第55話 トレーニング
その後、俺とエドワードとエドワードの母親との話し合いは結論の出ぬまま、お開きとなった。
理由はと言うと、エドワードの母親に急な仕事が入ってしまった為、急いで王城の方へ向かわなければ行けなかった為だ。
エドワード母親であるエディアス夫人は、ソラリア王国相談役として王城で働いているらしく、もうすぐ誕生祭のパーティーが王城で開かれるので忙しいそうだ。
部屋に戻った俺は、ベッドに寝っ転がりなが困っていた。理由はエディアス夫人についてだ。予想通り俺のスキルで解呪する事が出来ると分かった俺は、安心しながらも、これからどうするべきかを考えていた。
(さて、どうしたものか?解呪は簡単に出来るみたいだけど、そんな事をすれば間違いなく面倒になるだろうし、何よりエドワードの奴がお礼とか言って何をしてくるか分かったもんじゃ無いしなぁ……)
俺が解呪をすればエドワードが騎士を辞める必要はなくなるが、俺に対しての恩義とか言って付き纏われても困る。ましてや兄である国王から爵位とか寄越されたらもっと困るけど……
(まぁいいや、少なくても誕生祭の間はこの国にいるわけだし、その間に決めれば問題ないでしょ!)
結局、問題を先送りにした俺はその後、女神に作り置きしていたドーナッツ(3種類)を送るとそのまま眠りについた。
********
翌朝
朝少し早起きした俺とカーラは現在、王都の外にある平原にきている。
「それじゃあカーラ、これからアイツを召喚するけど、多分面倒臭いことになるだろうから何かあったらよろしくね」
『了解なのですご主人様!』
俺は蒐集図鑑をめくっていき、「魔伯爵」アザゼルのページを開くと
「こい、アザゼル!」
俺がそう叫ぶとページが光出していき、目の前に金髪に浅黒い肌をしたアザゼルが姿を現した。アザゼルの姿はほとんど人間に近く、ただ一つ違っているとしたら頭にツノが生えている事くらいな為、ぱっと見で魔族だとは分からないだろう。そう思いながら俺はさらに「鑑定」をかける。
名前 アザゼル
種族 魔族(従魔)
レベル 75
役職 従魔
ステータス
攻撃 6900
防御 7000
魔力 13000
魔防 8600
速さ 5200
スキル
闇魔法 誘惑魔法 魔力操作
魔闘法 変身 など
称号
魔伯爵 モンスターの先導者 誘惑者
相田圭太の従魔
「おおー!凄いな!」
アザゼルの事を俺が感心していると
『こ、ここはどこだ?我は確か、受肉して……あれ?どう言う事だ?』
混乱しているアザゼルに俺は話しかける。
「やあ!お前がアザゼルだね!あの時は暗かったし、遠目からだったからよく見えなかったけど、こうしてみると結構イケメンだな!」
俺が手を上げながらそう言うと、アザゼルは驚いた様子で
『な、何者だ貴様は!?我を「魔伯爵」アザゼルと知って声をかけてきているのか?!』
「もちろん」
『貴様、我が恐ろしく無いのか?』
「?なんで?」
俺がポカンとしているとアザゼルは
『ふん!まぁいい、貴様の肉体を奪い受肉してやるだけだ!』
そう言ってアザゼルは俺に向かって何かをしようとするが途中で止める。と言うよりは出来なくなった。
『なんだこれは?体が動かんぞ?!貴様、一体何をした!!』
「いや、別に何もしてないけど?ただ単にお前が俺の従魔になっただけだろ」
俺が「当然だろ」と言う表情をしていると、アザゼルは変な汗をかきながら震える声で
『ど、どう言う事だ?!何故「魔伯爵」である我が、貴様のような矮小な人族の従魔なんぞになっているのでだ?!ありえん!ありえん!ありえーん!』
「うるせーなー!現にお前は俺に対して何も出来ないだろ?」
『おのれー!だが、例え我が貴様の従魔だとしても、我は貴様の命令になんぞ従わんぞ!』
「う〜ん。お前には色々と聞きたい事があるからそれは困るんだよなぁ〜。………どうするカーラ?」
困った俺は隣でドーナッツを食べているカーラに話しかける。
ちなみにカーラが食べているのは、ハチミツ味のドーナッツとカスタードの2種類だ。
俺が話しかけた事で、慌ててドーナッツを食べ終えたカーラが右手を上げながら
『ぶっとばーす!!です!!』
と、物騒な事を笑顔で言い放つ。
俺は若干顔を引き攣られながらカーラに対して
「か、カーラ。お前、一体どこでそんな言葉を覚えて来たんだ?」
『?ご主人様ですが?』
カーラからの予想外の回答に俺は
(あれー?俺、そんな事言ったかなぁ?………ヤベェ、候補がありすぎて絞りきれないからパス!)
心当たりがありすぎて困った俺はとりあえず今の話に関しては聞かなかった事にした……
「そんな事よりも今はアザゼルをどうにかする方が大切だよな!」
俺はそう言って話題を変えると、アザゼルの方を見ながら考える。
(うーん。やっぱりあの方法しか無いか)
俺はどうするか決めるとアザゼルに対して
「よし、いいかよく聞け!お前にはこれから某有名軍曹式の矯正メニューをこなして貰う事にした!」
『は?』
アザゼルはいまいち理解できないような表情をしているが、俺がドス黒い笑みを浮かべるとその表情は次第に青ざめていき、俺はそんなアザゼルに近づいて行く。するとアザゼルは尻餅をつきながらも必死に逃げようとするので、俺は魔法で縄を作りアザゼルに巻き付ける。
『な、何をするつもりだ?!やめろ!やめてくれー!』
必死に懇願するアザゼルに対して俺は優しい口調で
「大丈夫。お前ならきっと死ないから!………多分」
俺はそう言うと、アザゼルを引っ張りながら土魔法で作ったドーム型の建物の中に入って行く。
「カーラは外で待っててね!」
『はいです!』
流石にこれから行う
ちなみに、抵抗したくても出来ないアザゼルは涙を流しながら大きな声で
『いーやーだーー!!!』
と叫びながら建物の中へ入っていった。
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