-42- 「家霊」

人が住んでいる家と、いない家は、見た目が同じでも雰囲気が全然違う。


 その事をおじいちゃんに言ったら、こんな事を教えてくれた。


「人が住む家にしろ、人が住まずそこで働くだけの会社にしろ、建物には家霊(いえだま)と言うモノが憑く」


 簡単に言えば、人が住んだり、毎日出入りする建物に自然発生する、守り神みたいなモノらしい。


 人が長く、多勢住んだり、通ったりする事で強くなるけれど、住む人がいなくなったり、誰も訪れなくなると、逆に弱って消えてしまうらしい。


「守り神と言っても、全ての建物に憑く程度のありふれた存在じゃから、はっきり目に見える程の存在感も、力もありゃせんぞ。ただ、こいつが居ないと、家人が家に居ても気が休まらんし、そこで仕事をしようにも集中出来ず、居てもらわねば困るモノなのは確かじゃ」


 そう言えば、人が住まなくなった家はすぐに駄目になると言うけれど、それも家霊が居なくなるのが原因なんだろうか。

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