方針変更(1)
戦事略決は陰陽師関連の研究所や工場が集まった惑星だが、そこに用事があって訪れた来客が使用する宿泊施設も多くある。阿蓮達はその中にある、星面金剛の整備中に泊まる宿泊施設に来ていた。
『『すみませんでしたぁっ!』』
宿泊施設の部屋で阿蓮達に喧嘩を売った三人の陰陽師が、彼の前で土下座をして謝罪をした。
「ま、まさか射国さんが先生と同じ、五大魔狂の方とは梅雨知らず!」
「その
「俺達にできることなら何でもしますのでどうか! どうか命だけは!」
「いや、それはもういいんだが……」
阿蓮は土下座をしながら必死に謝罪をする三人の陰陽師を見た後、その背後にいる長髪の陰陽師、自分と同じ五大魔狂の一人である荒命に話しかける。
「おい、荒命? コイツらの怯えっぷり、お前一体何をした? というか先生ってどういうことだ?」
「ふむ。阿蓮、お前は十年前に俺達、五大魔狂が十年前に陰陽寮から任務を与えられたのは覚えているか?」
「忘れるわけないだろ」
荒命に質問した阿蓮は逆に聞き返された言葉に頷いて答える。
十年前、阿蓮達は今までの
「拙者は素行不良の陰陽師の性根を叩き直し、一人前の陰陽師に育てるという任務を陰陽寮から与えられた」
陰陽師は悪霊体と戦うために
荒命に与えられた任務は、そんな強力な式祈神に目覚めたことを切っ掛けに増長して、ろくに任務もせずに周囲に偉そうな顔をする陰陽師達の教官役という任務であった。
「ちなみにこの三人も、せっかく実戦向きな式祈神に目覚めたというのに悪霊体とろくに戦いもせず、小さな任務で満足して周りに威張り散らすという者達であった。それを何とか鍛えたかと思ったのだが、目を離したらすぐに相手の力量も理解せずに喧嘩を売る始末だ」
『『………!』』
そこまで言って荒命が今だに土下座をしている三人の陰陽師の背中に視線を向けると、三人の陰陽師は恐怖で身体を震わせ、阿蓮がため息を吐いて荒命に話しかける。
「いや、それは仕方がないだろ? お前、どう考えても人に物を教えるの向いていないから。手加減って言葉を知らなくて、悪霊体と一緒にその惑星の領主のビルをみじん切りにしていたお前を先生にする? そんなの遠回しな殺人依頼と大差ないだろうが。どうせ『心身共に強くなるには実戦経験あるのみ』とか言って、ひたすら生意気な陰陽師を悪霊体の代わりに死ぬ寸前まで叩きのめしていたんだろ?」
阿蓮がそう言うと、爆竜の女性達は少し前に巨大な斧を奮って自分達の主人に襲いかかっていた荒命の姿を思い出し、三人の陰陽師は土下座の体勢のまま小さく、しかし高速で何度も頷いてみせた。
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