土属性VS土属性(6)
「俺を舐めるな!」
京がそう叫ぶと彼の
「今度はただ掌を飛ばすのではなく、武器を持たせるか……。基本的だがまあ効果的だな」
阿蓮は武器を持って自分に向かってくる複数の巨大な岩の掌を見て冷静に判断する。
掌に武器を掴ませれば単純に間合いが広がるし、持たせた武器も
しかしこれまでに悪霊体との戦いだけでなく陰陽師との決闘も数多く経験してきた阿蓮から見れば、すでに見慣れて対処法も完全に把握している攻撃でしかなかった。
「っ!? また……!」
京が放った岩の掌は阿蓮に届く前に、彼が式祈神で作り出した黒い泡に触れて爆発し、全て砕け散ってしまう。
阿蓮は決闘が始まってから最初の位置を動いておらず、それでいて京の攻撃を完全に防いで反撃までしている。その事実に京は阿蓮との確かな実力差を感じると、同時に激しい苛立ちも感じて思わず阿蓮に向かって叫ぶ。
「……! 何故お前は! それだけ強いのに! その力をそんなに無計画に使うんだ! その力を人々のために使えば色々な助けになったはずなのに! 何故他の人々を無視するんだ!」
京の叫びは彼が阿蓮に、彼を初めとする五大魔狂に抱いていた苛立ちと嫉妬の感情の感情であり、彼は叫ぶのと同時に新たな岩の掌を作り出し阿蓮に向けて放つ。しかし……。
「うるさい」
と、一言呟いた阿蓮が式着神の右腕を京に向けて差し出すと、式着神の右手から巨大な炎が噴き出た。
土属性式祈神「焼泥」応用技「爆道」。
式祈神の焼泥によって大量の油を作り出し、爆発させながら対象に向けて放つ応用技。
「こ、これは!? う、ぐぅううう………っ!?」
相手に向かいながら絶え間なく起こる爆発の衝撃は、岩の掌を打ち砕くだけでなく京も吹き飛ばし、彼が苦悶の表情を浮かべながらなんとか体勢を整えると、目の前には式着神を装着した阿蓮の姿があった。
「い、いつの間に!?」
「悪いが、俺は見ず知らずの人間のために戦う気はない。俺は、俺と俺にとって大切な奴らのためだけに戦う……」
阿蓮は京の言葉に答えず自分の意思を告げると、少し離れた場所で自分達の戦いを見ている爆竜の女性達を横目で見る。
「くっ! ふ、ふざけ……え?」
京は阿蓮の言葉に怒りを燃やし再びを攻撃を仕掛けようとしたのだが、そこで京は自分の式着神が動かないことに気づく。見れば彼の式着神の全身には焼泥の油がまとわりついていた。
「どうする? まだやるつもりか?」
もはや勝敗は決した。焼泥の油が京の式着神にまとわりついている状態では、京が式祈神を使うよりも阿蓮が油を爆発させる方が早いだろう。その事を理解した京は悔しげな表情を浮かべて自らの負けを認めた。
「くっ……! 俺の、負けだ」
「そうか。それは何よりだ。それで、だ。俺はお前から決闘を申し込まれて勝ったわけだが……勝った以上、何でもとは言わないが一つくらい俺に従ってくれてもいいとは思わないか?」
「……何が望みだ?」
「なに、そんなに難しいことじゃない。この任務の間、お前には俺達と一緒に行動をしてもらう。それだけだ」
阿蓮は決闘に勝った報酬の代わりとして、京にこの任務中は自分達と一緒に行動することを命令すると、ここから少し離れた場所に視線を向ける。そこには京が陰陽寮から与えられた彼の
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます