目覚めたらそこは楽園だった?(2)
射国阿蓮は混乱していた。
気がつけば阿蓮は、自分が操る
阿蓮が乗る式艤神は周囲を森で囲まれた湖に着水していて、人型の航行ユニットの部分は沈んでいたが居住ユニットの部分だけは湖の上に浮かんでいた。気温は温暖で空から降り注ぐ太陽の光と頬を撫でる風が、これが夢ではなく現実であると教えてくれる。
「ここは一体何処なんだ? ………っ!?」
周囲の景色は何処かで見たような気がするのだが、何処で見たのか思い出せず阿蓮が考えていると、いつの間にか湖の外側に大勢の人らしき者達が集まっていた。
湖の外側に集まっていたのは全員、若くて美しい女性ばかりだった。
外見の年齢は十代後半から二十代くらい。
髪の色は僅かに薄い青が入った銀色で、瞳の色は輝くような金色。
服装は裸の上に黒い前掛けのようなものを着て前面だけを隠した過激な服装で、胸元を見れば豊かな二つの乳房がたわわに実って前掛けを下から盛り上げていた。
これだけならば服装がおかしな事以外は普通の人間なのだが、阿蓮が彼女達を「人らしき者」と認識したのにはいくつもの理由がある。
まず額には一本の角が、そして腰には黒い鱗でおおわれた尻尾が生えていること。
次に両腕と両足が人間のものではなく、尻尾と同じ黒い鱗でおおわれた恐竜の手足のような外見であったこと。
そして最後に彼女達の容姿が「全く同じ」であること。
同じ服装だから雰囲気が似ているとかの話ではなく、全く同じなのだ。髪型や化粧、装飾品等の多少の違いはあるが、彼女達は顔立ちだけでなく身長や体型から髪と瞳の色まで全て同じで、まるで一人の人物の姿をいくつもの鏡で映しているようにも見えた。
(同じ顔の人が何人もいたら変な感じがするな。……まあ、全員巨乳で、あと美人だからいいけど。というか、ここは楽園か?)
……一見人のようだが人ではない異形の集団に取り囲まれている阿蓮だったが、結構余裕があるみたいだった。そして彼がそんなことを考えながら湖の外側に集まった女性達を見ていると、突然彼女達はひざまずいた。
「え? いきなりどうしたの?」
女性達の突然の行動に阿蓮が戸惑っていると、女性達の一人がイカダに乗って彼が乗る式艤神に近づき阿蓮に話しかけてきた。
「ご主人様。よくぞお目覚めになってくれました」
「…………………………ハイ?」
初めて見る女性にご主人様と呼ばれて阿蓮の思考が止まるが、イカダに乗った女性は話を続ける。
「私達『
「……いや、ちょっと待て? 一体どういうことだ? ハリュウの一族? 君達は一体何者なんだ?」
何処かで見たような気がする未知の惑星。自分達を「爆竜」の一族と呼ぶ全く同じ容姿の女性達。そして「爆竜」の女性達の主人となっていた自分。
次から次へと出てくる情報にいい加減混乱してきた阿蓮が聞くと、イカダに乗った「爆竜」の女性は僅かに首を傾げてから答える。
「私達はご主人様によって創造された『
「君達が俺の式姫神? それに十年前の出来事? …………………………ああっ!?」
阿蓮は「爆竜」の女性の言葉を聞いて沈黙した後、今から十年前に自分に何が起こったのかを思い出した。
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