土属性VS土属性(2)
阿蓮達が任務で訪れた宇宙居住地は五つの輪が縦に重なった外見をしており、五つの輪のうちの三つは市民が暮らす居住区画となっていて、残りの二つの輪は商業区画と農業区画となっている。
「うわぁ……! 自然がたくさんありますね」
「外で見た時は分かりませんでしたけど、こんなに緑豊かな所があったんですね」
星面金剛から降りて宇宙居住地の農業区画に出ると、阿蓮に従う爆竜の一族の池ノ伍と路ノ三が驚いた表情となって言い、他の爆竜の女性達も似たような表情となって周囲を見回していた。
「ここは家畜やら農作物やらを育てるための区画らしいからな。お前達もここの方が落ち着くだろ?」
池ノ伍と路ノ三の言葉に阿蓮が答える。
阿蓮がこの農業区画にやって来た理由は、この場所だったら文明が発達していないアリュウで生まれ育った爆竜の女性達もくつろげるだろうと考えたからだ。そしてそんな彼の気遣いに爆竜の女性達は全員笑顔を浮かべて頷いた。
「はい。ここは緑が多くて落ち着きます」
「任務中はずっとここにいるのですか?」
路ノ三が阿蓮に返事をして池ノ伍がどこか期待するような目で彼を見ると、阿蓮は苦笑をしながら頷いた。
「そうだな。食事や休憩はここを使わせてもらうけど、訓練とかは……」
「おい! そこにいる陰陽師!」
阿蓮の言葉の途中で彼の背後から突然男の怒鳴り声が聞こえてきて、阿蓮が背後を振り返るとそこには彼と同じ陰陽師の制服を着た一人の男が立っていた。その陰陽師の男は赤い髪を短く切りそろえた二十代くらいの外見なのだが、延命技術が発達していて外見年齢と実年齢が一致しない神聖ヤマト皇国では、陰陽師の男が実際にどれくらいの年齢か分からなかった。
「……? お前は誰だ?」
「俺の名は
阿蓮に聞かれて陰陽師の男、加登京は右手の親指で自分を指して大声で名乗り、それを聞いた阿蓮は思わず呆れたような表情となった。
(二つ名って……今どきそんなのを名乗る陰陽師がいるなんてな……)
昔、陰陽師の中には自分の力を誇示するために、自身が目覚めた
そしてそんな阿蓮の驚きをよそに京は阿蓮を指差して彼の名前を呼んだ。
「お前は射国阿蓮! あの五大魔狂の一人、土属性の爆弾魔で間違い無いな?」
「ああ、そうだけど。それで俺に何の用だ、岩掌の京とやら?」
自分の名前が周囲に知られていることを承知している阿蓮は京の言葉に頷く。すると京は阿蓮を指差したまま大声を出す。
「射国阿蓮! 土属性の爆弾魔! お前に決闘を申し込む!」
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