第64話 64.駄犬よスタンピード起こしてんじゃね~~!!

俺は息が出来ない苦しさに思わず目が覚め・・・

「え?俺どうなってるんだ?」


息が出来ない苦しさにプチパニックに陥った俺

「やわらけぇ~」

「それに良い匂い~」


こ・・これは・・

俺は顔を左右に振りながら、俺の顔全体を塞いでいた物体の束縛から頭を脱出させると・・

俺の眼前には女神様の顔!!

俺はどうも女神様にホールドされ、抱き枕にされているっぽい


『駄犬は?』


女神様の横で眠ってるようだ・・

女神様?駄犬じゃ抱き枕にならなかったの?

『俺を愛してくれてるんだったら抱き枕にされても嬉しいんだけど・・・今の女神様にそれを期待するのは無理・・だな』



俺達は何時ものように顔を洗い、歯磨きをした後朝食を食べた後、この草原に出てきている。

やっぱり男の姿だと動きやすいよな~!!

スカートだと動くとスカートがヒラヒラ風に舞って、パンツ丸見えになっちゃうもんな・・


え?


修行が足りないって?

どんなに動いてもスカートが捲れないように動くのが達人の動き?

駄犬よ!!

俺の頭に直接語りかけてくるんじゃね~~!!


そんな駄犬と女神様の出で立ちと言えば


女神様は都立品川高校の制服姿で、高さ2メートル半ほどの駄犬の背中に乗っている





ミニスカで乗ると・・・



パン


ツー


マル


ミエ


ですね・・・

『言わぬが仏』

目の保養・・ぐへっ


俺が異世界に来て今日で5日目

広大な草原の藪となった背丈より何倍も大きくなった草木をウィンドカッターで魔獣ごと切り裂くのでは、魔獣の体が小さく切り刻まれ、素材としての価値が無くなってしまう。


シャイニングアローを藪の中に無数に射出し魔獣を先に殺して・・

っても考えたんだが、結局藪を切り開いて魔獣の死体を回収するってなると、やっぱり切り刻んでしまう・・


という訳で~

今日は高さ3メートル以上、長さ5メートル近く元の大きさに戻った女神様を背中に乗せた駄犬

もとい!!

フェンリルのフェンに藪の向こう側にゆき、向こう側から一気に魔獣を追い出してきてもらおうっていう凄く良い方法を思いついたのだ!!



ふっふっふ~~


『俺って天才?』


褒めてくれても良いんだぜ!!

無駄にデカい駄犬、それも種族進化したフェンリルに追い立てられ、逃げない魔獣は居ないだろう

どうだ~

俺のこの企画



『今日は楽勝だぜ~!!』



って事で大きく回り込んで2~3キロ藪の向こう側から一気に駄犬に魔獣を追い立ててもらう為、現在駄犬は女神様を背中に乗せたまま、大きく回り込んで一旦東の方向に向っている。


10分後位には50頭位はこの前の藪から魔獣が出て来ると思われる。

なので俺はシャイニングアローを発動し俺の周りの空中に100本の光の矢を大気中である。


『魔獣が藪から出てきたら一斉に空中で待機している光の矢を一斉に射出、うち漏らした魔獣は俺のミスリルソードで仕留める簡単なお仕事である!!』



どうよ!!俺の天才的なこの策略!!


でも、魔獣がまだ飛び出してこないんだけど・・・

アイツら何処まで行ってるんだ?


もうあれから10分以上は経ってるぞ!!


・・・


・・・


・・・


遅すぎる!!


・・・


そんな事を考えていると・・

『ズズン』


『ズズン』


・・・

っと地面が揺れる感覚

な・・何だ?何だ?地震か~~?


その揺れの感覚は段々と短くなって



「ドドドドドドドドドドドドドドドドドドーーーーー」


っという音が藪の向こうから聞こえてきだした!!

げ・・

何だ?なんだ~~~??

何か嫌な予感がするんだけど・・・


「ドドドドドドドドドドドドドドドドドドーーーーー」


「ドドドドドドドドドドドドドドドドドドーーーーー」


背丈の倍位もある藪の為に前方で何が起こっているのか全然見えないが・・

非常にマズイ事が起こってるんじゃ?



っと思った瞬間


『どわ~』


っと目の前藪が押し倒されたと思ったら、草原を埋める魔獣達が一気に藪の中から飛び出して来た!!


うをぉ~~何だ~~~~!!

俺は空中で待機させていた100本の光の矢を射出


「シュッ」

「シュッ」

「シュッ」

「シュッ」

・・・・

次々に倒れる魔獣達

でも焼け石に水



「駄犬~~~!!スタンピード起こしてんじゃね~~!!」


大声で悪態をついたが状況は変わるハズは無い!!


どうすんだ俺~!!

魔獣はもう目の前!!

それも魔獣のスタンピード!!


俺・・もう駄目かも・・

短い人生だった・・・


って諦めるなオレ~~!!

何か方法が有るハズだ!!


そんな方法はある筈もなく・・


「ぎゃーーーーーー」


俺は無残に魔獣に踏みつぶされる予感に悲鳴を上げた!!

目を瞑り最後の時を待つ・・



つづく・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る