第二章 管理者編
第3話 浮遊城
深い森の中で、12歳という少年の姿が麻の上下服を着込み、大木の根元にもたれて眠っていた。
目を擦りながら起きた彼は、意識がまだ朦朧としているのか、キョロキョロと辺りの様子を窺う。
「森? 大きい木だな……」
腰にはポーチがあり、当面の必要なものが入ったマジックバッグになっているようだ。
視界の左斜め上に、時計。
その隣に、緑の体力ゲージと紫の魔力ゲージ、黄のスタミナゲージ。
左斜め下に、設定アイコン。
右斜め上に、四角いマップ。
右斜め下に、〈詳細〉と書かれたアイコン。
〈詳細〉を頭の中で念じると、一覧が右下に出る。
〈ステータス〉を見つけたので念じてみる。
視界に現れる、ステータスボード。
ステータス
名前……ユウト・サトウ
年齢……十二歳
魔法……創造魔法
スキル……言語理解、鑑定、アイテムボックス、身体強化、気配察知、全耐性『極』、武術『極』、体術『極』、全自動回復『極』
固有スキル……不老不死
称号……『底辺を生きた者』、『転生者』、『浮遊城の管理者』
加護……『創造神の加護』
「神様は僕の要望を全部叶えてくれたんだな……ん? なんだこれ……『浮遊城の管理者』?」
念じると、説明が出る。
『浮遊城の管理者。 空に浮かぶ城の管理者。 星を丸ごと圧縮した様な広大な海と大地。 中央に巨大な城があり、悪しき者と魔物を常に寄せ付けない結界に守られている。 浮遊城も魔法・物理耐性の結界で常に守られている』
ん?
僕は、まっすぐ全力で走る。
数分後……
僕は今、崖にいる。
目の前には青い海。
空には、空想上の生物の頂点であるドラゴン。
海の先に目を凝らして見ると、雲らしき白いモコモコが見える……。
マップを念じ、縮小!
開いた口が塞がらないとは、今まさにこの状態の事を言うに違いない。
◇
木々に挟まれた道を進む。
左右の木々が途切れた瞬間、目の前に現れたのは白い壁の大きな城である。 屋根は濃い青色だ。
壁は遠目からでも継ぎ目が見える石造りで、互い違いに隙間なく並べられている。
見上げると、大きな広い屋根とは別に尖った屋根が何箇所か出ていた。
〈
そう呟くと少しずつ身体が地面から浮き上がり、城の壁を超えた。
ゆうに十メートルはありそうな壁を超えたのだ。
魔法を使えたドキドキ。 空を飛ぶというワクワク。
前世ではありえない事に、恐怖より好奇心が勝っていた。
壁の上から改めて見る、城の大きさに目を見張った。
城自体も大きいが、門も大きい。
門を鑑定すると、オリハルコンという硬い鉱石で出来ている事がわかったが、問題はこの門が両開きだということだ。
こんなデカい門をどうやって開けと?
門自体には何も模様はなく、縁が黄金で出来ている事以外を除けば、ただのオリハルコン製の巨大な門だ。
城の唯一の出入口であろう、オリハルコン製の門を見上げ数秒考えた後、手を触れようとした瞬間、門は左右同時にゆっくりと城の内側に向けて開き始めた。
徐々に開いていく門を眺めること無く、城の中に足を踏み入れると壁や天井、柱に取り付けられた魔石入のランプが門の近くから順番に灯っていく。
明るくなっていく城内に僕は言葉を失った。
天井は見上げるほど高い。
柱は太く大きい。
床は天井が反射しそうなくらい、磨き上げられた綺麗な石で出来ており、門から奥に向かって赤い絨毯が敷かれていた。
奥にある左右に伸びる階段にも、赤い絨毯が敷かれている。
「オハヨウゴザイマス。 マスター」
背後から機械的な挨拶がありビクリとしつつ、挨拶をした何かの方を向いた。
そこにいたのは、執事服を着た人型の『
一体ならまだ、わかる。
しかし、そこに並んでいたのは一体の執事型オートマタと三十体のメイド型オートマタだったのだ。
僕が門から入った後、音もなく背後に並ぶ三十一体のオートマタ。
恐怖だろ、これ。 ホラーだよ。
「君達が開けてくれたのか」
と、聞くと……
「ハイ、ワタシガモンヲアケマシタ。 『執事型オートマタ、ゼダン』デス」
「ワタクシハ、『メイド長ノ、メイド型オートマタ、マリナ』デス」
執事型オートマタのゼダンと、メイド型オートマタのマリナと共に、最上階のコントロールルームに移動した。
コントロールルームの正面の壁には、大きな画面が縦四つ、横五つの計二十個の画面が並んでいた。
画面の下にそれぞれ、地名や国名が映っている事から、世界各地を見れる様になっている事がわかる。
コントロールルームを後にし、ゼダンにマスタールームへ案内してもらい、ベットに倒れる様にして寝転んだ。
そして、意識を手放した。
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