-2- 「鈴蟲」

 夜、寝ていると、チリーン、と言う鈴の音で目が覚めた。


 微かに、だけど確かに、鈴の音が断続的に聞こえて来る。


 寝床から抜け出し、何処から聞こえて来るのだろうと、家の中をうろついている夜回りさんをかわしながら、音の出所を探す。


 けれど、何処を探しても見つからない。


「何じゃい真実、こんな夜中に何しとる。鈴の音が気になるか?」


 僕の足音を聞きつけて、おじいちゃんが起きて来た。


「この鈴の音は、音だけの怪異じゃから、音の出所を探すだけ無駄じゃぞ。昔から夜中に時々鳴っておったが、悪さはせんから聞き流しとけ。さっさと寝ろ」


 おじいちゃんの言葉に、僕は探すのを諦めて、寝床に戻った。


 この晩以来、僕は時々、この鈴の音で夜中に目が覚める様になった。


 けれど、この鈴の音は聞いていると不思議と心地良く、嫌いじゃない。

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