第34話

 体育祭も終わり、みんなの学校生活がだいぶ落ち着いてきたくらいの時だった。


 俺はいつも通りの時間に教室に入ろうとすると、扉の前で教室にも入らず、ジッと立っている人がいた。


 周りの人の声に耳をすますと「え、可愛くね?」「あんな子いた?」などと主に男子が注目していた。


 女子に関しては、あまり気にしてはいなかった気がする。


 俺は、なんか今行くのは良くないと察してその女の子が教室の中に入ったら、俺も入ろうと思った。


 ついにその子がガラガラッと扉を開け、教室に入っていく。


 委員長・・・・・・髪の毛切って緊張してたのかな。


 でも、その気持ちはわからなくはない。俺も髪の毛を切った時、教室に入るのは恥ずかしさがあった。


 そのあとついて行くように教室に入っていくとクラスのみんなは、気づいてない様子だった。


 髪の毛もバッサリ切って、コンタクトにもしていたので分からない人にはわからないと思う。

 俺も最初、雰囲気くらいしかわからなかった。


「おはよ、委員長」

「えっ?!あ、う、うん!おはよ・・・・・・」

「委員長イメチェン?似合ってるね」

「えっ、あ、ありがとうっ」


 俺が挨拶すると、みんなが驚きの表情を隠せていなかった。


 そのあと、先生が来るまで委員長への質問攻めは止まらなかった。

 委員長は見るからに疲れているのがわかった。


「俺は、そんなことなかったな・・・・・・」

「あれ?質問攻めされたかった?」

「いや、疲れるからいいや」


 質問攻めされてもいいかなと思ったが、冷静に考えて、ただ疲れるだけだと改めて思った。


「なんか、髪型やメガネからコンタクトに変えただけで、いつも全然話さない男子が話に行ってるの面白いな」

「まぁ、本当にすごく変わったしな」

「それはそうと、お前なんで気づいたんだよ」

「んー?雰囲気?」

「それだけでわかるか?普通」

「だいたいわかると思うけど・・・・・・」


 そう言って、三村を見るとこちらを気味の悪いような目で見ている。

 そんなに変なことを言ったか?と思ってしまった。


「そういえば今日の歴史のプリントやったか?」

「はっ?」

「いやいや、昨日先生が言ってただろ」

「・・・・・・・・・うわぁ、確かに言ってた」


 歴史のプリントをやるのを忘れていた。まずい。どうせ今日丸つけなんかをするので、大丈夫と思いたいが、しかし授業の最初に集めるときがあるのでその可能性がある限り安心ができない。


 今から誰かのを写すしかない。今からこのプリントを終わらせる方法はそれしかないと思った。


「み、三村?」

「んー?なにかね友よ」

「そのー。・・・・・・プリントを見せてほしいです」

「いいけど条件がある」


 そう言って、俺の方をニヤニヤしながら悪い笑みを浮かべながら見てくる。

 俺は少し寒気がした。


「今日の放課後、テスト勉強しようぜ」

「ん?あぁ、いいよ」

「じゃあメンバーは白河さんと尾鳥さんと蒼太と」

「ちょっと待て」

「俺とお前」

「待て!」


 「なんだよ」とこっちをめんどくさそうな目で見てくる。


 さすがに聞いてない。なんでこんな豪華メンバーみたくなってるんだよ。俺は賛成していない。みたいな表情をする。


 俺のその表情を見た三村は悪い笑みを浮かべて歴史のプリントをわざと俺に見せるように、ヒラヒラと手で動かしている。


「いいのか?歴史のプリント」

「・・・・・・やる」

「じゃあ決まりだな」


 まさかの意外なメンバーで勉強会(未定)をすることになってしまった。


 できることなら、今日は用事があってほしい。と心の中で思ってしまった。

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