-31- 「文庫堂書店2」
文庫堂書店に本を探しに行ったら、セーラー服のお姉さんに会った。
「あら、水鏡君。こんにちは。珍しい場所で会ったわね」
「こんにちは。この本屋には、よく来るんですか」
僕が尋ねると、お姉さんは、手に持っていた本を見せてくれた。
少女漫画だ、怖い絵柄の、多分ホラー漫画。
「この本ね、私が大好きな作品の最終巻なの。完結前に作者が亡くなって、最終巻だけ出なかったから、このお店に探しに来たの。贔屓にさせて貰っているわ」
このお店は、そんな物まで買えるのか。
「まあ、この世に有り得ない本を取り寄せるには、幾つか約束事を守らなくちゃいけないけど」
と、そこまで話して、それからお姉さんは、声を潜めた。
「……水鏡君。私が今、君に話した事は、他の人に話さないでね。君が他の人に話すと、私が約束を破った事になっちゃうから」
約束を破ったら、お姉さんはどうなるんだろう。
知らない方が楽な秘密を知らされて、何だか共犯者にでも仕立てられた気分だった。
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