第4話 なぜ友達が嫌なんだよ!

 10分後、やっと離れてくれた。

おかげで体がものすごく暑い……。

さっきまで幽霊だからと考えていたけど、実体化されると考えが変わってくる。

普通に女の子として見てしまう。


『ふふ、顔が赤いですよゆーまくん。やっとメリーのこと女の子として見てくれてるみたいですね』


「――――いま自分のことメリーって言わなかった?」


「さっきは少し緊張していましたから……。普段は一人称は自分の名前なんですよ」


 緊張してたって……そんな雰囲気全くなかったけど。

 メリーさんの言う通りメリーさんを女の子として見てしまうから、視線を合わせられない。

たまに視線が合うことがあっても恥ずかしすぎて逸らしてしまう。


「メリーさんに質問するけど……」


「はい、なんでしょうか?」


「もしやっぱり無理だって言ったらどうする?」


「それでもメリーはゆーまくんの傍にいます! ゆーまくんが嫌だと言っても、絶対に離しませんからね?」


 そう言ってメリーさんは俺の腕に抱きつく。

柔らかい感触が腕に伝わってくる。

もう理性が持たなくなってきそう……。

これ以上やられると俺が野獣と化してしまいそうだから何とかしなくちゃいけない。


「――――お、俺の提案なんだけど……」


「なんですか!?」


 めっちゃ食らいついてきた。

メリーさんは顔をずいっと近づけてきた。

俺は思わず顔を引いた。


「俺はどっちかって言うと相手のことをちゃんと知ってから派だから――――友達から始めない?」


「イヤです! メリーは友達より恋人のほうがいいです!」


 なんでこうなるんだ……。

普通なら良いですよっ! って言われると思ったんだけど。

 どうしても俺とカップルになりたいらしい。

いきなり初対面と、しかも怪談話で有名なメリーさんとカップルになるって言うのは色々とぶっ飛びすぎてる。

 もっといい方法はない、か?


「――――友達以上恋人未満はどう?」


「友達以上恋人未満?」


「うん、友達よりは恋人寄りだけど恋人よりは友達寄りの関係だ。それだったら俺もメリーさんも納得できるんじゃないのかな?」


「なるほど―――良いですねそれ!」


 メリーさんは恋人として接したい、俺は友達から始めたい。

それならこの方法が1番いい。


「じゃ、じゃあこれからよろしくなメリーさん」


「よろしくお願いしますゆーまくん!」


 お互い握手しようとした時、


「あ、その前にメリーのことはメリーって呼んで欲しいです」


「わかった。じゃあメリー、改めてよろしく」


「はい!」


 俺とメリーは友達以上恋人未満の関係になった。

相手が幽霊という、なんかヘンテコな関係だが友達が少ない俺にとってはとても嬉しかった。

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