やっぱり「食」は重要(4)

 その後、射ノ一に強く懇願された阿蓮は、その場にいる三人の爆竜の女性達と一緒に彼女を抱くことになった。すると射ノ一達の嬌声を聞きつけて他の爆竜の女性達も集まってきて、阿蓮は彼女達も抱くことなり、その行為は丸一日続いた。


 一体何人の爆竜の女性を、何回抱いたかは覚えていない。だが、阿蓮に抱かれたことにより自分の名前を持つことを許された爆竜の女性が三十人以上いるのは確かだった。


「そう言えばご主人様。昨日言っていた食べものの話なのですが、具体的にはどうするおつもりなのですか?」


「……ああ、そうだな。まずはこれを見てくれ」


 次の日。心なしか活力に満ちた顔をしている射ノ一が聞くと、疲れた顔をしている阿蓮は物質転移系の式祈神スキルを使い、星面金剛の倉庫にあったある物を自分の手元に呼び寄せた。それは南瓜によく似た植物で、射ノ一は彼の両手にあるその植物を見て首を傾げる。


「……それは、果物ですか?」


「いいや、これは野菜の一種でナベミと言うんだ。これは美味い上に栄養がある野菜で……と言うより、実際に食べた方が早いな」


 阿蓮は自分が持つ植物、ナベミの説明をすると早速、式祈神で火を起こして火の中にナベミを入れた。そして数分程経ったところで火の中からナベミを取り出し、短刀でナベミの上の部分にあるヘタの周辺をくり抜くと、香ばしい良い香りが周囲に広がった。


「っ! いい匂い……」


「どうやら気に入ってくれたみたいだな。このナベミは火に入れて熱すると、外の硬い皮は鍋になって中の果肉は煮物みたいになるんだよ」


 ナベミから発せられる匂いによって食欲を誘発された射ノ一を見て阿蓮は満足そうに頷く。


「食糧改善にまず、このナベミの栽培をしたいと思っているんだが、どう思う?」


「そうですね……。このナベミはとても美味しそうですし、ご主人様の命令とあれば反対する者はいないでしょう。……ですが、実際に栽培するのは難しいのかもしれません」


 射ノ一はそう言うと、阿蓮に自分の黒い鱗でおおわれた恐竜の手足のような両腕を差し出して見せた。


「私達爆竜の一族の手は、見ての通り道具を使ったり細かい作業をするのに向いておりません。そのナベミが簡単な畑仕事だけならともかく、細かい手入れが必要なら枯らしてしまうかもしれません」


 射ノ一の言う通り、式姫神サポートユニットという生物兵器である爆竜の一族は、阿蓮の遺伝子情報と共に譲り受けた「焼泥」の式祈神とそれを利用した格闘術を使うため、恐竜の手足のような四肢を持って産まれてきている。しかしこの恐竜の手足のような四肢は力加減や細かい動作が極端に苦手で、爆竜の一族の住居がどれも原始的な作りをしているのは、彼女達が簡単な住居でも充分生活可能なこともあるが、複雑な物を作れないという点もあった。


「ああ、その点は大丈夫だ。ナベミは神聖ヤマト皇国の遺伝子技術で作られた野菜で、種を適当に耕した土地に埋めるだけで後は勝手に育つ。収穫は種を埋めて一ヶ月くらいでできるな」


「本当ですか。平地を耕すのだけなら大の得意です」


 阿蓮の説明を聞いて射ノ一は嬉しそうな顔を浮かべる。ちなみに彼女が言った平地を耕すというのは、焼泥の油を纏わせた手や足で地面を爆破するという意味である。


 それから阿蓮と射ノ一はナベミを一緒に食べ、ナベミを味を気に入った射ノ一は早速、爆竜の一族の村全てでナベミの栽培をすることに決めたのであった。

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