-28- 「平面男」

 晩ごはんの後、家族でテレビを見ていたら、悠太が僕の肩を叩いた。


「お兄ちゃん、あれ」


 悠太が指差す方を見てみると、掃き出し窓のカーテンの隙間から、誰かがこちらを覗いている。


「むう。何者じゃ」


 おじいちゃんが立ち上がり、カーテンを捲った。


 すると、掃き出し窓の向こう側に、黒い服を着た男の人が立っていた。


 ただし、雨戸は閉まっていた。


 雨戸と窓ガラスの間の狭い隙間に、男の人が立っていた。


 その男は、一瞬おじいちゃんを睨んだ後、雨戸と雨戸の間の細い隙間から出て行って、居なくなった。


「お義父さん、雨戸はさっきご自分で閉めたじゃないですか。誰もいる訳ありませんよ」


 お母さんには今の男が見えなかった様だけど、僕と悠太とおじいちゃんは、暫く呆然としていた。

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