やっぱり「食」は重要(2)
「ん? 何をやっているんだ?」
食糧の改善について、まずは爆竜の一族と相談をするべく彼女達の村へと行こうと思っていた阿蓮は、二十人の爆竜の女性達が何かを作っているのに気づいた。彼女達が作っているのは、小さな木の板に植物のツタを結びつけたもので、木の板にはカタカナと数字が刻まれているのが見えた。
「これですか? 私達の名札です」
「ほら、私達って名前がないじゃないですか?」
「いやいや……。名前がないって、俺が名付けていないみたいな言い方はやめてくれないか? 名付けるのを断ったのはそっちだろ?」
二人の爆竜の女性が阿蓮の質問に答えると、それを聞いた彼は苦笑を浮かべて首を横に振った。
十年間のコールドスリープから目覚めたばかりの頃、阿蓮は爆竜の一族にそれぞれ個別の名前をつけようとした。しかしそれに対して爆竜の一族は「ご主人様に余計な手間をかけさせるわけにはいきません」と言って断り、阿蓮も千二百人以上の名前をつける大変さを想像して爆竜の一族に名付けるのを諦めたのである。
「はい。私達全員の名付けはご主人様も大変だと思い断りました」
「ですから私達は私達で、自分達の名前をつけるための決まりを決めたのです」
「え? 名前をつけるための決まり? 聞いてないんだけど?」
先程とは別の二人の爆竜の女性がそう言うと、阿蓮は自分の知らないうちに爆竜の一族の間で取り決めが決まっていることに驚いた。
「それで名前をつけるための決まりって何なんだ?」
「決まりは非常に簡単なものです。『ご主人様のお仕事に同行する、もしくはご主人様に抱かれた者から名前を得られる』。それだけです」
「そして名前は自分達が暮らす村の名前と数字を組み合わせたものですね」
阿蓮の質問にまた別の二人の爆竜の女性が答えてくれたのだが、その言葉に一つ気になるところがあった阿蓮が首を傾げる。
「村の名前? そんなものあるのか?」
「もちろんありますよ。現在私達の村は全部十あります。そして作られた順に『
「……全然知らなかった」
爆竜の女性の説明を聞いて阿蓮は、自分が彼女達について何も知らなかったことに気づいて呟く。
「それじゃあ、前回の戦事略決についてきた十人の爆竜の女性達も、今頃はその名前を名乗っているのか?」
「はい。それでご主人様。食べ物の相談をするのでしたら、その中の一人『射ノ一』に相談したら良いと思います」
阿蓮の質問に爆竜の女性が答えると、続けて彼女は今日の彼の予定に関する助言を言う。
「射ノ一? 彼女がどうかしたのか?」
「射ノ一は爆竜の一族の初代様……ご主人様が直接作られた
言われて阿蓮は自分がコールドスリープから目覚めたばかりの時、一人の爆竜の女性に話しかけられたのを思い出した。
「彼女が爆竜の一族のまとめ役だったのか……」
そしてよく思い出してみれば前回の戦事略決へ行った時も、お供で連れて行った十人の爆竜の女性達の中で、一人が他の九人に指示を出してまとめていたような気がする。恐らく彼女が射ノ一、初代が最初に産んだ爆竜の女性だったのだろう。
「俺、もしかして惑星の開発より先に、爆竜の一族について知る方が先なのかな?」
多少は爆竜の一族と打ち解けたつもりであったが、実際は彼女達についてまだまだ全く知らないことに気づいた阿蓮は思わず呟いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます