第2話

 今、俺はとんでもない状況だ・・・・・・まさか、迷子を家まで届けたら、お姉ちゃんが俺の学校の学年1の美少女だったなんて、それにそのお姉ちゃんにご飯まで作ってもらっている。


 こんな、ラノベのような展開、誰もが羨ましがるだろうな、、、


「・・・・・・ろだくん、黒田くんっ!」


 苗字を大きな声で言われて、妄想からはっと我にかえる。


「どうしたの?ぼーっとして」

「いや、ちょっと自分の身の安全について考えてた・・・・・・」

「え?黒田くんって暗殺者とか黒の組織とかに狙われてるの?」


 適当に言ったのだが、まさか乗ってきてくれるとは思わなかった。学年一の美少女と言われる、女の子は案外ノリがいいらしい。


 咄嗟にでてくるだろうか、黒の組織など・・・・・・


「いや、この状況が、もしバレたら・・・世の男共に殺されるんじゃないかと・・・・・・」

「まぁ、たしかに、こんなに美人な女の子の家にあがって、ご飯までご馳走になるんだもんねぇ〜?」


 自分で言うか?普通と思ったが、実際可愛いから否定はできない。


「ふふふっ、大丈夫!バレないと思うよ?」


 口元を手で隠しながら、ふわりっと笑って黒髪を揺らしている。


 しかし、自分の家に男を入れていいものなのか?そこまで仲良くないし、彼氏でもない。学年一の美少女なのだから、彼氏の一人や二人くらい絶対にいる。という噂が流れているのだが、、、


 俺は気になって聞いてみることにした。


「あ、あのっ、」

「ん〜?どしたの?」

「白河さんって・・・・・・」

「お姉ちゃん!ごはん!」


「彼氏いるの?」と聞こうとしたところ、白河妹の元気なご飯食べたいという、声にかき消される。


「あー、はいはい、もう少し待ってね〜?」

「うんっ!分かったー!」

「さっすが私の妹!いい子いい子!」


 えらいえらい、と頭をさすっている。その時の白河妹の笑顔がとても嬉しそうだった。


 白河姉の方も妹が大好きなのだろう。頭を撫でている時の笑顔は兄弟の仲が良いところを見せつけられた気がする。


「あっ、ごめん、なにか聞きたそうだったけど・・・・・」

「あっ、もう大丈夫っ」


 完全にタイミングを失ったと、頭を抱えた。これでもし、彼氏がいて、その彼氏にバレたら、めんどくさいことになるぞ・・・


今からでも言い訳を考えておかないといけないと、椅子に座りながら、考えている。しかしなにも思い浮かばない。


 こんな状況を見たら幼馴染でない限り許されるわけがない。



◆◆◆


「はーい、できたよー!」


 白河姉が、元気な声で、料理を運んでくる。今日作っていたのは、オムライスだ。


 まるで、黄色いドレスのようだった。


「美味しそうっ」

「でしょでしょっ!?早く食べてみて?」

「いただきます」

「いただきまーす!」


 白河妹と、一緒に両手を合わせてオムライスを口に運ぶ。トロトロとした卵にケチャップとの相性はやはり抜群、口の中いっぱいに美味しさが広がった。


「白河さん、とっても美味しい」

「白河さん?妹のことかな〜?」


 にやにや、しながら俺の顔をのぞいてくる。この顔は、ちゃんと名前で呼んでくれないとわからないと言った顔だ。


「白河姉、このオムライスとっても美味しい」

「おっと、そうきたか」


 まっいっか、と言って、名前以外でも許された。


 俺は知らない間に、オムライスを平らげてしまっていた。


「ご馳走様でした」

「お粗末様でした〜」

「ほひほうはまー」


 白河妹が、口にいっぱい入っているせいで、何を言っているのかわからない。


「はいはい、口の中の物なくなってからご馳走様しようね〜?」


 そんな様子を白河姉がみて、呆れた口調で言った


 この姉妹を見ていると、自然と笑顔になってしまうので、必死に隠すが精一杯だった。

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