第93話 93.突然の訪問者

俺が恥ずかし気に装って

「あの~見た所旅の商隊のようですが、私共に何か御用でしょうか?」

と掛けた声に

見た目10代後半位のお坊ちゃマン

何を間違えたか突然!!


「美しいーー!!私が求めていた絶世の美女が此処に居た~~~!!わわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわ

私と~けけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけ・・結婚してくだしゃい~~!!」


と俺にそう言って抱き着こうとするお坊ちゃマン!!

まさかの驚天動地だ


くそっ!!

来客がある日に限って、女神様との約束の女装デーに当たってたなんて最悪だ~~

今日は可愛く黒のふりふりロリータ服着てるもんな~

ヤバいよな~

俺でも自分に惚れてしまう自信は有るぞ!!

って何自画自賛してんだ~俺~~


ついてねぇ~今日は最悪だ~


『ボケ~~!!ワレ何晒しとるんじゃ~男同士が結婚できる訳がねえだろ~~!!冗談言うんじゃねぇ~~!!』


って言いたい気持ちを何とか抑え


「嫌です」

そう言って俺は抱き着いて来るお坊ちゃマンの体をすり抜ける。

その瞬間突然に俺に避けられたお坊ちゃマンは


『ずどんっ』


っと顔から地面に顔面ダイブ。

お坊ちゃマンは鼻から鼻血を出しながら涙目で

「どうしてなんですか~?」

と俺に詰め寄って来るが

『止めて!!』

見るからにスプラッタな状況で俺に詰め寄らないで下さい

思わず切り捨ててしまいそうになるから!!


「タイプじゃ無いから!!」


俺の冷たい言葉に玉砕したお坊ちゃマンは

「俺の何処がいけないんですか~~?」


なおも食い下がる

なのでダメ押しの


「全部!!」


その言葉にお坊ちゃマンの精神は瓦礫のように崩壊してしまったらしい。


「パーシヴァルお坊ちゃま、ご縁が無かったのです諦めましょう」

お坊ちゃマンの世話係っぽい老人が、お坊ちゃマンヲ慰めている

商家のボンボンっぽいな(;'∀')


・・・



・・・

暫くの沈黙

「お坊ちゃま?」

御付きの老人にせっつかれ何とか立ち直りかけたお坊ちゃマン


「一か月前、ここを通った時にはこの辺りは背丈の2倍近くの藪が生茂っていたのにいつの間にか藪が切り開かれ立派なお城まで建っているじゃありませんか!!

そこで賑やかに皆さんが宴会をしていたようなので、思わず寄らせてもらったのです。


申し遅れました。私は此処から西に40キロ程離れたレイアードの城塞都市に拠点を置くドウジャン商会の会頭の長男パーシヴァル・ドウジャンと申しす。

私はレイアードの城塞都市からトレノアの城塞都市へ商隊を率いて行商に赴く途中でして、あと2時間もすれば日が落ちてしまいます。

トレノアの城塞都市へは此処より40キロも先、今までこの辺りの街道は赤髭のゼクトが『黒の森』を見渡せる山の上に『黒森砦』を築きこの辺りに野宿しようとする商隊を尽く襲っていたのです。


この街道を隔てて、黒の森の反対側の街道を挿んだ20メートル程は不思議な事に魔獣が寄り付かないのです。それを見込んでこの場所で商隊の馬車が野営の為に泊まろうとすると、『黒森砦』から丸見えで赤髭のゼクト盗賊団により襲われる訳です。


しかし!!

今山の上の『黒森砦』は完全に破壊され黒煙を上げていてビックリしたのです

もしかして赤髭のゼクト盗賊団の事で何か知っておいでかと、こうやって来た次第です。

それと・・

まだ『黒森砦』から煙が上がっております。盗賊が襲って来る危険も考えられる為に出来ればなのですが、この城壁の内側で一夜の宿をお借り出来ないかと、お願いに参りました」


おお~良く言えました!!

一応、言葉使いは及第点?

まぁ~15歳の俺が言えた義理じゃ無いけどな




つづく・・・

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