B子 3
好きでもないジャンルの知らないバンドのライブ。
時間と金の無駄だとは思う。
それでも彼女のご機嫌を取るために参加する。
開場の数時間前からバンドのグッズ販売の行列ができている。
それに並びながら私はいったい何をしているのだろうと虚しさを感じてはいたが、表には出さずに笑顔で彼女の接待をする。
『あ!あそこにいるの〇〇ちゃんだ!!オーイ!!!』
ファン同士がSNSで繋がって現場で馴れ合う。
よく見る光景であり今どきの交流方法だとは思うが、そこにファンではない私がいるのはなかなかの苦痛だった。
『ひさしぶりー!!この人は彼氏!!よろしくー!』
紹介され挨拶をし軽く会釈する。
しかし相手は私を一瞥だけしてB子と話を続けた。
『えー!白がそんな安く引けたの?ヤバくね?それ絶対混ぜモン多いよウケるw』
『わかるー、緑だったら判別しやすいんだけど安定して入荷してくれるPって少なくね?ぶっちゃけ品種の違いとかわかんないからどれでもいいわwww』
なるほど、話の内容からして新顔は冷たくあしらわれて当然か。
B子達は薬の話をしている。
白はケミカル系、緑はナチュラル系を表す隠語だ。
『今あんま金ないからさ、ハンパだけど3だけもらえる?』
『あ、〇〇ちゃんとトイレ行ってくるから!スグ戻るから列ならんどいて!』
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