第20話
まさか、綾乃が俺と同じ学校だったとは・・・・・初恋の女性との再会・・・・・・漫画みたいな展開だな。
今後どう接していいか、難しいな・・・・・・でも本当に容姿が綺麗になっていた。
本人が努力してきたのが男の俺でもわかるくらいだ。
「・・・・・・なぁっ!黒田聞いてたか?」
「あぁ、今日の味噌汁溢したって話だろ?」
「それはさっき終わった」
「あぁ、そうだっけ・・・・・・それで今度は味噌汁の具材が好みじゃなかったって?」
「それは昨日の話だろっ!」
三村が俺が話を聞いてないことに対してツッコミを入れてくる。
ていうか、昨日の話題も味噌汁だったのかよ、どんだけ味噌汁好きなんだよ。
俺は1人でそう思っていた。いや、蒼太も思っているかもしれない。
「ちげぇよっ!体育祭なににでるって話だろ!」
「体育祭・・・・・・・・・」
「黒田お前そんなことだと、疲れる種目やらされるぞ」
「あー、バスケか・・・・・・」
「バドミントンの方がよかったなー」
三村がバドミントンだったら俺は戦闘力が跳ね上がるなどと言っており、ラケットを振っているフリをしている。
でも確かに、体育祭では楽そうな玉入れや二人三脚なんかでいいのだが・・・・・・それかドッジボール、なるべく気づかれないように動き、逃げていればそのうち終わるからだ。
バスケは、常に動いているので、そんなのは体力と身体がもたない。
「狙うは玉入れと二人三脚」
「あぁ、そうだな・・・・・・」
「ちなみに僕は二人三脚狙ってる」
「蒼太お前は彼女とやりたいからだろー!」
許さんと血眼で蒼太のことを睨んでいる。その姿を見て、自然と笑みが溢れる。
出る種目についてはまずアンケートをとり、そのあとで人数が多かったらクジを引くか、ジャンケンだ。
俺はそのクジを引いて、玉入れ、二人三脚どちらもダメだった。
「すまない友よ・・・・・・」
「まぁ、運が悪い時もあるよ」
「慰めても、変わんねぇよ・・・・・・」
そう・・・・・・ドッジボールも人気があるので、まず玉入れと二人三脚から溢れてもドッジボールには行けない。
消去法でバスケ確定になってしまった。でも幸いなことにバスケの補欠になったので、よかった。
心の中でホッと息をついた。
しかし、問題があと一つある。
それは周りがほとんど陽キャばかりなのだ。でもまったく喋ったことがない訳ではない。
仲が悪い訳でもないが、あまり絡まないので、少し不安だった。
「よろしくなー!」
陽キャメンバーの1人が同じバスケになった奴らに声をかけていた。
もちろん俺にも。
「うん。よろしく」
そう言って初顔合わせ的なことが終わり、また自分の席に戻ると、今度はスローガンを決めようと委員長が言ってきた。
これも必要なことらしい。まぁ簡単に言うと目標を決めるということだ。
「スローガンかぁ〜」
などみんな悩んでいる生徒が多い。俺もその1人だ。全くいい案が浮かばない。
三村はなぜかどんどん案が出るのか、積極的に発表していた。
最後は投票になり、結局委員長が発表した
【真剣にでも楽しく 2年の最高の思い出を】
が採用された。三村は五つくらい案を出していたのだが、3票しか入っていなかった。
まぁ、こうなることは予想できていた。三村に投票したのは、俺と蒼太とまぁ、三村自身だ。
「お前ら・・・・・・・・・本当いい奴だよな・・・・・・」
「まぁ、かわいそうだし・・・・・・ぷっ」
「今笑ったな?!」
「だって・・・・・・ほんとに期待を裏切らないというかなんというか・・・・・・見ろって蒼太なんてさっきから寝たふりして笑い堪えてるぞ」
「前言撤回だ!お前らやっぱり嫌な奴らだ!」
「嫌いだ!嫌い!」などと言ってきた。それを抑えるかのように俺が「どーどー」と言って三村を静める。
まぁ、なんだかんだで体育祭のスローガンが決まり、本格的に体育の授業などでの練習が始まる。
「バスケ・・・・・・かぁ」
決まったからには、やり切るしかない。スローガンにもあるように、真剣にでも楽しく。
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