間話 権能と眷属
メフィストの矯正から戻って来たアザゼルは俺の前に膝をつきながら話し出す。
【お待たせ致しました御方様。メフィストの矯正が終わりました事をご報告致します】
「ご苦労様アザゼル。それで、肝心のメフィストはどこ?」
【メフィストでしたら、御方様の御前に出る為に準備しておりますので、しばしのお待ちを】
「お、おうそうか……それで、メフィストから色々と情報を手に入れたんだろ?」
俺の質問に対してアザゼルは
【もちろんでございます御方様。しかしながら申し上げますと、その件に関しましてはメフィストの方から御方様へご報告するべきと愚考いたします】
と、逆に進言してきた。
「なんで?」
俺が聞くとアザゼルは
【真にメフィストが御方様に忠誠を誓っているのか真偽を問う為でございます】
つまりメフィストへの踏み絵という事だ。
「……いいよ。それじゃあメフィストが来るまで待ってようか!」
俺がそう言うと目の前の空間が歪み、そこから白い燕尾服を着て
《その必要はございません我が君!お待たせして申し訳ございません。メフィスト、只今参りました》
と言って謙る。
「えっ?!お前があのメフィスト??ピエロの格好をしてふざけた喋り方をしていたあの?」
俺の質問に対してメフィストは
《はい、そのメフィストでございます。この度は我が君に対して多大なご迷惑をおかけした事をここに謝罪すると共に、我が君に永遠の忠誠を誓います事をお許し下さいませ》
と、メフィストは見事に矯正された様だ。
凄いなアザゼルの矯正は!一体何をしたんだ??
俺はメフィストの矯正振りに若干引きながら
「あはは、う、うんいいよ……その代わりお前の知っている情報を全部教えてね。とりあえず魔界の事とか、お前以外の残っている魔族の話やお前の称号についてる『怠惰の配下』の事とか色々……」
《もちろんでございます我が君。ではまず、
アザゼルが死んでからの魔界の現状でございますが、アザゼルの後釜を狙い下位魔族達による不毛な争いが起こり、高位魔族筆頭である魔公爵『ベリアル』や強硬派筆頭の魔侯爵『アガレス』が対応している次第でございます》
「ふーん。後はそうだなぁ…他の高位魔族が何をしているのかも教えてくれ。まさか魔界でのほほんと暮らしたいる訳では無いだろ?」
《はい、小生の知る限りでは魔公爵である『アスタロト』と魔伯爵の『バアル』が人界にて呪具を用いて人族に接触していると存じております。しかしながら詳細に関しましては小生も詳しくは知らず、申し訳ありません》
「いや、そんな事はないぞ。それより一番気になってる『怠惰の配下』ってのはどう言う意味なんだ?たしか、アザゼルにはそんな称号付いてなかったよな?」
《そ、それは……》
俺の質問に対してメフィストではなくアザゼルが答えた。
【御方様。その件に関しましては我がお話しいたします。いえ、寧ろメフィストではお話しする事が出来ないで我にお任せ下さいませ!】
「??なんで話せないんだ?」
【『怠惰の配下』と言う称号は言ってみれば魔王より与えられた権能、そして呪いの様なものでございます】
「権能?呪い?」
【はい。高位魔族になりますと、それぞれの魔王より自らが司る権能の力の一部を与え配下にする事ができるのです。そして、配下となった高位魔族は司る魔王の威光を借りる事が出来、さらに自らの存在力を上げる事が出来ます】
「成程、つまりメフィストは怠惰の魔王の配下でアザゼルはどの魔王の配下でも無いって事か」
【いえ、我も元は色欲の魔王より権能を貰い受けたのですが、大戦により色欲の魔王が深手を追い権能を維持する為の力を失った為、配下では無くなったのでございます】
「ふーん……それで、権能に関して何となく分かったけど、呪いってのはどう言う事なんだ?」
【実は権能を与えられた者は力と引き換えに魔王に対して反抗する事が出来なくなる上、喋べる事さえ出来なくなってしまうのでございます。そして、逆らえば激痛と死が待っているのでございます】
「ふむふむ。メフィストの事情は分かったけど、そうなるとメフィストの持っている権能を消さないといけないなぁ……」
【でしたら御方様。我の様にメフィストにも御方様のお力をお使いすれば宜しいかと進言いたします】
「あー!たしかにそれなら良いかもしれないな!よし!メフィスト、ちょっと来てくれ」
俺は先程から黙ったままでいたメフィストへ声をかけながら手招きをする。
するとメフィストは
《かしこまりました。我が君》
と言って俺の近くに来たので、俺はメフィストの頭に手を置きながらスキル「従魔進化」を使う。
すると、アザゼルの時と同じようにメフィストの体が光だす。
しばらくして光が収まるとそこからメフィストが現れる。
(あれ?アザゼルの時と違って特に外見は変わらないんだな?まぁいいや、とりあえず鑑定をかけてみるか!)
俺はメフィストに鑑定をかける。
名前 メフィスト
種族 半魔神
レベル 1
役職 忠臣
ステータス
攻撃 2000
防御 1950
魔力 5900
魔防 5600
速さ 4000
スキル
幻術魔法 奇術魔法 透明化 短距離転移
空間魔法 変身 分裂 幻界 固有結界
眷属化 眷属支配 など
称号
相田圭太の従魔 忠臣 奇術師 執事
超越者 道化師 など
進化したメフィストは予想通り大分強くなっていた。ステータスはもちろん、スキルの数も増えている。中でも眷属化と眷属支配に関してはアザゼルも持っていたので、どうやらセットで増えるらしい。ここでこの2つのスキルについて説明しよう。
〜眷属化〜
説明
倒した相手や心から屈服した相手を自らの眷属にする事ができる。
眷属となった者が死んだ場合、その者のステータスやスキルが吸収される。
眷属は蒐集図鑑に登録される。
〜眷属支配〜
説明
自らの眷属に対してステータスの一部を与えたりする事が出来る。
眷属の現在地や状況などを知る事が出来る。
魔力を使って呼び寄せる事が出来る。
(うわ〜、これはヤベ〜わ!)
どう見ても反則的なスキルに俺は半は呆れながらも、まぁこれも蒐集図鑑の能力なのだろうと思いながらメフィストに話しかける。
「よしメフィスト、これでお前にあった呪いは消えたから大丈夫だろ?」
するとメフィストは両目から大粒の涙を流しながら大声で叫ぶ。
《おおー!!我が君!!小生の様なクソムシにそのお力をお分け下さり、誠に、誠にありがとうございます!!このメフィスト、これより貴方様のお役に立てる様に精進して参りますので、どうぞ我が忠誠をお受け取りくださいませー!!》
と、忠臣と言うよりも狂信者がまたしても誕生したのだった。
俺は泣いているメフィストを見ながら
「お、おう、頑張れよメフィスト」
若干、顔を引き攣らせながら言うとメフィストは深々と頭を下げながら
《ありがたり幸せ!このメフィスト、必ずやアザゼルよりもお役に立って見せましょう》
と言ってアザゼルの方を見る。
するとアザゼルは鼻で笑いながら
【ふん!貴様の様な道化師が我に勝てるとでも?】
と煽る。するとメフィストは
《ほーう、ならば小生と貴様、どちらが上か勝負してみるか?》
【ふふふ、ならば図鑑世界で決着を付けようではないか!!】
《望むところですよアザゼル!!小生の力を見せてやりましょう!》
と言って、2人揃って図鑑世界へと消えてしまった。
こうして、見事に第二の
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