病気を治すというエリクサーを求める為に、ダナンの城塞都市を攻め落としそのお金でダンジョン攻略隊を作りエリクサーを探させようとした


だが奴も天罰が落ちたのだ!!

運の悪い事にダナンの城塞都市を守っていた領主バートランドはトレノアの領主ジョージと一騎打ちとなり

その時

「ダナンのお宝は全部俺が隠した!!俺を殺せばこの城塞都市ダナンのお宝は一銭も見つからない!!ザマー見ろ!!せめてお前を路連れにあの世に向かおうぞ」


その結果ジョージはダナンの領主バートランドに左足を切断され、殺される寸前にトレノアの兵士が四方からダナンの領主バートランドを槍で突き殺しジョージは一命を取り留めたという

そうしてダナンの領主バートランドの言った通り何処からも一銭たりともお金を見つける事は出来なかった。

ダナンの領主バートランドのせめてもの嫌がらせだったのだろう



なので奴はダンジョン攻略を行う資金を調達する為に滅ぼしたダナンの見目麗しい45人女性達を集めさせ性奴隷としてまた、老齢の執事や家令だった者達5人は領地を経営できる手腕のある奴隷として人口5万人の城塞都市トレノアから西へ100キロ離れた人口10万人の城塞都市レイアードで行われる奴隷オークションに出品させようとアネルド商会の会頭である私に城塞都市レイアードに行って、オークションでダンジョン攻略の金を作れと依頼してきたのだ・・・


本当に何処までもクソな奴だ!!

奴は死ぬ時碌な死に方はしないだろう!!


どういう風にこのポーションを獲得した経緯を話そう・・・

絶対に奴の事だ!!


突っ込んでくるに違いない!!

城塞都市トレノア領主のジョージに合うのが嫌だ・・

今から胃が疼くぞ・・・


もう!!

『なるようになれだ!!』


細かい事を考えていても必ずボロが出る!!

臨機応変に受け答えして適当に誤魔化そう!!



「今回の事を領主ジョージ様に報告する為にこれから30分後に領主館へ出発する。馬車を用意してくれ。それと領主館に30分後に俺が尋ねる事を伝える先触れを出しておいてくれ。俺はその間に風呂に入って身支度を整える」

俺は使用人に指示を出した。


レイ殿にお風呂の魔道具を貰っておいて良かった!!

風呂に入りたい時に直ぐに温かい風呂に入れると言うのはこれは良い物だ!!

俺は急いで体を洗い、服を着て身なりを整える。


このドライヤーという温かい風のでる魔道具も良いな!!

洗った髪が直ぐに乾く


俺が風呂から出て店に出ると

「レオン様馬車のご用意が出来ております」

「じゃ~領主館まで馬車の御者を頼むぞ」

「承知いたしました」


重たい気持ちのまま、俺は用意の出来た馬車に乗り込み、500メートル程離れた少し高台となった領主館へと出向くのだった。


つづく・・・

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