土属性VS土属性(1)
阿蓮が
自身の式艤神、星面金剛と一体化して宇宙という水の中を泳いでいた阿蓮は、センサーで自分が目的地の近くまで来たことを確認すると操縦を自動操縦へと切り替えた。するとそれと同時に阿蓮の視界と身体の感覚も切り替わり、今まで宇宙空間にいた彼は次の瞬間には星面金剛の操舵室にある操縦席に座っていた。
「お疲れ様です、ご主人様」
「ん? ああ、ありがとう」
操縦席に座る阿蓮の周囲には十人の爆竜の女性達の姿があり、その中の一人である路ノ三が阿蓮の意識が戻ったことに気付き、飲み物を彼に手渡した。星面金剛と一体化して三時間程宇宙航行をしていたため喉が渇いていた阿蓮は、路ノ三に一言礼を言ってから飲み物を受け取るとそれを口にする。
「……それにしても、今度は随分と早く決まったな」
阿蓮は路ノ三から受け取った飲み物を飲むと、路ノ三を含めた自分を取り囲む十人の爆竜の女性達を見て呟く。その呟きを聞いて爆竜の女性の一人、池ノ伍が首を傾げる。
「? 早く決まったとは何がですか?」
「任務についてくる十人を決めるのが。ほら、前に戦事略決に行った時は、半月以上かけてついてくる十人を決めていただろ?」
星面金剛の整備などの用事で戦事略決に行った時、爆竜の一族は十ある爆竜の村でそれぞれ勝ち抜き戦方式の試合を行い、半月以上の時間をかけて阿蓮と同行する十名の精鋭を選んでいた。しかし今回はすぐに彼に同行する十名が決まり、お陰で今回の任務を受けると決めてすぐに行動に移せたのであった。
その事を阿蓮が言うと池ノ伍は納得した表情となって口を開く。
「その事ですか。私を含めた今回のお供を決める試合でしたら、ご主人様達が戦事略決に行っている間に行われました」
「え? そうなのか?」
阿蓮が聞き返すとそれに池ノ伍が頷き答える。
「はい。次の任務のお供は今回の任務のお供に選ばれなかった者から決める、というのが私達爆竜の一族全員で決めたことですから。そうすればすぐにご主人様の任務に同行できますし、より多くの爆竜の一族がご主人様と一緒になれますから。今頃アリュウでは次の任務に同行するお供を決める試合が行われているはずですよ」
「……なるほどな」
池ノ伍の説明に他の爆竜の女性達も頷き、阿蓮はそれだけを言うと飲み物をもう一口飲んだ。
確かに前もって任務に同行する者を決めていてくれたお陰ですぐに行動できたが、阿蓮に抱かれるか任務に同行すれば名前を名乗れる決まりを含めて、爆竜の一族だけで決めて主人である阿蓮が知らない決まりがまだあるような気がする。一度、爆竜の一族で決めた決まりを全部聞いてみようかと阿蓮が考えていると、操舵室のモニターが今回の任務の現場を映し出した。
モニターに映っているのは、巨大な五つの輪を縦に重ねたような外見をした宇宙居住地で、それを見て路ノ三が阿蓮に話しかける。
「ご主人様。あれが今回の任務の現場なのですか?」
「ああ、そうだ」
阿蓮は路ノ三の言葉に頷き答えた後、彼女達に聞こえない小さな声で呟いた。
「……それにしても、やっぱり夢のと似ているな」
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