第112話 112.世の中には知らないほうが幸せなことがいっぱいあるのですよ?

見通しが悪い・・・

いっそ森の木が無ければ見通し良いのに!!


え?


『ぴっか~ん!!』


うんうん良い考えが浮かんだぞ!!

森の木々を森ごと格納して広い道い真っすぐな道にすれば良いんじゃね?


『森の土ごとゴッソリと格納しちゃえばそのまんま道になっちゃう一石二鳥じゃね?』


単純明快、俺の異空間庫に収納するだけの簡単なお仕事!!

魔力使用無しで格納出来るしめちゃめちゃコスパ良い?

問題があるとすれば・・


『収納した森の木々や土を何処に捨てれば良いかって言う問題だけ』


それは・・

後で考えれば良いっか!!


『これを俗に言う先送り・・(;'∀')』


今は現状問題の解決が先

そう思い前方に進みながら森を幅10メートルの範囲で森の土ごと俺の異空間庫に収納してゆく


「な・・なんじゃ~木が~~木が~無くなって道が出来てゆくぞ~」


ドウジャン商会の人間やアネルド商会の人間が何か騒いでいるけど無視だ無視!!

「ご主人様がやっているのですよね」

「道は出来るし、見通しは良くなるし、山賊が襲ってきてもこれだと解るだろ?」

「解りますが・・ちょっとやり過ぎじゃないでしょうか?皆さん騒いでますよ?」

「収納するだけだから、魔力消費ゼロだしこれが一番コスパが良いんだよ」

「ふふっご主人様何かされると、直ぐに魔力切れで倒れちゃいますもんね」


あ~レイラはそういう認識だったのか・・

俺が何かやると倒れる事前提なんだ・・

悲しいが・・事実だから何も言えない


「じゃ~みなさ~ん先に進みますよ~」

俺は独断専行、森の木を土ごと俺の異空間庫に格納しながら山道を進んでゆく


『俺の通った後には道が出来る?な~んちゃって~』


どんどんいっちゃおう~


俺達はハイスペースで山道を進んでゆく。

広さ10メートルの平らな道が出来ているのだから当然



「キャー」

「助けてくれ~」

・・

「山賊だ~」


前方でそんな悲鳴が聞こえて来る。

「山賊の襲撃みたいです。先に行きます」

俺は皆にそう言って広さ10メートルの範囲の森を異空間庫に格納しながらも最速でお馬さんを走らせる


「あ!!ご主人様商隊の馬車が山賊に襲われてます」


レイラが教えてくれたが・・

掘り足遅かった・・・


「一緒に収納・・・しちゃいましたね・・どうするんですか~?」

「山賊はダンジョンの餌にしよう」

「あ~そんな事言ってましたね~良いドロップ品が出るようになりますかね~?」

「ダンジョンが人間を吸収したら進化して良いドロップ品が出るようになるかもな」

「じゃ~どんどんダンジョンに食べさせましょう」


レイラ?

オマエの瞳が$$マークに見えるんだが・・

俺の思考もレイラと同じなので何にも言えない・・・(;'∀')



「兎に角さ~商隊の人と馬車だけ排出しよう!!」

「そうですね。ダンジョンに食べさす訳にはいきませんもんね?」


レイラなんで疑問形?


そのまま襲われていた商隊を出す訳にもいかない為に直径100メートルの範囲の森を土ごと俺の異空間庫に格納し休憩場所に使用できるスペースを作り、其処に今さっき山賊達に襲われていた商隊の人達と馬車を排出


「キャ?」

「あれ?」

「山賊は?」


襲っていた山賊が突然消えてビックリしているよう

「山賊は私達がやっつけましたのでもう大丈夫ですよ?」


「どうやって?」


うんうんそうくるよね~

どうやって誤魔化そう・・


「世の中には知らないほうが幸せなことがいっぱいあるのですよ?」


「え?」

「そ・・そうですね・・」


うんうんそれ以上は聞けないよね?

我ながら良い回答だったぜ!!


「ご主人様~悪い事を考えている時の微笑みですよ~?」

「レイラ、何のことかな~?」

「ふふっ。そういう事にしておきます」


「あ~ん」

あ~女神様は黙っていてあげるから、チョコレート頂戴って事ですね・・

俺は速攻で某有名チョコレートメーカーのゴ〇ィバのチョコレートを女神様のお口に放り込みましたよ!!

「あ~ん」

はぁ~レイラも対抗してそうきましたか~(;'∀')

レイラのお口にもチョコレートを放り込む


『もぐもぐ』


最近女神様とレイラの行動が似てきた気がするんだが気のせいなのか?


そんな事よりも先に確認しておこう


「怪我をした方はおられませんか?」

「私は腕を弓矢で射抜かれて・・」

「私は足を弓矢で・・」

「私は剣で切られて・・」


そう聞くと、剣で切られたり、弓矢で腕や足を射抜かれた人達が居たようだが死亡した人は幸運にも居なかったよう!!

弓矢は腕や足を貫通しているから痛々しい・・

剣で切られた人も結構傷が深いな・・

争いの無い世界で生きて来た俺にとっては考えられない事だ。


まぁ最近魔獣退治や山賊退治で血を見る機会が多くって大分馴れたけれど、傷口見せられるとね~・・・

「じゃ~怪我をした人はこっちに集まって下さい~」

って助けた商隊の人達に言うと怪訝な表情をしながらも集まってくれ


先ず矢の刺さった人達の矢を俺の異空間庫に収納し




怪我人達に手を翳して



「ヒール」


その瞬間全員の体が淡く光って光が収まると、全員の怪我は完治していた。

「痛くない!!」

「怪我が治ってる!!」

「嘘?」

「女神様が降臨なされた~」

そう言って俺達を全員で拝み始めたんだが・・


え?

