-17- 「相合傘」

 スーパー八百万の横の林で、友達何人かとかくれんぼをした時の事。


 その林で一番大きくて太い、長老の木をよじ登ろうとしたら、幹に古い傷が付いているのに気付いた。


 上向きの矢印の様な図形、だいぶ削れて消えかかっているけれど、多分相合傘と言う奴だ。


 きっと傘の左右に、男の人と、女の人の名前も彫ってあったんだろう。


 けれど古すぎて、何て書いたあったかは全く読めない。


 その日の夜、夢を見た。


 森の中で、太い木の側で会話する、若い男の人と、女の人の夢だ。


 声は聞こえないけれど、多分男の人がフラれた。


 女の人は帰ってしまい、男の人だけぽつんと残された。


 男の人に、何だか見覚えがある様な気がした。


 朝に目を覚まし、おじいちゃんにおはようと言ったところで、夢の中の若い男の人が、アルバムで見た若い頃のおじいちゃんだった事に気が付いた。


 けれど、夢に出てきた女の人は、明らかにおばあちゃんとは別の人だった。


 おばあちゃんと出会うまで、色々あったんだろうな。

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