-51- 「びたびた」

 やたら背が高くて、異常に体が細い、気持ち悪いイキモノ。


 細長く薄っぺらい足で、びたん、びたん、と足音を立てながら、いつも街を彷徨ってる。


 このイキモノは、他のイキモノを食べる。


 幽霊とか、薄いイキモノを、その細長い手で捕まえて、頭から丸呑みにする。


 人間とか、普通の生き物は食べないけど、僕みたいに、こいつが見える人や生き物が時々いて、こいつの存在に気付いた生き物は、こいつも食べるみたい。


 だから、こいつはわざと人や動物に、急に近付いたり、目の前に立ち塞がったりして、相手に自分が見えているか確かめる。


 こいつは僕の事を随分前から疑っていて、確信を持たれないように、気付かない振りを続けるのがすごく大変だ。

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