-18- 「革鮑」

 学校からの帰り道、道の真ん中に、茶色の鞄がポツリと置かれていた。


 旅行に持って行く様な大きな鞄、スーツケースという奴だけど、革製で随分と古臭い。


 何と言うか、怪しい。


 僕は鞄を開けてみた。


 ただし裏側、蝶番がある方からだ。


 開けた途端、カバンの中から何かが飛び出した。


 裏側だから、こちらからはよく見えないけれど、何だか貝みたいなぐにゃぐにゃした、大きな口みたいな奴だ。


 そいつは、飛び出したは良いけれど、目の前には獲物はいないのを確認すると、すごすごと鞄の中に戻った。


 裏側にいた僕の存在に気付いているのか、いないのか、鞄は勝手にパタンと閉じた。


 僕は鞄を引きずって、近くの空き地にある古井戸の中に放り込んだ。

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