-47-「半寸法師」

 お母さんが、マグカップにコーヒー牛乳を入れてくれた。


 飲もうとしたら、カップの中のコーヒー牛乳から、何かがひょこりと顔を出した。


 小さな人間だ。


 そいつは僕の視線に気付くと、こちらを見返して、少しの間じっと見つめ合った。


 しかし、それはごく数秒の事で、そいつはすぐに再びコーヒー牛乳の中に潜った。


 僕は、カップの中身を流し台に捨てたけれど、そいつの姿はもうどこにも無かった。


 そいつの姿を思い出すに、昔、絵本で読んだ一寸法師に似ていた気がする。


 但し、体の大きさは、一寸法師より更に小さくて、その半分程の大きさしか無かった様な気がする。

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