第46話 手紙を渡しに行くよ

俺の話を聞いた受付嬢の人はどこからかファイルを取り出しながら


「それで、どなたをお探しですか?」


そう聞いて来たので俺は手紙に書いてある名前を見ながら


「えーと、エドワード・アル・エディアスさんですね!」


「ええ!!」


俺が名前を告げると、受付嬢の人は驚きのあまり大声を出したあと、俺に顔を近づけながら小声で


「何故「剣聖」様をお探しなのでしょうか?理由を聞かせて頂けると助かるのですが」


と、疑った目で俺の事を見てくる。

どうやら俺は、またしてもやらかしてしまった様だ。


(はぁ〜。メリッサさんといい、この人いい、何で受付嬢ってこんなに疑り深いんだろうか?本当に勘弁してくれ)


このまま疑われるの忍びないので、俺はギルマスから渡された手紙を受付嬢の人に見せる。すると、受付嬢の人は手紙を確認した後、奥の部屋へと行ってしまった。


(ええー?!何で?)


仕方なく待っていると、5分くらいしてようやく受付嬢の人が戻ってきた。

ちなみにカーラは、お腹が空いたと言ってきたので、酒場で料理を注文して食べている。


「ありがとうございました。確認致しましたので、こちらはお返しいたします。それと、これもどうぞ」


戻ってきた受付嬢は、俺に手紙と一緒に地図の様な物を一緒に渡して来た。


「これは何ですか?」

俺が質問すると受付嬢は


「こちらは地図になります。この標の場所にお探しの方がいらっしゃいますので、お使いください」


「ありがとうございます。それでは失礼します」


「はい。またのお越しをお待ちしておりますね」


俺は受付嬢の人に挨拶をした後、酒場で食事をしているカーラをつれてギルドを出た。


*******


ギルドを出た俺たちは、早速地図に標の場所へと向かっていた。しばらくして、目的地周辺に到着すると、そこは王都の西側にある大きな要塞の様な場所だった。


「えーと、本当にここか?どう見てもやばい雰囲気を醸し出しているんだけど?」


俺が困惑していると、一人の兵士がやってきて話しかけてきた。


「お前ら!ここに何の様だ?!」


「決して怪しい物ではございません。私は冒険者でございます」


俺は兵士に冒険者カードを見せながらそう言うと、兵士は更に質問してくる。


「それで、冒険者が一体何の様だ?」


「ええ、実はエドワード・アル・エディアス様宛に手紙を預かっておりますので、お届けに参った次第でございます」


俺が丁寧な口調で話すと兵士は警戒心を解いて話す。


「そうか、では案内しよう」


「えっ?!よろしいのですか?」


俺は驚いた。まさかこんな簡単に会えるとは思っていなかったからだ。

俺の質問に対して兵士は笑いながら


「ハハハ、問題ない!例えお前がエドワード様を害するつもりだとしてもあの方に傷を付けることなど不可能だからな!」


「ああ、そうですか……」


「さぁ、ついて来い!」


俺はカーラを連れて兵士の後についていった。


建物に入ると、そこはまるで要塞の様な造りになっている上、中は石で造られていたので、相当耐久力がありそうだ。


(地球で言うところのコロッセオに似ているなぁ〜。もしかして女神の誰かが教えたのかなぁ〜)


俺がそんな事を考えながら歩いていると、修練場の様な場所に着いた。


「ここで待っていてくれ」


と言って兵士は修練場へと入って行く。


数分後


先程の兵士が戻っで来た。


「エドワード様より許可が降りたので中へ入っていいぞ!」


「ありがとうございます」


俺達は兵士の後に続いて修練場の中へと入る。するとそこには、深い青色ネイビーブルーの短髪に深紅の瞳が特徴的な俺と同い年くらいの爽やかイケメンが立っていた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆


爽やかイケメンを見て、いつの間にか俺の背中には冷や汗が流れ、鳥肌が立っていた。


その事に気づいた俺は確信した。


(こいつが「剣聖」で間違いない)


と……


爽やかイケメンは、見た目とは裏腹に圧倒的な雰囲気と剃刀のような圧をまるで息をするかの様に纏いながら俺に対して話しかけてきた。


「やぁ、君が僕に手紙を渡しに来たって言う冒険者の人だね?僕がエドワードで間違いないよ」


「え、ええ、その様ですね。ではこちらの手紙をお受け取り下さい」


俺は懐にしまった手紙を取り出し、エドワードに渡す。するとエドワードは、差出人の名前を確認すると、いきなり手紙の封を切り、俺の目の前で中を確認する。


「ヘェ〜。マオ・カーマあの人からの手紙だから一体どんな奇天烈な内容かと思ったけど、まさか君がねぇ〜……」


エドワードは手紙を読み終わると、俺の事を値踏みする様に見てから肩を叩きながら


「よし!それじゃあ早速、僕と模擬戦をしようか!」


と、意味のわからない事を言っていた!!


「何で?!」


思わず素の言葉が出てしまったが、エドワードは気にも止めず笑顔で


「えっ!だってこの手紙に、君は凄く強いからきっと僕と対等に戦う事が出来るって書いてあるし、ちょうど暇だったから!」


と言ってきた。


「いや、でも、いきなり模擬戦って……」


俺がどうやって逃げようと考えていると、エドワードは俺に木剣を手渡しながら


「それじゃあ始まるけど、準備はいいよね!」


「ちょっと待っ!」


と言って、俺に向かって木剣を振ってきたので俺は


「俺の話を聞けー!!!!」


と、叫びながら木剣を受け止めた。


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