第54話 やっぱり
「雷光」と遭遇した後、俺たちがひと通り誕生祭を楽しんだ頃には、既に日が暮れそうになっていたので、俺はエドワードに相談して屋敷へと帰ることにした。
「いやー、それにしてもやっぱり王都って言うだけあって、人が凄かったな!」
俺がそう言うとカーラが
『そうですねご主人様!カーラもびっくりしました』
と賛同する。するとエドワードが笑いながら
「あはは、王都に住む僕としては普段通りなんだけど、やっぱり他の街とは違うのかな?」
「うーん、俺もそんなに色々な街を旅したわけではないからなんとも言えないけど、多い方だと思うぞ」
「へぇー、僕もいつか色々な街へ行ってみたいなぁ」
「あれ?エドワードは騎士なんだから遠征とかで、国中を回ったりとかしないのか?」
俺の質問に対してエドワードは
「残念ながら『剣聖』、と言うより四星王である僕は、有事の際以外に国外へ出る事が出来ない決まりになっているし、一応僕はソラリア王国の最高戦力だからね!基本的には王都の守護が第一なんだよ」
「それだと、あんまり自由に行動出来ないんだな」
「うん。ケイタの言う通りだよ、だから僕はケイタと出会えた事は、本当に奇跡だと思っているよ」
「そうだな」
俺たちがそんな話をしていると、馬車が停まり、いつのまにか屋敷に到着していた。
俺たちが屋敷に戻ると、執事の人がやってきて
「奥様がお呼びですので、どうぞ書斎の方へお越しくださいませ」
と言われ、俺とエドワードは執事に連れられ書斎へと向かった。
ちなみにカーラは、遊び疲れたのかすぐに部屋のベッドで眠ってしまったので、そのまま置いて行くことにした。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
書斎の前に到着すると、執事の人がドアをノックする。
コンコン
「どうぞ」
中から聞こえる女性の声を聞いた執事の人がドアを開け
「失礼します。坊っちゃまとご友人の方をお連れしました」
「ありがとう。入ってもらってちょうだい」
「どうぞお入り下さい」
俺とエドワードは執事の人に促されるまま、書斎へと入る。
「入ります」
「失礼します」
すると、豪勢な机で書き物をしている女性が
「いらっしゃい二人とも、今お茶を淹れるからどうぞ座ってちょうだい」
とソファの方へ手を向けながら言うので、俺とエドワードは
「はい母上」
「ありがとうございます。それでは失礼いたします」
と言ってソファへと座る。
すると女性は俺たちの対面に座り、執事が淹れた紅茶を飲んだ後
「突然呼び出してごめんなさいね。実は昨日、
女性からの鋭い視線にエドワードは一瞬、硬直してから口を開く。
「その通りです母上。僕は母上を蝕んでいるその呪いを解きたいのです。その為に僕は隣にいるケイタと共に旅をしながらあの魔族を探し出し、必ず倒します!それに、この件に関しては既に国王陛下にも許可は取っていますので、あとは母上に了承して頂くだけです」
エドワードは覚悟を決めた目をしながら母親を見つめる。すると母親は、一度溜め息をついた後
「はぁ……全く、陛下も困ったものよね。国を支える『剣聖』を手放してまで、わたくしを救おうとするなんて本当、どうかしてるわよ、どうせもう助からないのにただ時間の無駄よ……」
母親はどこか呆れた表情をしながらそう呟く。エドワードは悲しそうな声で
「母上、それは……」
と言いかけた瞬間
「大事な人を助けたいと思う事がおかしい事でしょうか?」
俺は自然と声を出していた。
「「??」」
二人は驚きながら俺を見る。
俺はそんな二人を無視して、さらに話を続ける。
「たとえ1%でも可能性があるのなら、それがどんなに愚かな選択だとしても、私はおかしいとは思いません」
「「・・・・」」
「諦めるのは簡単です。人は諦める事で目の前の困難な現実や苦痛から逃げる事が出来るのですから。でも諦めた結果、諦め無ければ手に入るはずだったものを、再び取り戻す事は出来ません」
俺は拳を強く握りながら話を続ける。
これは俺の実体験だ。
俺は昔、面倒な事があるとすぐに逃げたしたりする癖があった。そのせいで今は亡き両親や妹には迷惑をかけたし、何より自分が成長する為のチャンスを不意にした事もある。
だからこそ、俺はエドワードに諦めて欲しく無いのだ。
俺が話終わると、エドワードの母親が話しだす。
「無理なものは無理なのよ。この広い世界で、しかも魔界にいるたった一体の魔族を探し出しす事なんて不可能に近いわ!」
確かに母親の言っている事は正しいが、それよりも俺は気になった事を母親に質問をする。
「あのう。皆さん、なんでそこまで魔族を倒すのに拘るんですか?他の方法を試そうとは思わなかったのですか?」
すると母親は
「ケイタさんはわたくしが『四神』と契約していると言う事は聞いていますね」
「はい」
「わたくしは現在、『
「そうですか」
そう言って残念そうな表情をする母親に対して、俺は「鑑定」の魔法を使う。
名前 ミーナ・アル・エディアス
種族 人間
年齢 58
レベル 29
職業 契約者
役職 ソラリア王国相談役
ステータス
攻撃 2500
防御 1685
魔力 5400
魔防 5800
速さ 1900
スキル
四神召喚 『黒亀』 『白虎』
癒し など
状態
《老生の呪い》
説明
齢が60を迎えると死にいたる呪い。
あらゆる回復手段を用いても治らない。
唯一、女神の力でのみ解く事が出来る。 解呪しますか? YES : NO
称号
ソラリア王国相談役 魔族の呪いを受けし者
四神に選ばれし者 四神の契約者 など
俺は鑑定結果を見て心の中で叫ぶ
(やっぱり解呪、出来るんかーーーい!!)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます