第5話 初日
〜♪
朝のアラームがスマホから流れる。
「うーん……」
『おはようございます! 朝ですよゆーまくん!』
「――――」
『起きない……じゃあ―――』
なんかほんわり俺の顔が暖かくなった。
するとメリーは俺の耳元で囁いた。
『朝ですよ、わたしの大好きなゆーまくん』
「はい起きます!」
あとで思ったけどチョロいなぁ俺……。
少し恥ずかしい所をメリーに見られてしまった。
◇◇◇
「――――今日もいるわけないか」
朝の自宅ももぬけの殻。
まぁ分かり切ってる事だけどね。
親と一緒にいる時間なんて1ヶ月に1回程度だ。
両親とも早朝に出勤し、夜中に帰ってくる。
『ゆーまくん?』
「なんだ?」
『いつもこんな感じなんですか?』
「いつも1人ってことか?」
『そうです』
「そうだよ。これが毎日続いてることがほとんど」
『なんかゆーまくんが可哀想です……』
「心配してくれてありがとう……。でももう慣れたことだし」
なんか少し重い空気になってしまったな。
「よし! 今日も頑張るか!」
俺は気合を入れた。
メリーはいきなりの大声で目を見開いていたが、
『おー!』
とノリに乗ってくれた。
「まずは朝飯だな」
『わたしも食べてみたいです!』
「え、メリーって物食べられんの?」
『食べれますよ。幽霊だからといって食べたものが透き通って落ちることなんてありませんからね』
「す、すいません……」
めっちゃジト目で見られた。
すいません本当に反省してますんで。
「えっと……じゃあ俺がやり方教えるから自分の分作ってくれる?」
『それも良いですが、まずはゆーまくんの手作りを食べてみたいです!』
「わ、わかった」
というわけで2人分で朝ごはんを作りたいと思います!
名付けて『ゆーまくんの数分クッキング』!
―――ダサいし数分ってなんだよ……。
朝は毎日おなじメニューだけど飽きないんだよなこれ。
今日からはメリーが我が家に加わった。
いつもより気合い入れて料理するか!
◇◇◇
「お待たせ致しました!」
『わー! 凄く美味しそうです!』
「ささ、温かいうちに食べて」
『頂きます!』
平べったい皿に乗っているのは半熟目玉焼き、ソーセージ、コンビニのスティックパンだ。
まぁ簡単に出来るやつだ。
俺実はパンの作り方分かんないんだよね。
レシピ1度も目を通したことがないからだけど……。
今度調べてみようかな。
『すごく美味しいです!』
めっちゃ目を輝かせている……。
そこまで美味しかったのか。
俺感動! 涙が出てくる……。
その後メリーは食べる度に、
『美味しいです!』
の一点張りだった。
しかもいちいち目を輝かせて俺にどんどん近づいてくるもんだから、最終的には肩が触れ合うほどまで接近していた。
さすがに大袈裟すぎじゃないと思ってたけど、どう見ても本気でやっているみたいだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます