第12話
「明日夏祭りなのか・・・・・・」
ふと、コンビニの帰り道の電柱に貼ってあるチラシを見た。
8月20日開催と書いてある。
毎年この夏祭りが来たら夏が終わる少し前という感覚に小さい頃からなっていた。
去年は三村達と行ったが、今回はどうだか分からない。
蒼太は彼女と行くだろうし、三村は行こうと誘ったら来ると思うが・・・・・・去年と一緒になりそうだな
結局こういうイベントに参加する時は三村と一緒か・・・・・・
考えてみるとほとんどのイベントごとに三村と行ってるよな。
◆◆◆
家に帰ると、暑かった日差しにさようならをかわして冷房の効いたリビングに行く。
ガチャッと扉を開けた瞬間、ひんやりした空気が俺の肌を触る。
生き返ると思いながら、ポケットに入っているスマホを取り出すと、メッセージが一件来ていた。
「三村からか・・・・・・」
予想は大当たり。三村からだった。内容は、『夏祭り行く相手、黒田は居るのか?』というメッセージだった。
やはり、これは居ないと送った瞬間、じゃあ俺と行こうとなるパターンだ。どう考えてもそのパターンしか俺は知らない。
俺自身も今回も三村と行くことになるだろうと思っていたので、『居ないよ』と返すところだった。
送信を押そうとした時、もう一件メッセージが一件来る。
三村ではない。白河からのメッセージだった。
「し、白河っ?!な、なんで?」
驚きすぎて声が出てしまったが、友達登録をしたことをすっかり忘れていた。
一旦三村への送信を保留にして、白河のメッセージを開く。
内容は、白河ももしかしたら一緒かもしれない。
『明日の夏祭り誰かと行くの?』
と来ていたので、『まだ決まってない』と返信したら、すぐに『じゃあ一緒に行こうよ!』と返ってきた。
「三村・・・・・・」
三村は友達だし、先に誘ってくれたのは三村だし・・・・・・でも、白河に誘われたのを断るというのも・・・・・・俺は、どうしたらいいんだ。
リビングをうろうろと回って、三村と白河から、またメールが来た。
三村からは『無視すんな』
白河からは『あっ!用事とかあったら無理しなくていいよー』
このメールでどっちと行きたいかは決まった。
『ごめん三村たった今決まった』
とメールを送った。しかし俺は白河と夏祭りに行きたいなんて、まるで俺が白河に好意を持っているみたいじゃないか。
嫌いではない、しかし好きでもない。友達・・・・・・そう!友達だ。
しかし、なんで白河は俺と行こうなんて言ったんだろうか、白河だったら他の男からも女子からも誘われているだろうに。
もしかして俺のこと・・・・・・いや、ないな冷静に考えて、接点が少なすぎる。迷子を届けた同じ学校の生徒ってだけだからな。
『大丈夫。明日は暇だよ』
白河にそう返信した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます