大学生活

第136話 新生活の始まり

玄関の鍵を掛けて、私はエレベーター近くの部屋のチャイムを鳴らした。少しの間があって、ドアが開くと彩花が顔を覗かせた。


「景は時間通りね?ちょっと待って、今靴履くから。」


彩花は学生らしい格好のはずなのに、なぜかそう見えないという相変わらずのボンキュボンでゴージャスぶりは健在だ。白いクールニットと黒いミニスカート、そして白いハイカットシューズで爽やかなのに…。


「彩花がゴージャスなのって、やっぱりおっぱいかなぁ?」



彩花は朝からオヤジみたいな事言わないでと笑いながら、一緒に駅まで歩いた。私たちは結局同じマンションの、近くの部屋に住むことにした。たまたま空いてたから自然そうなった。玲も同じマンションに住みたがったけれど、さすがに空き部屋がなくて同じ駅の別の学生マンションに決めた。


ほら、やっぱり玲が改札で待ってる。


「玲、おはよっ!」


私が小走りで近寄ると、玲は私の手をとって歩き出した。



「もうちょっと早く来ないと。結構いつもギリギリだろ?…まったく、今日も景は可愛いな。」


なんか玲の言うことは支離滅裂でよく分からない。私は目をパチパチさせながら、取り敢えず笑って誤魔化すことにした。彩花は私たちのこんなやり取りにもう飽きたとばかりにキョロキョロすると、自分と同じ慶成大学のイケメンを見つけるとじゃあねと手を振って遠ざかっていった。



「…相変わらず彩花はハーレム形成してんのか?」


玲が彩花と一緒に歩いて行ったイケメンの後ろ姿を見ながら言った。私はバックからスマホを取り出すと、到着した電車に乗り込みながら今週のスケジュールをピックアップしながら言った。


「うーん、どうだろ。彩花って実は好きな人がいる気がするんだけど。だから彼氏作らないんじゃないかな。その代わり、ボーイフレンドいっぱい?」


玲はまじかと呟きながら、私のスマホから送られた共有データーをチェックして言った。


「今日、夕方サークル出ないなら、買い物付き合ってくれない?夜ご飯奢るから。どう?」



私はにっこり笑って良いよって言うと、一緒の選択授業や必修についての話をした。そうこうするうちに大学の最寄駅に着いたので、私たちは一緒に必修の授業へと滑り込んだ。結局玲は私と同じ桜蔭大学の経済学部へ合格して、こうやって私の側を離れない。


多分入学早々からこんな状況だったから、一ヶ月経った今では周囲もすっかり私たちをカップル認定してる気がする。そして、私は玲にそのことについてどんなつもりなのか聞けないでいるんだ。うん、墓穴を掘るのは回避一択で!



でも、私何か忘れていなかった?それに気づいたのはスマホを震わす一通のメッセージだった…。

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