迷子の女の子を家まで届けたら、玄関から出て来たのは学年一の美少女でした

第27話

「お前たちに聞きたいんだけど、俺ってどうしたらモテるというか、女子に好かれると思う？」

　俺が三村や蒼太に真剣に聞くと、2人はポカンと口を開けたまま、固まっていた。

　なにか、まずいことでも言っただろうか、ただ俺よりも2人の方がそういうのに詳しいと思っただけだ。

　三村はなんやかんや、モテるし、蒼太は彼女居るし、そんな俺よりも経験値が高い2人に自分がどう変わればいいのか効いたつもりだったのだが･･････

「ど、どうしたんだ？大丈夫か？」

「黒田、熱ある？保健室行こう」

「どーして、俺がそんなこと聞いたらおかしいみたいになるんだよ」

「いや、だってなぁ？あんなに恋愛に興味が無さそうだったお前がなんでまた･･････」

　すると2人は、何かに気づいたかのように、2人で目を合わしてニヤニヤしながらこちらを向いてきた。

「なぁ〜？黒田〜？もしかして好きな人できた？」

「え？」

「え？ってなんだよ、好きな人できたんだろ？お前がそんなこと言ってくるとしたら、好きな女を振り向かせたいとかだろ？それか釣り合う男の子になるとか」

「ま、まぁ当たってるけど･･････」

　三村は見事俺の考えていたことを当てて

やったー！とバンザイしていた。

「で？だれ？だれ！」

「蒼太がこんなに食い気味なこと滅多にないぞ！」

「えっと･･････その」

「もったいぶってないで、早く言え！」

　と、俺の脇腹や頬を指でツンツンしたりぐりぐりしたりしてくる。

「わかった！言うからやめろ！」

「遂に来ましたー！黒田の重大発表ー！」

「黒田さん、ええっと誰が好きなのでしょうか？」

　そう言って、よくバラエティ番組のようなフリをされた。

「好きな人というか気になってる人というか」

「はいはい」

「その人の名前は白河綾乃です」

　2人はそれを聞いて、ゆっくりと目を閉じて神様に祈るような感じで手を合わせていた。

「な、なんだよ！」

「また、お前はそんな激戦区を行こうとするなぁ」

「ライバル、猛者だらけだよ」

「それでも、好きになったのはしょうがないだろ」

「まぁ、俺も好きだぞ？推しとして」

「推し？」

「ああいう、超絶美人で可愛い人は俺が付き合えると思ってないから、身の程をわきまえてるよ」

　だから推しなのか･･････まぁ、学年のアイドルのような存在なのは確かだ。

「でも、お前が本気で勝ちに行くんだったら、俺らも応援する」

「みむらぁ･･････」

「まぁ、黒田の頼みだったら仕方ないか」

「そうたぁ･･････」

　2人に「ありがとう」と言い俺はいい友達を持ったことに今本当に感謝している。

「何買ってもらおうかなぁ〜？」

「ん？」

「蒼太、そこはジャンボバーガーに決まってんだろ常識だぞ」

「違うねさっぱりした、ライチレモンシャーベットだね」

「お前ら何言ってんの？」

「えっ？何って手伝うんだからその報酬でしょ」

　真面目な顔でお前こそ何言ってるのみたいな顔はやめてほしい。

　というか、さっきの俺が感じた純粋なありがとうを返してほしい。

「じゃねぇと、俺らが黒田の言うこと聞くとでも？」

「･････････終わりだよ、この関係」

「ふふっ、ははっ！冗談だよ、冗談っ」

「みむらぁ」

　冗談と聞いた瞬間。さっきの純粋なありがとうは2人のためにやっぱりあげるので返さなくてもいいと思った。

◆◆◆

「で！話戻るけど、どうしたらいいと思う？」

　それを聞いて、うーんと悩んでいる。

「一つだけ言いたいのは、髪が長い。髪の毛ちゃんと整えろ」

「うん、僕もそれ言いたかった。髪の毛切りたくないんだったらセットくらいしなよ」

　２つの矢が俺の心にグサッと刺さる。

「髪の毛切ってセットしたらどうなる？」

「そりゃあ、まぁ･･････軽く言って最強だろ」

「フル装備だよ」

「でも、そんなことは白河さんを好きな人はほとんどやってる最低条件みたいなもんだぞ？」

「そうだよなぁ･･････」

　2人からは、とりあえず髪の毛をどうにかして、あとは清潔感を高くすればいい所までは行けると言われた。

　でも、自分的にはもうすでにいい所まで行ってると思っているのだが、確かに見られるんだったら

　カッコイイ自分を見てほしい。これは誰でも思うことだろう。

「決めました俺、黒田雄星は髪の毛を切ります」

「おおっ〜」

「セットもします！」

「おおっ〜！」

　俺は、やるならもう後悔しないようやれるだけやろう。

　そう思った。

「ねぇ、三村いいの？黒田髪の毛、切るって言ってるけど、髪の毛切っても最終的には上手くいくかわからないよ？」

「それは黒田もわかってることだよ、でも後悔したくないんだろうよ」

「その気持ちはわかるけど･･････」

「蒼太は優しいな、それに･･････黒田（アイツ）がカッコいいことは俺らが1番知ってるだろ？」

「そうだね･･････」