確かに俺の後ろに居るのは女神様だが・・・

この人達にアルテナが女神様って解るハズは無いし何故解った?


「何故私達が女神様だと?」

「この世界で傷を一瞬で治す事が出来る人間など、この世界には居りませぬ。教会で金貨百枚も出して協会に秘匿された神話級の魔道具を使えば何とか傷を治す事は出来ますがとても一般の人間が使ってもらえる物ではありませぬ

失礼ですが治療費は御幾らお支払いすれば宜しい・・ので・・しょうか?」



なにかビクビクしながら聞いて来たけど?

まさか高額医療費を請求されるとか思っちゃってる?


「そうなのですか?私共は襲って来た盗賊がじゃまだったので勝手に排除しただけですから、お金は頂けませんよ」


「え?」

「これだけの事をしてお金を請求しないと?」

「山賊の襲撃を助けてもらい、剰え怪我まで直して頂いてお礼をしないのは商人として恥じでございます。どうかお礼だけでも受け取って下さい」


「あ~お礼とかは良いんで!!お礼をしたいって言うなら、此処から西に20キロ程進んだ所にエデンという領地を作ったのですよ。今後機会が有れば旅の途中にでも宿場としてご利用して頂ければ助かります」


「この先にそんな場所が何時の間に?そんな事で宜しいのですか?」

「ええ~それで大丈夫です」


そんな話を助けた商隊の人達としていたら

「おお~襲われていたのはメルトナ商会のデズモンド殿であったか!!無事で何よりですな」

追いついて来たアネルド商会の会頭のレオンさんが言葉を掛けて来た

「おお~これはアネルド商会の会頭のレオン殿ではないか。それにドウジャン商会の跡取り殿もご一緒とは何事ですかな?」


「私共の商隊も『黒森砦』の赤髭のゼクトに襲われまして半数近くの人間がやられました。その時にエデンの領地に住むレイ殿に助けてもらったのですよ。今はそのレイ殿に護衛をしてもらいトレノアの城塞都市に帰る所です」

「はて?レオン殿は領主様のお願いで数日前にダナンの奴隷を城塞都市レイアードで行われる奴隷オークションに出品する為にトレノアの城塞都市を出られたのでは?」

「今回の領主様の目的は難病で倒れた長男マイク様の病気を治す為、ダンジョン攻略をし長男マイク様の病気を治す為の資金作りだったのです。

それは此処に居るレイ殿が領主様の長男マイク様を治す秘薬を奴隷50人+金貨1000枚を払う事でその秘薬と交換してもらえる事になりましたので目的は達成されました」


「そ・・そんな秘薬が有るのですか?」

「金貨100万枚の価値は有ると思いますが、何とか無理を言って交換してもらいました」

「そ・・それは凄い!!レオン殿は凄い功績を上げましたな。これで領主ジョージ様のレオン殿への信頼は確実な物となりアネルド商会は一生安泰ですな」


「それがですね・・アネルド商会は拠点をエデンに移そうかと考えているのですよ」


「え?」

{ええええええええええええええええええええええええええええ?」

俺とメルトナ商会のデズモンドさんは同時にそんな声を上げてしまっていた

「レオンさんそんな話は私は聞いていないですよ~?」

そう

俺はアネルド商会がエデンに領地替えするなんて話はレオンさんから一切聞いていない!!

「私はレイ殿に言っていませんでしたからね。私の商会がエデンに移転しても問題無いのでしょ?それに税金も優遇してくれそうですし」

「そりゃ~エデンは今住民を募集中ですからね。アネルド商会が移転してくれるのは大歓迎ですよ。税金は今は考えていないですから、エデンが発展するまでの当分の間は税金は取らないと思いますよ?家賃位は取るかもですけど、レオンさんだったら家賃もエデンが発展するまでだったら無料で良いですよ?」


「おお~それは朗報ですな!!じゃ~アネルド商会はエデンに移転する事で決定ですな!!レイ殿立地の良い場所に建物をお願いしますぞ」

「善処します」


そんな話を聞いていたメルトナ商会のデズモンドさんが

「本当に税金は要らないのですか?どこの城塞都市も売り上げの3割を税金に持っていかれるのが普通なのですぞ~~?どこの城塞都市も苦しい財政の中から城塞を拡大し領地を増やす為に凌ぎを削っている状態なのですぞ!!レイ殿はどうやって領地を拡張するというのです!!?」


「自分でやるし~」


そう一人でやればお金要らねえっし?

必要なのは俺の魔力だけだし?


「はははっレイ殿の力が有れば、税金が要らないと言うのも解る気がしますな」

「それはどんな力なのですレオン殿?」

「まぁ~自分の目で確かめるのが一番ですよデズモンド殿?」


レオンさん悪い微笑み浮かべてますよ?

何故私を見るのでしょう?レオンさん?


「じゃ~行きましょうかレイ殿」

そんな考えをしている俺をレオンさんがそう言って急がす

「そうですね今日中にトレノアの城塞都市に着かなきゃいけませんもんね」


そう言って俺はまた先頭に立ち遅れた分を取り戻すために森を10メートル幅の範囲異空間庫に格納しながらトレノアへ向け旅を続けるのだった。


取り残されたメルトナ商会の商隊の人々は・・・・


口をあんぐりと開けてそれを見送るのだった・・・


「会頭・・・あの力・・アネルド商会の会頭が『レイ殿の力が有れば、税金が要らないと言うのも解る気がしますな』と言った意味が私はあれをみて解った気がします」


1人の老齢な男がそう言うと

「エデンというと城塞都市を見てから、メルトナ商会もエデンに移転するのか考えようじゃないかベン」

と老人の言葉を聞いてメルトナ商会の会頭デズモンドは呟くのだった。


つづく・・・

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