第65話 65.これってもう無敵じゃね?
「ぎゃーーーーーー」
俺は無残に魔獣に踏みつぶされる予感に悲鳴を上げ
『駄犬め~!!死んだら化けて出てやるからな~~!!』
と心の中で思いながら目を瞑り最後の時を待つ・・
・・・
・・・
・・・
?
?
?
?
シーーーーーンと静まり返った世界
俺は生きている?
魔獣に喰われていない?
痛みも無い・・
魔獣の気配も無い?
何が起こった?
恐る恐る・・・
目を開ける・・・
目の前には広大な草原?
イヤ・・・
目の間を埋め尽くしていた魔獣の姿も・・草木も全く存在しない
見渡す限り遠くまで今さっきまで有った背丈の何倍もある藪も無く草木が刈り取られた大地が延々と続いているだけだ・・・
あれ?
魔獣のスタンピードは?
女神様と駄犬は何処に行った?
頭の中は?マークで一杯でパニックパニック
だって今さっきまで死を予感していた俺がこうして生きていて、踏みつぶされると思ってたスタンピードを起こした魔獣は完全に消滅・・・
「女神様~~何処に居るんだ~?」
「駄犬~~!!エロ犬~~!!」
幾ら呼んでも・・
『返事が無い!!』
その事実に俺は、思わずその場に座り込み
「嘘だろ~~冗談だと言ってくれ~!!」
無意識にそう独り言を言って頭を両手で掻きむしる。
落ち着けオレ!!
落ち着くんだ!!
先ず!!
『状況確認だ!!』
突然起こった魔獣のスタンピード
背丈の何倍もある草原の草木の一面の藪
女神様と駄犬
全てが俺が目を瞑っている間に一瞬で消えてしまった!!
『さて問題です!!それらは何処に行ったのでしょうか?』
って冗談を言っている場合じゃ無い!!
消えたって事は・・
多分俺の能力!!
俺の能力で消せるとしたら?
今の魔法では・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
『消せる魔法は無いな』
じゃ~何処に行った?
いや~な予感するんだけど・・
まさかな~
俺の異空間庫に格納したなんて無いよな~?
それに俺自身、俺の異空間庫に格納した覚え無いもん
それに、ラノベの世界じゃイベントリの中には生き物は入れれないのが定番のハズ!!
そんな異空間庫の中にこの草原に居た魔獣や、草原の藪の草木や、女神様と駄犬が入るハズ無い・・・
と思いながら、自分の異空間庫の中の物に意識を向けると・・・
「なんじゃ~~~こりゃ~~!!居るじゃないか~~嘘だろ?誰か嘘と言ってくれ~~」
「あ~~・・/(^o^)\ナンテコッタイ」
女神様と駄犬を異空間庫の中から兎に角だして、謝らなきゃ!!
まさかな~魔獣のスタンピードに恐怖して無意識に異空間庫に全部収納しちまってたなんてな~
俺は速攻で女神様と駄犬を異空間庫から排出!!
「あれ私達魔獣を追い出しながら草原の中を走ってたハズなんだけど?魔獣はどうしたの?」
「わんわんわんわん?」
おお~もしかして、異空間庫の中は時間経過していないから、魔獣を追っていた時の事しか覚えていない?
だよな~
これって、謝ると逆に不自然すぎるんじゃ?
「あ・・・ああああ~駄犬と女神様で追い出してくれた魔獣は全部狩ることができたよありがとう」
「そうなのですか?私にはフェンちゃんの背中に乗って草原を走っていた事しか覚えていないのです。どうしちゃったのでしょう?」
「わう~~ん?」
だよな~
突然、俺の異空間庫に俺が無意識に収納しちゃったもんな~
「ところで駄犬よ!!何で魔獣があんなにも集まったんだ?」
「え?めちゃめちゃ体が動くのが楽しくってちょっと走ったつもりが、一気に遠くまで走ってしまってたって~~?駄犬よ、少しはセーブしろよな~」
そりゃ~な~昨日までシルバーウルフの体だったのが、突然フェンリルに種族進化してしまったら、そりゃ~そうなってしまうよな・・・
今までの駄犬の体が耕運機だと考えると、今の体はスーパーカーだもんな~
そりゃ~一気に走っちゃうよな
しっかしな~ウィンドカッターの草刈りしながら魔獣を狩って領地を広げていたけどさ~
目に見える範囲を俺の異空間庫に格納するだけで全部おわっちゃうんじゃね?
俺の異空間庫に格納した魔獣は、そのまま異空間庫の中で
『血抜き』
『解体&部位切り出し』
出来るとすると!!
『俺って無敵じゃね?』
うをぉ~俺ってヤバい事に気づいてしまったんじゃ?
つづく・・・
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