第85話 女神の褒美



ミーナさんの呪いを解呪した俺は、泣きながら喜び合う二人を残し、一人自分の部屋へと戻る。部屋に戻った俺は、そのままベットへとダイブして


「ふう、取り敢えずこれでエドワードも騎士団を辞めるとか馬鹿みたいな事を言わなくなるだろう。全く、本当に困った奴だよあいつは……お前もそう思うだろうカーラ」


と、カーラが入っている卵を摩りながら呟く。正直、自分でもかなりやばいと思う事も無くは無いが、意外にもこの卵、触り心地がかなり良い!それに、割らないように優しく撫でているから大丈夫!



しばらくして、夕食の時間になったので食堂へ行くと、何やら騒がしかったので嫌な予感がした俺は自分の部屋へと戻ろうと階段へと戻る。すると、ちょうどエドワードが食堂から現れて


「やぁケイタちょうどよかったよ!今呼びに行こうと思っていた………どうしたんだいそんな所で?ほらケイタも早く食堂へ来なよ!今日は母上の解呪祝いという事でみんなで盛大に祝おうって事になったんだ!!」


と言って、俺の手を引いて強引に食堂へと連れて行く。

俺は必死に抵抗しようとしたのだが、何故か全く逆らえなかった。


食堂に到着すると、俺は驚愕した!!

壁一面が装飾され、中央のテーブルにはさまざまな料理が立食形式で並べられている。

だが、俺が一番驚いたのは、なんと国王がいたのだ!!それも、酔ったのか顔を真っ赤にしながらミーナさんと話している。しかも、ミーナさんは解呪前までの凛とした雰囲気から一変して、どこか明るく快活な雰囲気でお酒を飲みながら国王と話をしている。


「どうなってんだこりゃ?」


俺がそう言うとエドワードが笑いながら説明を始めた。


「いや〜、実は母上の呪いが解呪出来たと国王陛下に伝えたら、なんか速攻で仕事を終わらせて来たんだよ。しかも、秘蔵のコレクションとか言って、自前の酒を持参してだよ!本当にびっくりしたよ!おまけに『今夜は宴じゃ〜、!』とか言って、昨日の事で忙しいにも関わらず知り合いに片っ端から声をかけたんだよ。と言っても、急な事だから来れたのは4、5人程度だけだけどね!」


「ヘェ〜……それで誰が来たんだ?」


「えーと、ケイタの知ってる人だとサラディン様とリリアナ様くらいかな?あとは、家と関係の深い人や母上の知り合いだね」


「意外と少ないんだな?」


「うん。母上はあまり人付き合いをしないし、僕もずっと強くなる為に一人で努力してたからね」


落ち込んだ表情で話をするエドワードに俺は


「何落ち込んでんだよエドワード!以前はそうだったかも知れないけど、今は俺と言う親友がいるだろう」


と言って、エドワードの背中を叩く。

すると、エドワードは笑みを浮かべながら


「ありがとうケイタ。それじゃあお腹も空いてるしご飯にしようか!」


「そうだな。たしかに、空腹で倒れそうだ」


「あはは、ケイタらしいね」


「うるせー!」


「あははははは」




俺はこのあと、豪華な夕食とお酒を堪能したのが、心の中でどこか物足りない感情を抱いていた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



翌朝


まだ日の登らないうちに起きた俺は、誰にも気づかれずに屋敷を出る。

幸い、前夜のパーティーでエドワードを始め、使用人達もまだ眠っているので簡単だった。


俺が何故コソコソと屋敷を抜け出したのかと言うと、それはカーラの事でだ。


カーラが卵になってから2日が経っている為、何も知らないエドワードに不審がられた俺は、どうすれば良いのか女神フリージアに教えて貰う為にカーラの卵を持って行く事にした。



教会に到着した俺は、この前と同じように礼拝堂で祈りを捧げる。

すると、周囲が真っ白の空間へと変わり、目の前にフリージアが現れた。


【この間振りですね圭太さん】


「ええ、お久しぶりです女神フリージア」


お互いに挨拶をする。するとフリージアは、俺に向かって軽く頭を下げながら


【まずはお礼を申し上げますケイタさん。よくぞ魔族の策略を跳ね除け「怨霊箱」を確保して下さいました。女神を代表して感謝致します。それと……】


と言った後、何も無い空間から小さな箱を取り出して俺に渡して来た。


「???……これはなんですか?」


【ふふふ。圭太さんが今、一番必要な物が入った「女神特製詰め合わせセット」ですよ!】


「必要な物?…ですか?」


【ええ、私とビクティーとイースタルが圭太さんの為に作った特製なんですよ!】


「そ、そうですか。では、ありがたく頂きますね」


と言って俺は、フリージアから箱を貰うと蓋を開けると、俺は中に入っている物を見て驚いた。



名前  女神の揺り籠

レア度 神話級ゴッズ

能力

空間拡張 重量変化 汚防 破壊不可 など


説明

女神フリージアが創りし神器のひとつ。

空間拡張により、およそ100倍の物が入る。

人はもちろん生物も入れる事が出来る。

どんなに重たくても重量を感じない。

ただし、別空間では無いので、熱や衝撃などは伝わる。

揺り籠の大きさは最低でハンドバック程度、最大で100メートルにまで変えることができる。


名前  女神の掛け布団

レア度 神話級ゴッズ

能力

熱無効 冷無効 汚防 破壊不可 など

説明

女神イースタルの創りし神器のひとつ。

常に快適な温度を保つ事が出来る。

触り心地は世界最高。

衝撃などを一切通さない。



名前  女神の眼鏡

レア度 神話級ゴッズ

能力

熱源感知 生物感知 透視 破壊不可 など

説明

女神ビクティーの創りし神器のひとつ。

熱源を始め透視が出来る眼鏡。



「おおー!これなら卵になったカーラを連れて冒険が出来る!!」

俺が喜んでいると、フリージアは嬉しそうな表情をしながら


【喜んで貰い何よりです。こちらは圭太さんへの今回の報酬のひとつになります】


と言って光る玉を寄越してきた。


「へぇー……報酬のひとつ?」


俺は恐る恐る光る玉を手に取ると女神フリージアは満足した表情で


【ええ、報酬のひとつです。それから、新スキルをお渡ししとくますので、どうぞお楽しみ下さい】


「ありがとうございます」


俺がお礼を言うと、フリージアは申し訳無さそうな顔をしながら


【それから、圭太さんの従魔であるカーラさんの事ですが申し訳御座いません。私ではどうする事も出来ず……面倒ですが、圭太さんの方でビクティーに直接会いにってもらっても宜しいですか?】


「そうですか……分かりました!では、そうさせてもらいますね。あれ?!たしかビクティー様とお会いするには……」


【はい。ビクティーと会うにはヴェルダン帝国の教会へと赴かなくては行けません。なので……】


「分かっていますよフリージア様。もし魔族が居たら俺が倒しますのでご安心下さい」


【圭太さん……ありがとうございます。名残り惜しいですが、どうやらここまでのようですね……貴方の旅路が上手くいく事を願っています……】


「はい」


俺が返事を瞬間、目の前が真っ黒になり俺は教会へと戻って来た。

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