望まれぬ帰還(3)
『お、お帰りなさい。射国阿蓮殿……。お話は聞いています。ど、どうぞお通りください……』
「はい。分かりました」
『そ、それでは失礼します!』
星面金剛がアリュウから宇宙へ飛び立ってから三日後。亜空間航行を繰り返して陰陽寮が管理する惑星の近くまで来た阿蓮達は、通行する宇宙船の取り調べを行う関門の担当官から通信を受けていた。
取り調べと言っても所属と目的地を簡単に確認するだけで、震える声で通行を許可する担当官は阿蓮が返事をするとまるで逃げるように通信を切った。
「あの人も随分怯えていましたね?」
担当官の通信が終わると、阿蓮と一緒に操舵室にいた十人の爆竜の女性達の一人が彼に話しかけ、それに他の女性達も頷く。関門で取り調べを受けたのはこれで五度目で、その全ての担当官が先程の担当官と同じ怯えた態度を取っていた。
「あー……。その、何だ? 俺は『アイツら』と一緒に色んな所で暴れていたからな。そのせいだろ」
担当官達が怯えていたのは「五大魔狂」、「土属性の爆弾魔」と呼ばれて恐れられている阿蓮のこれまでの戦いぶりを知っているからで、彼が適当に言葉を濁して答えると爆竜の女性の一人が首をかしげる。
「アイツら? ご主人様のご友人ですか?」
「友人……いや、アイツらは友人というより腐れ縁だな。同じ時期に陰陽師になって、訓練時代に『アイツ』が『一緒に組んでみないか?』って言ってきたのが切っ掛けで、その後に他の三人の陰陽師とも知り合って、気がつけば五人で行動する機会が多くなっていたんだ」
阿蓮が口にした「アイツら」とは、彼と同じく「五大魔狂」と呼ばれている残り四人の陰陽師のことであった。話をしながら阿蓮は
「アイツら、今頃何をしているんだ?」
阿蓮達、五大魔狂の五人は十年前に
他の四人がまだ退屈な任務をしているのかと阿蓮が考えていると、自動航行装置が目的地に着いたことを教えてくれた。モニターに視線を向けるとそこには一つの惑星が映っていて、彼はモニターの惑星を見ながら爆竜の女性達に話しかける。
「皆、あれが俺達の目的地、陰陽寮が管理している惑星の一つ、『戦事略決』だ」
阿蓮達が戦事略決の付近まで来ていた頃、陰陽寮の本部では一人の陰陽師が鬼気迫る表情で後輩の陰陽師に問い詰めていた。
「土属性の爆弾魔……射国阿蓮が戦事略決に向かっているだと!? それは本当か!?」
「は、はい……! 何でも
「……………!?」
後輩の陰陽師の言葉に先輩の陰陽師は絶望の表情となり、その様子を不審に思った後輩の陰陽師が話しかける。
「あの……? 射国殿が戦事略決に向かうと何かマズイことがあるのですか?」
「………いるんだ」
先輩の陰陽師は後輩の陰陽師の質問に蚊の鳴くような声で答える。
「今……戦事略決には、射国阿蓮の他にもう一人、五大魔狂がいるんだ……。『
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます