第22話

「はぁ、最悪の雰囲気になっちゃったなぁ」


 これも全部佐々木のせい・・・・・・にするのは良くないか・・・・・・アレでも、体育祭で勝ちたくて言ってたんだもんな・・・・・・


 でも流石にあの言い方はないだろう。しかも急に予定を勝手に決められても困る。

 みんなそれぞれ変えられない予定があったりしたらどうするつもりだったんだよ。


 新作のゲームを買うのだってちゃんとした予定だ!と言ってやりたかったが、まぁ少しビビったので言えなかった。


 はぁ〜と深いため息を吐くと。後ろから背中を何かで叩かれた。


「いたっ!」


 痛くはなかったが、反射的に痛いという声が出てしまった。後ろを振り返ると、長い黒髪を揺らして、悪戯笑みを浮かべている綾乃がいた。


「なんで、そんな暗い顔してるの!」

「いやっ、なんだよいきなり・・・・・・」

「死んだ目してたから、心配しただけ」

「それより俺の背中叩いた事は謝らないのか?」

「アレは喝を入れてあげたの!」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・ご、ごめんなさいっ」


 俺が笑いを堪えていたら、丁寧に謝ってきた。多分怒っていると勘違いしたのだろう。

 別に怒ってはいない。ただ、女の子から喝を入れる、なんて初めて言われたので、なんか変な感覚だった。


「いいよ、別に」

「あっ!私用事あるからもう行くね!話聞いてあげられなくてごめんねっ」


 そう言って綾乃は、逃げるように走って行ってしまった。別に怒っているわけではないんだが・・・・・・


◆◆◆


『そんなことがあったんだ・・・・・』


 その日の夜、俺は綾乃とメッセージのやりとりをしていた。

 綾乃の方から『今日はどうしたの?』と言ってきてくれた。


 それで、今日の話し合いの事を一通り綾乃に言った。


 まぁ、時間も経ってあんまり気にはしていないのだが、明日までに決めてこいと白坂が言っていたのだが、少し迷っている。


 行きたいと言ったら嘘になる。さすがに、今日あんな事があった後なので、気まずい・・・・・・


 でも、行かなかったら行かなかったで、なんか言われそうだし・・・・・・頭が混乱してきて、考えるのが辛くなってきた時、また綾乃からメールがきた。


『でも、誰がなんと言おうと、最後に決めるのは雄星くんだよ?』

『わかってる』

『私はクラスが違うし、こんなこと言うのは違うかもだけど』

『いや、ありがとう。少しスッキリしたよ』


 誰かに話すと少しは楽になる。どっかでこのような言葉を聞いた事があるが、本当にそうだとこの時に思った。


 その時はどうでもいいと思って、忘れていると思っても、案外覚えているものだ。


『じゃあ、おやすみ〜』

『うん、おやすみ』


 そのメールを、して綾乃とのやり取りは終わったしかし、学校でも、家でも元気付けられた気がする。


 いや、実際元気付けられているのだろう。それを気づかないふりをするのはやめた。


 俺は寝ようとしていたのに、目が覚めてしまい、眠れなくなってしまった。


 しかし、起きていると不思議なもので、考えなくてもいい余計な事を考えてしまう。


 よし、俺も明日、アイツらと一緒にゲーム買うから無理、いや、漫画本買うから行けないって言っておくか・・・・・・


など起きてる間、言い訳・・・・・・いや、理由を考えていたのだが眠れない理由はそれを考えているからなのだろうか。


 今日は眠れなくて徹夜コースかな?と俺は考えてしまう。



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